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オリジナル曲「The Final Prayer」について


構想・歌詞

毎回サビが王道進行か63451進行でばっかり作っていたので、カノン進行の曲を作ろうと思って作り始めました。

しかし後述しますが最終的に63451進行になってしまいまったものの、サビ前半カノン進行からの後半63451進行という裏切りがイイ感じなので、これで行くことにしました。

ざっくりメロディとコード進行を作ったところでリファレンス曲を決めることにした結果、TЁЯRAの「LETHEBOLG 〜双神威に斬り咲けり〜」がイメージに近いと感じました。

弐寺をプレイしていて☆10難埋めで最初の方にクリア出来た曲で印象に残っていたのと、前からTЁЯRAの曲が好きでこういうのを作ってみたいと思っていたので、これをリファレンス曲にしました。

しかしAメロはだいぶリファレンスに似過ぎてしまったなと正直思います。
リファレンスにする以上、似せるならしっかり似せないと身にならないと思う一方で似過ぎても問題になるし、どの程度寄せるか毎回難しいと感じています。

今回は曲の情景が先行して思い浮かび、「荒廃した世界」「生贄として変わらぬ姿で歌い続ける少女」「最悪の災厄」というキーワードが思いついたので、編曲がある程度決まったところで早めに作詞に取り掛かりました。

「最悪の災厄」という単語は昔「レジンキャストミルク」というラノベを読んだ時に目にしたもので、当時凄く厨二心をくすぐられたのが印象に残っていたのでいつか歌詞に使おうとずっと考えていました。

ちなみに英語字幕の方も韻を踏むようにしたかったので、「THE DISASTER CLUSTER」と訳しました(文法的に合っているか分かりませんが)。

当初は最終的に少女を助け出すボーイミーツガール的な構想がありましたが、最初に2分台の曲で行くと決めてしまっていたせいで尺が足りなかったので、世界にはそのまま滅んでもらいました。

しかしそれでも尺不足&説明不足で、何か色々匂わせて各々上手く解釈してくれ~という感じになってしまいました。
今までも「作者の人そこまで考えてないと思うよ」的な歌詞の作り方は多少していましたが、今回は特に丸投げ感が強くなってしまったのは反省点です。

一応世界観としてはアルトネリコシリーズの影響を受けていて、謳により封印し続けるという要素はまんまクロニクルキーだったり、「天など既に消えて」という歌詞は天も地も消滅してただ雲海が広がるだけの世界になったイメージだったりします。

余談ですがアルトネリコシリーズは当時PS3を持っていなかったせいで3をプレイ出来ていないので、いつかSteamで配信してくれー!とずっと願っています。

ボーカルについては、崩壊した世界で謳う少女というとやっぱ青髪白ワンピだよな!となった結果、NEUTRINOのめろうがイメージに合うので起用しました。
「ガーベラ」ではサブボーカル的な立ち位置だったので、メインで改めて使ってみたいと思っていたのもあります。

曲名について、テイルズオブシリーズの「ファイナルプレイヤー」という秘奥義の響きが好きでいつか曲名に使おうと考えていました。

しかし曲名被りを検索すると結構有名な曲があることが分かりました。
マイナーな曲ならまあ…多少は良いか…となりますが正直こういう「知らなかったけど実は有名な曲がある」という被りがあると「先に作っただけのくせにズルいぞ!!!!!!」とブチギレそうになります。

曲名に著作権は無いし、「さくら」のような普遍的な単語の曲名被りは無数にありますが、熟語で被るとちょっとどうなの?っていう暗黙の了解のようなものがあるのがやりづらいなぁ…と感じます。
(自分が勝手にそう感じているだけかもしれませんが…)

また、以前「月に叢雲 花に風」を作った時に「曲名が東方曲のパクリじゃん」というクソコメが付いてブチギレたことがあるので(そもそも元はことわざだしそんなことも知らずに批判する辺り東方厨がよ…)、曲名被りは本当はやりたくないです。

しかしいくら考えてもどうしてもこれで行きたいと思ったので、申し訳程度にtheを付けてこの曲名で行くことにしました。

なお、曲名の表記について、今までは

 【使用ボカロ】曲名【オリジナル曲】

にしていましたが、この書き方は結構古いようで、最近の主流は

 曲名 / アーティスト名feat.使用ボカロ

のようなので、今後こちらに統一することにしました。


コード進行

キーはGメジャー(Eマイナー)で最後Abメジャーに転調していて、BPMは155です。
リファレンス曲がBPM165で少し速いなと思ったので若干BPMを下げました。

