アメリカの失業率が14.7%に急上昇しても株価が上がり続ける社会とは?
連邦労働省がアメリカの失業率の急上昇を発表した昨日、ニューヨーク市場の株価は上昇を続けた。
労働市場からの退出者も含めて実質失業率が20%を超えたとされるなか、IT、プラットフォーマーなどの企業の株価は3月からずっと大幅な上昇を続けている。
自宅に留まっている消費者が増えているからこそこうした企業の価値が高まっているとの見方がある一方で、次のような記事が出た。
“equity values simply no longer depend on the functioning of society”
「株主価値はもはや社会的機能に依存しない」
より具体的には、「労働集約的ではない、ロボットに置き換えられている、労働組合の交渉力がない」という企業の株価が上昇している、との話だった。
問題なのは、これが一部の話やナスダックの話ではなくて、ニューヨークのS&Pとかダウの話で、特殊な話ではないということだ。
失業率が上がれば株価が下がる、というこれまでの常識は、確かに「社会的機能」に株式市場が連動していたことを意味している。
つまり、消費者の購買力に株価が連動していたといって良い。
ところが、プラットフォーマーやネットワークビジネスの上層にある企業は、そうした社会的機能から分断されている。労働者の多くは下請け企業や個人請負として切り離されているし、労働組合もないからだ。
もっとも、この傾向がこのまま続くのかどうか、ということは注視しなければならない。
あくまでもStay Homeの結果としての株価の反映なのか、ということだ。
だが、このまま「社会的機能と分断された株主価値の上昇」傾向が続くのであれば、株式市場という存在の位置付けを社会、経済、政治のなかで考え直さなければいけない時期に来ているということだろう。
失業者があふれ、貧困や格差が拡大していても、同時に、投資家の利益が拡大し続ける、というシステムになんの存在意義があるのか?
https://nymag.com/intelligencer/2020/05/us-unemployment-rate-jobs-report-stock-market-dow.html
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