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2020年7月に読んでよかったテキストたち

こんにちは、けんず(@kenzkenz61)です。

毎月、読んでよかったテキストを紹介する定期マガジン。途中ふた月まとめた時もありましたが、今回でちょうど半年となりました。

どれほど読んでくださる方がいるか分かりませんが、淡々と細々と、自分の記録として続けていこうと思います。

それではさっそくいってみましょう。

1.声に出したいことば「ニューキックスイン」

新しいスニーカーを買った方が、心置きなく自慢をしてくれたら良い。このメディアを使って、フルパワーで『俺のスニーカー、かっこいいだろ!!』と言ってほしい。『私のスニーカー、見てよ!!!』と自慢してほしい。そして何より、僕が「めちゃくちゃ良いっすね!」と言いたい。かっこいいスニーカーをたくさん見たい。そんな思いで、このメディアをスタートしました。

大切な友人、三浦希さん(@miuranozomu)が新しく始めた「ニューキックスインマガジン」のリリース記事。

モノを紹介するメディアは数あれど、これほど熱量に圧倒されてワクワクするメディア、あるのでしょうか。たまらなくスニーカーが欲しくなり、何よりとってもニヤニヤしてしまいます。

いや、きっと、三浦さんご自身が誰よりもニヤニヤしながら書いているに違いありません。

このマガジンの大好きなところは、読むと自分も「気持ちよく自慢したくなる」こと。この「気持ちよく」というところが素敵で、リリース記事からも溢れ出ちゃっています。

現在、2つの「今週のニューキックスイン」が更新されています。スニーカーが好きな人も、最近買ってないなあという人も、一緒にニューキックスインしましょう。好きなものを気持ちよく自慢しましょう。

2.丁寧に自分を育てることができる才能

崎山くんはすごく丁寧に崎山蒼志を育ててきたのかもしれないね。自分で自分に水やりをしてることにも気付かずに。私は自分に水をやるたびに大きくなれとか、こうなりたいとか、そういう邪心があるからまだ子供っぽいのかな?

はじめてPOPEYEを買いました。2020年8月号。

お目当ては、最近心を鷲掴みにされている、くどうれいんさんの短編エッセイが収録された冊子。そちらもとっても良かったのですが、今回ピックしたのは違うテキスト。

モデル・女優として活躍されている池田エライザさんによる「大人」について考えるインタビュー連載。8月号のゲストは高校生シンガーソングライター、崎山蒼志さん。

自分で自分に水やりをして、自分のことを丁寧に育てていくのって難しい。「こうなりたい」や「こうなるべき」、「気づいたらこうなっていた」の感情を適切な距離できちんと感じ取って、うまく使ってあげたいな。

3.折れたから頼ることができるようになった

ある時、後輩に言われハッとした。今までの私はただ罪悪感とか、自分を情けなく思う気持ちに押し潰されていただけじゃないか。自分ができること=無理をすることだと思い込んでいたことに気づいた。

先日、池松潤さんらアウトプットLAB主催のオンラインイベントに参加しました(イベントについては下記リンクを)。

そこではじめてお会いした秋月さんのnoteから。

「できない時期に自分のできることを」という発想になったとき、無理してでもいつも通りに頑張りたい気持ちも、無理したって思うようにできない情けなさや苛立ちも、どちらも共感して、まるで追体験しているようでした。

わたしもどちらかというと、迷惑をかけたくない気持ちが先行して、無理してでもやってやろうというタイプ。

「誰かを頼ることのできる自分」になるために折るべきだった心なのかもしれないな、と前向きになれる読後感が広がりました。

4.また覗いてみたくなる、誰かの暮らしの形

ひとと暮らすのは良いものだ。ベッドにうずくまる朝、同居人が朝ごはんの仕度をしている物音がキッチンから静かに聞こえてくる。コーヒーの香りがふわんと漂ってきて癒される。眠い目をこすりながら部屋を出て、からからの声でおはようって言い合って、準備する。

人が生活している温度をしっとりと感じるような、この手の文章に滅法弱いです。

身の回りのこの人にもあの人にも、どこかの誰かにも生活があって、劇的ロマンチックなことが起こらなくたって、毎日暮らしの跡を残している。

そういう、わざわざ書き残さないと消えてしまいそうで、けれどふんわりと大切な思い出になっているような、教訓やハウツーがなくったって「あ、読んでよかったな」と思えるもの。そんな日記やエッセイに出会えた時、たまらなく嬉しくなります。