イントロは VIm - V - IVM7 - IIIm7 - IIm7 - IIIm7 - IVM7 - III7 で、リファレンス曲のものをそのまま流用しています。

Aメロは IV - V - VIm - IV - V - I でこれもリファレンス曲のものです。
汎用性の高い進行なのでこれは今後も使っていけそうだと感じます。

Bメロからは独自性というかいつもの手癖で作っていて、
前半が IV - V - VIm - IIIm - IV - V - I - I#dim 、
後半が IV - V - V#dim - VIm - IIm - VIIm-5( F#m-5 / C ) - III7 です。

サビは前半がEマイナーのカノン進行になっていて、
Im - Vm - VI - III - IVm7 - Im - II7( F#7 ) - V7 です。
マイナースケールのカノン進行の曲は結構ありますが、終わり際が II7 - V7 になっていることが多くてカッコ良いので真似してみました。

サビ後半について、Eマイナースケールのカノン進行の
 Im( Em ) - Vm( Bm ) - VI( C ) 
で始まる部分が平行調のGメジャースケールの
 VIm( Em ) - IIIm( Bm ) - IV( C )
と一致することに気付いたので、Gメジャーの
 VIm7 - IIIm7 - IVM7 - V7 - I - I#dim - IIm7 - V - VIsus4 - VI
といつもの63451進行になっています。

間奏は6/8拍子になっていて、 VIm - IIm の繰り返しから IV - IIIm -VIm で締めています。

音源・プラグイン

ボーカルはNEUTRINOのめろうです。

今回改めて調声に挑戦してみましたが、やはりNEUTRINOは癖が強くて難し過ぎてタイミングについてはベタ打ちの方がマシでした。
とりあえずピッチでビブラートをこまめに入れるようにしたらだいぶ良くなりました。
以下の動画を参考にしています。

プラグインは~200Hzくらいでローカット、ディエッサーでRX10 De-essを入れてからNectar4を入れ、CLA-2Aで2~3dBリダクション、WAVESのPuigTec EQP-1Aで8kをブースト、Saturation Knobを1.2、低音のこもる280kHzをダイナミックEQで-2dB削り、倍音を足してシャリシャリになった分12kHz~を-0.5dBハイシェルフ、Vocal Doublerを各項目40~45%くらい、ディレイを189ms・フィードバック25・ハイパス200ローパス3k・WET4%でインサート、最後にVocal Riderで均しています。

ディレイについて、ボーカルに189msのディレイを入れるというのが魔法のディレイと呼ばれているらしいので入れてみましたが、確かにオケへの馴染みと存在感が絶妙にイイ感じになります。

空間系はセンドでValhalla VintageVerbの「Vocal Plate」でDECAY 1.00s、PREDERAY 50msに調整したものを入れて、それぞれ~300と5k~をEQでカットしています。

ハモリは3度下ハモです。
プラグインはWAVES Doubler 2の「Basic Doubler」を原音抜きで入れて、ローカット・ディエッサー・Nectar4はメインと同じ、EQで400Hzと1.3kHzあたりを-1dB削って5kHz~を-1dBローシェルフ・13kHz~をハイカットして音の芯を削り、Renaissance Axxでアタック0.00にしてリダクション6dBくらい潰し、センドでリバーブはValhalla VintageVerbの「Vocal Plate」を薄めにかけています。

左右で主にスタッカートで鳴っているヴァイオリンはVIENNA CHAMBER STRINGS Iです。
当初は前作で使ったJoshua Bell Violinを使おうと思ったのですが、アタックが遅くて使いづらかったので(なので前作では16分前にずらして打ち込んでいた)、アタックの速いストリングス音源を購入することにしました。

45,000円くらいするのでだいぶ躊躇いましたが、ちゃんとしたストリングス音源は遅かれ早かれ欲しくなるだろうと思っていたので思い切ってポチりました。
でも完成後にnoteを書いている今ちょうど半額セールをやっていて泣きそうです。

