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どうか運命が君にやさしくしてくれますように

私の名前はもも、で、母と父がミヒャエルエンデのMOMOという物語の主人公から取った。時間泥棒から時間を取り返しにいくというストーリーで、本の表紙には亀のイラストも書いてあった。多分友達かなんかで旅の途中で出会うのだろうか。もうほとんどの話の記憶がない。もしかしたら読んでないのかもしれない。表紙のオレンジ色だけがハッキリしている。

数年前に姉に「私ってMOMOじゃん、亀飼ったらさぁ運気あがるかな?」と突拍子もない話をすると姉は「え!絶対いいじゃん!亀かおうよ!」とノリノリだったので、帰宅した母にものすごいいいことを思いついたように「亀を飼いたい」というと「亀?菌が多いから絶対だめ」と隙なく断られた。姉に断られたことを伝えると姉は目を丸くしてそれから大きく笑っていた。その時彼女のお腹には子供がいて、だから、だめなんだということを言った。「赤ちゃんに亀の菌がついたらダメだって」
そう伝えた。
なんでもない、そういう日のことをよく思い出す。
忘れっぽい自分の記憶が海に広がる。
波打ち際で、流れ出た記憶が寄せては返している。すくいあげても、同じ形には戻らない私の記憶。

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全員が嫌な思いをしないようにとつとめて自分の思ったことを言わないより、自分らしく振る舞って誰かに嫌われるならそれがいいなと思う
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YouTubeにもInstagramにもTwitterにも本当に大事にしたかったことなんて載せられない。ファジーが私に何かしてほしい時のコミカルな動きや表情も、楽しくて安いお酒で酔っ払ってブラジャーそこら辺に投げて化粧も落とさずにそのまま沼地にはまるように眠る夜も、好きな人とコンビニで絶対に食べきれない量のお菓子やお酒やおつまみを買った時のレジ前での「夜はこれからなんだ」っていう高揚も、全部日常にあって、それはもう記録したいって思っても精密に全部を記憶することはできないから、だからまっすぐ今目の前にある瞬間の中にいなきゃいけないなぁって。だってほら、またこぼれ落ちた記憶が、42度のお風呂の中に溶けていく。好きな人が言う「ももちゃんお風呂熱い」って、足し湯 水のボタンを押して目をつぶって湯船につかるあの人のまつ毛を長さを記憶に留める。

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友人に会うとみんなに痩せた、と言われる。それがまるで褒め言葉のように。痩せる努力をしていないので、あまり嬉しくない。決まって「夏バテの名残りだよ、やつれただけ」と返すけど「へぇ、でもいいね」と言われる。今日はピザパン、コーンスープ、うどん、おじや、それで今午前1時21分、ビビンバの残りで焼きおにぎりを作ったものを食べている。太って、太りまくっても、私を『私』としてだけ認識してくれる世界のほうが平和だな。サイコだけど。痩せて、どんどん痩せて、それでそれが病気で、もし体積が0になったらあの時「痩せたね、でもいいね」って言葉で友達が苦しまないように生きないといけない。

なるべく普通の体型で、人から何も言われないように。恋人と夜中に食べるラーメンは脂肪にならなそうなのに、固形物をただ口にいれるだけの行為のものすべては太りそうで、なんなんだろうって思う。私は顔にも体型にもコンプレックスがすごくあって、それに向き合ってきたし、今もその途中。多様性って言葉はいいけど、雑にまとめられた感じもある。美人って誰が決めたスタンダードなんだろう?その枠にはハマらないしそんな自分は好きだけど、けどやっぱりかわいくなさって自分にとっては毒になるときがあるなってすごい思う。いつかきちんと消化するために言語化できますように。

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fuzzyが5歳になった。私の人生の唯一の『絶対』はファジーとずっと一緒にいること。あと何年一緒にいれるかな。どのおやつが1番すき?何してるときが幸せ?遠い公園にいった帰りは実は歩きたくない?たまに散歩の途中で足をとめて動かずに上目遣いで何を訴えてる?あの公園の横を通るとき絶対公園に行こうとするけど、あそこはマツヤニがすごいからダメなの。好きな人と私の真ん中で眠るのが好きだよね。いつも私が会社にいってるとき何しててどこで眠ってる?最近は椅子に座るのがマイブームだね、次に引っ越すところもお散歩道がたくさんあるといいな。

今よりももっと愛したいのに今よりもっと愛の体積をあげる方法を知らない。今どのぐらいかもわからない。もっとたくさん思い出を作ること?もっとたくさん一緒にいる時間を増やすってこと?じゃあそうしてみようと思う。

いなくなった時のことをよく考える。愛犬を亡くした知り合いが「朝さ、足の横に気配を感じるんだよ。ベッドの横をあけちゃうのよ。もういないのに、広く使えるのに、なんでか横にずれてさ」って言ってた。まだ体験していないその日を感じてじんわり目の奥が熱くなった。

小さな気配、生きて動く見える愛、いつかその体に触れなくなるときが来る。でも私はさfuzzyのことなら忘れないでいられる気がするんだ。海にもお風呂にも流れ出ない、たくさんの君との記憶。

5歳のお誕生日おめでとう。

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こだわりを語れる人が好きだ

集中して書くためのコーヒー代になって、ラブと共に私の体の一部になります。本当にありがとう。コメントをくれてもいいんだよ。