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昼ごはん

ご飯をついでと言われる。頼まれごとは試されごと。ご飯をついでテーブルに並べる。

しかし、ご飯ついでって言ったやろ!と再び言われる。なぜか不機嫌なのだ。自転車を、盗まれたからなのだろうか。いや、違う。それは何となくわかる。

ご飯は電子レンジの中だ。妻は電子レンジからタッパーを出している。わたしは茶碗についだご飯を気持ち手荒く炊飯器に戻す。

この手の小さくて薄っぺらい理不尽さは社会生活の中では日常的に溢れているだろう。皆さんこういうことってまぁあるよね?と心の中で呟く。

誰だ自転車を盗んだやつは。ボロボロの鍵のかかってないママチャリをウチのアパートの駐車場から盗んだやつは誰なんだ。

盗難届けを出し、お巡りさんから「盗まれた自転車をいくらだったら購入しますか?」と言う聞き取り調査に「5000円」と答えたらしい。わたしは1000円でも買わない。そんなマニュアルがあるんだと少しだけ驚く。

小さなペラッペラの理不尽さは大切にしなければならない。

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