オレな 覚悟して買ったんだよ
けど なんか こうして セール中の画面見たらさ―――
―――悪い やっぱ辛えわ

でも使ってみるとUIが分かりやすく、音質が良いのは当然としてアタックの速さとドライな音で使いやすくて、買って良かったと思いました。
みんなどうもな オレ この音源のこと好きだわ(ドン)

プラグインは280Hzくらいがベースと被るのでダイナミックEQで-1dBくらい削り、Valhalla VintageVerbの「Bright Hall」をMIX30%でインサートしていて、センドで8分ディレイをフィードバック0で薄く入れています。

イントロ、サビ、間奏のパイプオルガンはXpand!2の「Digital Church Organ+」で、右手側のアルペジオと左手側のコード弾きでトラックを分けています。

打ち込みについて、オルガンは鍵盤の強弱に関係無く一定の音量・音色で鳴る楽器なので、ヒューマナイズ等でベロシティをいじる必要は無いようです。

プラグインはSaturation Knobを0.7、~300Hzを-1.6dBローシェルフ、クワイアやヴァイオリンと被る230Hz、700Hz、900HzをダイナミックEQで-1dB、Valhalla VintageVerbの「300 Large Hall」をMIX44%でインサートしています。

低音域の処理について、何でもローカットすると全体で聞いた時に150~250Hzの辺りの帯域がへこみがち、という話を聞いたので、特に厚みを出したいオルガンやピアノはローシェルフの方が良いなと最近感じます。

ピアノはAddictive Keysの「Intense Keys」で、コード弾きの他サビで高音でメロディの合いの手的なのを入れています。

当初サビがちょっと物足りない感じでしたが、合いの手をちょろっと入れるだけでグッと良くなりました。
プロの作る曲(特にポップス)にはとにかく細かいフィル的なのが隙あらば入っているので、これからも意識したいと思いました。

プラグインは~180Hzを-2dBローシェルフ、ヴァイオリンと被る300Hz、550Hz、980HzをダイナミックEQで-1dB、4.2kHz付近を広く1dB持ち上げて明るさを足して、センドでValhalla VintageVerbの「Bright Hall」と4分のディレイをフィードバック5で入れています。

シンセパッドはSpireの「PD Munich」でプラグインはだいたいいつものセッティングで、WIDERで160%に広げ、~340Hzを-4dBローシェルフと8k~を1.7dBハイシェルフ、ボーカル・オルガン・クワイアと被る460Hzと600HzをダイナミックEQで-2dB、インサートでValhalla VintageVerbの「Aerial Hall」をMIX17%でかけて、WAVES CenterでSideを0.3dB上げています。

イントロとサビで左右で鳴っているクワイアは、Xpand!2の「Aah Choir」と「Male Aah Choir+」です。
プラグインはSaturation Knobを1.0、~300Hzを-2dBローシェルフと8k~を0.7dBハイシェルフ、ボーカルと被る340HzをダイナミックEQで-1dB、MAutoAlignで位相ズレを防止しています。

ベースは今回そんなに低音はいらないので、レイヤーせずにSpireで作ったものを使用しています。
プラグインはWAVES Doubler 2の「Basic Doubler」でステレオ感を出し、Renaissance Bassの「Basic setup」でIntensityを-3.0まで下げて倍音を足し、ボーカルと被る340Hz、550HzをダイナミックEQで-1dB、CLA-2Aでリダクション3~5dBくらい潰し、Ozone11 Imagerで~70Hzを-40くらいに狭めて低音が横にモワモワし過ぎるのを削り、キックとのサイドチェインコンプでキックと被らないようにしています。

キックはVengeance Essential Clubsounds Vol.4(以下「VEC4」)の「Trance Kicks 14」で、エフェクトはSubmarineの「Club Kick」でMIXを6にして、5.3kHzくらいを緩く1dBブーストしてアタック感を強めています。

ハイハットについて、AメロはVengeance EDM Essentials Vol.1の001と004のレイヤーでL70にパンを振り、BメロはVEC4 Hihat Percussion Loopsの102、サビは同ループの211です。

当初全て打ち込みで作っていましたがBメロとサビがあまりにもしょぼく、帯域も高音域が全然足りなかったので、ループ素材にしたらだいぶ良くなりました。

プラグインについて、打ち込みは~1kをローカット、ループ素材はWIDERで200%まで目一杯広げ、WAVES Doubler 2の「Basic Doubler」を原音抜きで入れて、WAVES CenterでSideを0.5dB上げ、~700Hzをローカットしています。