5.80パーセントの完成度で

記事のメッセージ性が強くなりすぎると、内容の不完全性を担保しにくくなります。
確信のないぼんやりとした思考を、仮のものとして出すのが難しくなる。
それは受け手側の問題というよりか、書き手側である僕の気持ちの問題です。
僕にとってブログは内省の場としての意味合いが強いので、仮に不完全であっても、それが自分のリアルタイムの思考とズレていないことの方が重要なんです。
発酵しきっていない思考をその都度無理やりまとめ上げようとすると、本当じゃないことがアーカイブされてしまうから。

ブログでもnoteでもYouTubeでも、毎日発信されている方は本当にすごい。

ある程度考えがまとまってから書きたいなと思うタイプなのですが、それを真っ向から打ち砕かれるような記事でした。

“リアルタイムの思考とズレていないこと”という視点。心の引き出しの大切なところに置いておきたいです。文章を書くことで内省しつつ、未来の自分のために道標を残してあげれたら良いと思うのです。

6.不幸合戦、まっぴら御免

そもそも「不幸な経験がある人こそ創作者に向いている」ということも信じていないし、その創作者の不幸合戦って不毛だと思っています。不幸ゆえの反逆心は、創作の上で一瞬は光ると思うんですけど、不幸合戦の先って究極「死」なんですよね。「いい作品を書くためには死んだ方がいい」って、おかしいじゃないですか。

作家・朝井リョウさんへのインタビュー記事。

創作のための不幸合戦。自分の人生の中でインパクトのあるエピソードから、切り売りするように書いていく。

これなら涙がもらえるのでしょうと、ちょっと期待して。もう世に出せるものがなくなったと、誰かの不幸な経験に対して、美しくない、浅はかな妬ましさを感じて。

「物語で大事なのは、物じゃなくて語りの方だ」
最近読んだ藤田祥平さんの小説にこんな言葉が出てきて、すごく印象的でした。自分はスペシャルな経験を持っていないのだから、なんてことない「物」を「語り」で成立させていこう、そういう気持ちになりました。

本当にその通りで、もっと語りの方を大切に磨いていきたいなと思いました。

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7.スクランブルスクエア2階の花屋とか、夜中の上野公園とか

どれだけ名前を呼んでも、人は犬や猫じゃないんだから、戻ってこないことがざらにある。悔しいけれどそういうものだ、わたしも、あの人も。

久しぶりに、一行目で「あ、続きを読みたい」となった文章。

会話と情景描写と、思ったことの混ざり合いが絶妙で、食い入るように読み切ってしまいました。

うまく言い表せなくて申し訳ないのですが、自分のことを淡々と遠くから見つめている瞬間と、どうしようもなく目の前しか見れなくなっている瞬間。その両面がこの文章から感じられて、とっても良かったです。

8.「恋をしましょう」

みなさん恋をしましょう。
誰かを好きになりましょう。
そして自分を好きになりましょう。

2011年、BEAMS創業35周年記念キャンペーンの広告。うすらぼんやり記憶の片隅に残っていたこいつを、最近また目にしました。

恋の形は、実っても実らなくても全然問題なくて。別に恋愛感情だけじゃなくて、家族や友人とか、好きな食べ物とか漫画とか、たぶん恋の相手さえもなんでもよくって。そんな懐の広い呼びかけである「恋をしましょう」。

「絆」という横のつながりを再確認させる言葉があふれた当時、「恋」という言葉で世の中の気分を前に進めようとしたのが、このキャンペーンなのだ。

震災があった2011年。前向きさを取り戻す後押しをしたこの広告に、2020年の今また出会えたことを。

9.いちばんの味方はわたし

1年後、10年後、30年後も、私は私の頭を撫でるよ。
大学生の私だったら抱きしめる。

7月最終日に飛び込んできました。よかった。

自分自身が、自分の一番の味方でいてあげるという、大切だけど忘れてしまいがちなことが、すくうように丁寧に、書かれていました。

心の中には、様々な表情をしたたくさんの自分がいますが、自分のことを手放しで抱きしめてあげる自分が座る席は、必ず用意しておこうと思います。

「安心しておやすみ」というタイトルに込められたあたたかさも好き。自分からわざわざ悪い夢は見ないぞ。

***

さて。7月も終わり、長かった梅雨もようやくあけました。

7月は本業の忙しさにやられていましたが、蓋を開けてみれば、たくさんのテキストに支えてもらったり、考えを整理してもらったりしていたのだと感じます。

いよいよ夏本番。夏は夏らしい、爽やかなことをたくさんしたいですね。

それではまた来月。

サポートをいただいたら、本屋さんへ行こうと思います。