なぜ?

高齢者のお宅や老人ホームへ出向きマッサージを提供する仕事をしています。年齢的にいろいろな病を抱えており、麻痺や下肢の筋力低下があったりと周りの介助がないと生活が難しい方々ばかりで基本的に皆さん介護度が高いです。訪問すると喜んでもらえる事が多いです。明るく朗らかな方、寡黙な方、なかなか本音を言わない方、会話ができない方、病を受け入れる事に苦悩している方など様々。その人が歩んできた人生と言うものが身体そのものに刻み込まれる。触れさせてもらうこと、また、話の端々で壮絶な人生だったんだなと窺い知れます。この仕事を始めた十数年前はこのハードな症状に対してそれほど効果は見込めないのではないかと思い悩みながら施術に当たっていました。実際、今でも患者さんご本人やご家族が満足する様な効果が出せているとは思いません。客観的に見て明らかな効果を実感できていないにも関わらず継続するのか?と常に疑問に思っていました。効果が無いのであればやっていなのと一緒ではないか?と。ある時、手足に麻痺のある患者さんに言われたことがあります。「体調はいつも悪いんだけど、マッサージを受けることで悪いなりにいい感じという事があるでしょ」と。何気ない会話の中で「あっ、そうか!」と腑に落ちたというか納得したというか。目に見える効果を出して納得してもらわないといけないとばかり思っていました。もう完全に元には戻らない身体、老化していく身体に誰もがいつかは向き合わなくてはなりません。

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