終盤のサビでキックと一緒に鳴っているクラッシュシンバルはVEC4の10でプラグインは入れていません。

また、キック・ハイハット・シンバルをまとめたBUSトラックを作り、SSL G-Master Buss Compressorでレシオ2:1、アタック30、リリース.1でリダクション1dBになるようかけています。

AメロからBメロへの切り替わりやサビ頭で鳴っているオーケストラシンバルはUVI Orchestral Suiteのものです。
以前安いからと買ったものの全体的に使いづらくて全然使っていなかったのですが、シンバルはそこそこ使えたので使ってみました。
プラグインは入れていません。

サビ頭で鳴っているFXキックはStudio One付属のImpact XTの「Trance ID」にある「Deep Hit」です。
とりあえずこれを鳴らしておけば壮大な感じが出て、良い意味で目立ち過ぎない音なので使いやすいです。

Aメロと終盤のサビ序盤で鳴っているアルペジオはSYNTHMASTER ONEの「ARP London LN」で、プラグインはボーカルと被る400Hz、2.7kHzあたりをダイナミックEQで-2dB削っています。

終盤のサビ序盤でうっすら鳴っている鐘はXpand!2の「Church Bells Loop」です。
プラグインはValhalla VintageVerbの「300 Large Hall」をMIX39%、4分ディレイをフィードバック0でインサートしています。

ラストに鳴るベルはNEXUS4の「Fantasy」で、プラグインは2kHzのキンキンするところを-2dB、Valhalla VintageVerbの「Bright Hall」をMIX30%で入れています。

マスターのボリュームについて、サビ以外は-1dBオートメーションをかけています。

ミックスの音量バランスは、マスターにOzone11 Imagerを入れてモノラルにして、Tonal Balance Control 2でリファレンス曲をターゲットにして調整しました。

マスタリングについて、Shadow Hills Mastering Compressor Class AでOPTICAL、DISCRETE(レシオ2:1、アタック30、リリース.25)ともに最大0.5~1dBくらいになるよう薄くかけ、WAVESのPuigTec EQP-1Aをただ入れるだけにして倍音を増やして、Ozone11のマスターアシスタントをリファレンス曲をターゲットにして入れています。

今回OzoneのEQは調整が結構大きく入り、中音域を削るのと高音域を上げるようかかっていたので、±1.0dBくらいになるようAmountを下げています。
まあピアノ・オルガン・シンセパッド・クワイアと中音域に楽器が集まりまくっているので仕方無いです。

マキシマイザーの音圧は、平べったくなり過ぎないところを探った結果-10LUFSにしました。

動画化

青髪、白ワンピ、目を閉じて手を広げて見上げる、というイメージで生成しましたが、ちょっと腕がAIっぽい感じが強いと思います。
モデルはAnything V5で、プロンプトは以下のとおりです。

プロンプト
(masterpiece, best quality:1.2), 1 girl, long hair, blue hair, white dress, sleeveless, (looking up at the sky), spreading arms, shooting star, pile of rubble, closed eyes, night, dutch angle, dark atmosphere, highres

ネガティブプロンプト
nsfw, EasyNegativeV2, (negative_hand-neg), (worst quality), (low quality), (multiple arms), (multiple legs), watermark, username, artist name, bushy eyebrows

また、動画編集ソフトはWondershare Filmoraを使用しているのですが、今回は下記の動画を参考に歌詞をちょっと凝った感じにしてみました。

最後に

再生回数的には、ボーカルが初音ミク以外でジャケット絵もAIっぽさが強いので、正直今回はなかなか伸びない気がします。

しかし、前作で一度爆伸びしたのを経験したので今回作っていてプレッシャーになるかと思いましたが、むしろ「今回伸びなくても一度爆伸びしたことあるしええか…」とどっしり構えて作ることが出来ました。

今回編曲がかなり手探り状態で苦労したり、歌詞にどうにも納得が行かなかったりして「本当に自分はこの曲が好きになれているか?」と悩みながら作っていましたが、最終的には何だかんだで納得の行く曲になったと思います。


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