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AM3:20

街中はコロナで忙しくしているけどあまり現実味がなく家にあったマスクは花粉症でつらそうな知人にあげてしまったし、まぁなったらなったでその時だなぁ、とは思いつつもきっとその時は来ないんだろう。東京は人が少なくて夜タクシーの中から見る繁華街は驚くほど静かだけど私には何も関係がない。手を伸ばして届く範囲の事しか興味がない。24時間、7日間。30日と365日、私は私で忙しい。私に関係のない事まで頭が回らない。私に関係のあることすらまともに処理できていないというのに。毎日順調であるかのように見せるのは得意になってしまった。大人は難しくて楽しい。

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帰ってきてメイクを落とすたびにファンデーションの下に現れるくすんだ肌や隠れていたニキビあと、抜きすぎて生えてこなくなった眉毛。その“本当のところのスッピン”を見ながら 男の人が言うスッピンと私の思うスッピンにはとても乖離があるけれど付き合っていた男の人達は皆一様にそっちのほうがいいというのだ。あんなに頑張ってメイクをしていたのは君たちのためでもあったのに、と恋人のいない今思う。好きな人に会う時、いつもの倍の時間をかけて化粧水をつける、何色の口紅がいいか長い間悩む。そんな事彼は気付きもしないのに。私の顔にシミがあっても、クマが見えていても、唇の色が赤でもオレンジでもきっとその恋の物語の終わりは変わらないのに。大事なことのように。お守りのように、その口紅を鞄に仕舞い込んで彼に会いにいく。

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3月からチームが変わって親しくしてる年上の派手なお姉さんとよく会うようになった。とても思いやりのあって優しい人だし言うことがまともなので一方的に信用している。私は彼女が好きだ。彼女は会うたびにお菓子をくれる。昨日は「ひなまつりだから!」と見たこともないパッケージのシュークリームをくれた。キラキラした爪で細いタバコを吸いながら「もうきっと一生独りだと思うからさぁ」と言う。見た目だけじゃわからないけど孤独な人は周りにたくさんいる。シュークリームの中身は生クリームとカスタードが2種類入っていたので「私この2種類入ってるシュークリーム好きなんですよ」というと「分かる」と煙を吐き出して言われた。キラキラした爪にはよくみるとユニコーンがついていた。

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昔、大事な人が不倫で傷ついているのを見て不倫は悪だ!と息巻いて不倫をしている友人に相談された時もまともな事をまっすぐに言ってしまいとても怒らせたことがあった。仲が良かったのにそれから疎遠になってしまった。今後彼とどうしていこう、と言われたのでもっと幸せになる道は他にあると思う。などとえらそうに言ってしまった。あなたは何もわかっていない、と怒られてLINEをブロックされた。何て言っていたら正解だったのかいまだにわからない。あれから人の恋愛に口出しをする事をやめたんだっけなぁと最近よく不倫の話がでるたびに彼女の事を思い出す。私はプライドが高いから2番目になるのはまっぴらだし不倫は向いてない気がする。不倫をしたこともないし、誰かの1番にもなれたことも過去の話だけど。

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低い声と、笑った時にシワがよる目尻と、まっすぐに伸びた綺麗な鼻筋と、細長いのに角ばった男っぽい指と、カラコンかと思ったぐらい色素の薄い瞳。好きな人のことを思い出す時に情報は多いほうがいいので、最近会う時はいろんな事を忘れなようにしようと思いながら会ってるけどそれでもやっぱり細部までは覚えていられない。あの時車の中で何の話をしたんだっけ、私の話にあの人はなんて答えたんだっけ、なんであんなに楽しそうに笑ってたんだっけ。いつも、これが最後になるのかもしれない、と思って車の重い扉を閉める。いつも、こんなに辛いならこれでもう会うのは最後にしたい、と言いたいのに言えるわけもなくて彼の言う「またね」に「うん」を返してしまう。だって好きなんだから、またがあるならまた会いたい。小学生でもわかる感情の問題、大人は大概0点。素直になりたい。口には出せない。好きになってほしい、それだけ。それだけなのに永遠に叶いそうにない。

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もう3月がはじまって5日経った。ぼうっとしてたらワニより先に死にそうだ。

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毎日忙しなく過ぎていって、帰るのは12時過ぎで、週末も平日も関係なくてだから仕事と関係ない楽しい予定をたくさん詰め込んでる。友人と会う予定をたてたりおいしいレストラン予約したりファジとどこまでも歩いたりライブのチケットを買ったりサーフィンしたり休みの日の朝にパンケーキを焼いたり旅行にいったり本をたくさん読んだり。死ぬ前に見る走馬灯がどうかバカみたいにバカ笑いしてる私であるように。自分で自分をり上げている。神棚に穏やかで楽しい毎日をって毎朝祈っている。神様には荷が重いと思うけどそこをなんとか一緒に頑張っていきたい。

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また春がくるね。

集中して書くためのコーヒー代になって、ラブと共に私の体の一部になります。本当にありがとう。コメントをくれてもいいんだよ。