空飛ぶストレート

ケンとコウはバッテリー。ケンがピッチャー、コウがキャッチャー。
コウは広場でケンの投げるボールを受けていた。
「ケン、もうやめようよ。手が痛いし、暗くなってきた」
まだまだ投げたりないケンは、空に向かって、思いっきりボールを投げた。

驚いたのは、飛んでいたツバメ。慌ててよける。
羽根をかすめて、ボールはまっすぐに、空高く上がっていく。

のんびりと浮かんでいた、雲も驚いた。慌てて体を二つに分けてよける。
雲の間を通り抜け、ボールはまっすぐに、空高く上がっていく。

夜になって出てきた、月も驚いた。慌てて満月から三日月に変わってよける。
かけた月を通り抜け、ボールはまっすぐに、高く上がっていく。

月を通り抜けてきたボールを見て、星も驚いた。慌てて横に動きながらよける。

落ちてこないボールを待っていたコウが、空を見ながら叫んだ。
「流れ星だ!」
ケンが隣で祈る。
「もっと速いストレートが投げれますように」

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