見出し画像

UFOを目撃、テンションMAXの後『人生最大のお試し』がきた話

「なんだ?アレ…風船?」

50mほど先の空に、銀色の楕円形の風船のようなものが浮かんでいた。
デコボコ凹んでいるように見える。

いきなり現れた『それ』は、わたしが目視したのを確認したかのようなタイミングで

『1・2・3・シュッ』
と、消えてしまった。

「え!もしかしてUFO?」

テンションMAXで、すぐにでも誰かに言いたい気分だったが、ここは車の中。
早朝の出勤時、ひとり車を走らせているところだった。

普段なら渋滞する長い橋の上だが、その日は珍しく前後に一台の車も見当たらなかった。

「今日は空いてるな」

そんなことを思いながら、ちょうど川を渡り始めたころでUFOらしきものが現れたのだ。

前後に車が走っていたら、UFOに気を取られて前の車に追突していたかもしれない。
しかし誰もいない橋の上で、わたしはじっくりと3秒間UFOを凝視することができた。

そして
「はい、見たね」
と言うように『シュッ』と目の前から消えてしまったのだ。

もしかしてわたしが見れるように、わざと車が来ないようにしたのかも…なんて都合の良い解釈をしてしまった。

UFOを見るにはそれなりに自分の波動を高くしないといけない、と言う話を聞いたことがある。
そのころのわたしは波動の状態もとても良かった。

「UFOまで見ちゃって最高だな」
と浮かれていたわたしは、この数日後、人生最大級のピンチに襲われるが、このときはまだ何も知らなかった。


「肺の精密検査を受けてください」

院長が言った。

勤め先のクリニックでの検診結果が良くないと言うのである。

「⁇」

寝耳に水とはこのこと。
胸のレントゲンで異常が見つかったと言うのだ。

言われるがまま、そこでできる検査はひと通り受けた。
でもはっきりとしない。

院長は細かく細かくいろいろなことを調べては

「この病気ではないか?」
「いや、もしかしてこっちの病気かもしれない」

と、何回もわたしを診察室に呼び、病気の説明をする。
わたしは狐につままれた気分だった。

だって、こんなに元気なのに…
なんの症状もないのに…
こうやって人は病気にさせられるんだ。
どこか他人事のように、でも恐怖は感じていた。

自分が納得もしないまま、既存の病名をつけられて病気にさせられてしまうのかな。
わたしはそんなことを考えていた。

次の日の朝、バスから外を眺めていたらゴミ出しをする女性が目に入った。

「もしかしたら来年のわたしは、こんなふうにゴミ出しをする日常がないのかもしれない…」

そんなふうに思っているわたしがいた。
それは穏やかなありふれた日常では、決して思うことがない感情だった。

しかしどこか他人事という感覚は拭いきれず、なんとなくの違和感がずっとあった。

そしてその違和感を探るべく、わたしはタロット占いをしてみた。

「院長が言うように大きな呼吸器の専門病院で検査をした方がいいのか」

占いの結果は驚くほどキッパリと
「それは違う。今すべきではない。もう少し様子を見て」
という内容だった。
ものすごく強いメッセージだった。

そして、その答えのおかげでわたしはやっと我に返った。
くすぶっていた違和感がスッキリ消えたのだ。

「そうだ、思考が先、現実はあと」

自分の思いが現実を創るということをすっかり忘れていた。

「そうだ!そうだよ。これ、わたしが創り出している恐怖を体現してるだけだ」

次の日も朝から院長に呼ばれ、紹介状を書くからと、たぶん行うであろう検査の説明をしてくれた。

「その検査は肺を細かく切り刻んで…すごい大変なんですよ」

院長の説明はまだ続いているが、わたしの頭の中は『?』でいっぱいだった。

「⁇ なんだ、その説明は」

院長は親身になって一生懸命にできることをしてくれているのだろう。
でも何かが不自然。
いつもの院長はそんな説明の仕方はしない。

あぁ、そうか。
これは現実ではないな。
良くできているけど、私が創ったお試しの世界だ。
思いが確信となった。

その当時のわたしは、睡眠時間4時間でヘロヘロになりながら身を粉にして働いていた。

「もうこれ以上進んだらダメだよ。早く気がついて。自分最優先の生き方をしなさい」

という警告(お試し)だったのだ。

「院長、いろいろありがとうございます。でも紹介していただかなくても大丈夫です。そして体を休めるために仕事辞めます」

わたしはスッキリとした気分で、そう伝えた。

辞めると決めてからは早かった。
積み立てていた退職金も結構な額になり、おまけに世間的にコロナの時期だったために、失業保険も長い期間貰うことができた。
おかげで1年間、家で好きなことをしながらのんびりと生活することができた。

驚くほどさまざまなことがスムーズに進み、この選択が正しかったことがわかった。

もしもあの日にUFOを見ていなかったら、わたしは病気になるという自分で創った現実に飲み込まれてしまっただろう。

あんなに気分よく毎日を過ごしていたのに、急に『まさか!』の出来事が起こるのはおかしい。

わたしにUFOを見せて

「あなたは今、良い波動なんですよ。何が起こっても大丈夫ですよ」

と知らせておいてくれたんだと、勝手に思っている。

あれから数年が経過した今も、わたしはとても元気に過ごしている。
もちろん検査はしていない。

あの日にUFOを見せてくれた神様?ハイヤーセルフ?守護霊様?
わたしにはわからないけれど、どうもありがとうございました。
わたしは『自分最優先』で元気に暮らしていますよ。


この記事が参加している募集

宇宙SF

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?