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中公文庫「日本の歴史」で面白かったところ

中公文庫「日本の歴史」は全26巻、神話時代から高度経済成長までが記されています。

一冊一冊担当の学者さんが書いており、かなりガチの歴史書に近いので難しいですが、その分読み応えがあります。
なんといっても学問寄りなので、ロマンもへったくれもないドライな歴史をきちんと説明してくれるので、勉強になります。
さて、その中で僕が面白かった部分をご紹介します。

アヘ麻呂

壬申の乱って覚えてますか?
大海人皇子が大友皇子に対し挙兵した、古代最大のクーデターです。
このとき、大海人皇子に加担した地方の大豪族が、「紀臣阿閉麻呂(きのおみ あへまろ)」という人だそうです。
アヘ麻呂て……
寛平師匠の先祖でしょうか?
この時代に名前が残っているということは、相当な人だったと思います。
(日本の歴史2 古代国家の成立 壬申の乱 その他の諸勢力)

大化の改新でそんなことを…

大化の改新は学校で必ず習うので誰でも知っていますよね。
「日本の歴史3 奈良の都 あいつぐ女帝 采女と女儒」によると、その大化の改新で出された面白いおふれが出されました。

奈良時代、采女(うねめ)という官職がありました。
後宮で雑用などをする女官です。
その采女は、宮中で働く男性官僚なんかの憧れの的だったそうです。
今なら乃木坂みたいなもんでしょうか。
かの藤原鎌足が采女をゲットして有頂天になって詠んだ歌が残っています。
乃木坂のメンバーを彼女にして有頂天になって友達に送ったラインを千年後に読まれていると考えるとちょっと鎌足が可愛そうですが……

采女の定員は66人で、全国の郡司の姉妹や娘から採用されたようです。
さて、大化の改新が行われて、国の体制がガラリと変わったのですが、そんな中朝廷は全国の豪族に対し、采女として

「形容(かお)の端正(きらきら)しい者を貢(たてまつ)れ」

とお触れを出したそうです。
要するに、「お前んとこにいるいっちゃん美人を後宮によこせ」ってことです。
顔で採用かよww
あと、「きらきらしい」っていう古語があったのがなんか面白いですw
今でもアイドルのことを「きらきら」って言いますしね。

余談ですが、昔の貴族は妻問い婚が主流だったらしく、たとえ婿が天皇でも子供が生まれたら妻の家系の子供となります。
てことは、娘がワンチャン天皇の子供を身ごもったら、自分達が天皇の外戚になれるわけで、地方貴族たちはこぞって美人を采女に送り込んだことでしょう。
それにしても、歴史的な大転換の裏で全国から美人をかき集めていたとは……

古代のいじめ

奈良時代、和気清麻呂という貴族がいました。
彼は当時権勢を誇った僧道鏡の怒りを買い、「別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)」という名前に改名させられた上に左遷されました。
中学生のいじめかよ…
(日本の歴史3 奈良の都 道鏡と女帝 八幡の神託)

塩焼王

桓武天皇即位の翌年(782年)大和乙一というものが宮中に侵入したが捉えられました。
彼は尋問され、主人の氷上川継の謀反を白状しました。
その川継の父親が、天平時代に宮中紛争に巻き込まれて悪名高かったらしく、その名を「塩焼王(しおやき王)」というらしい。
美味しそう……
(日本の歴史4 平安京 桓武天皇の登場 氷上川継事件)

他にもいろいろ

今回はネタ系で集めてみましたが、他にも仏教の話とかいろいろ面白いことがいっぱい書いてあります。

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