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自足すること(岐阜で、土に触れる #5)


(1)「自給自足」は難しい。でも「自足」はできる

私たちが日常的に口にする発酵食品や保存食たち。その中には、材料を揃えて仕込めば、あとは食材と菌が美味しく仕上げてくれるものが、意外に多くあります。

この記事でも書きましたが、わが家では自家製のヨーグルトと甘酒を常備しています。ヨーグルトも甘酒も、材料を混ぜてセットすれば、いとも簡単にできあがります(しかも美味しい)。

なお、この記事で紹介する発酵食品や保存食の、その材料のほとんどは購入しています。そのため「自給自足」とは言えません。ですが、生産工程を自分で行うので、「自足」とは言えそうです

【自給自足】自分の所の必要物資は自分の所の生産品でまかなうこと。

【自足】自分で必要を満たすこと。

新明解国語辞典 第八版

現代では、あらゆるモノ・コトに値札が付いているので、たいていのものは金銭と引き換えに手に入ります。ですが、その対象を見直せば、少しの材料と手間をかければ自分で賄えるモノ・コトまで、購入していることに気が付きます。

「自足」とは、こうした日常の消費行動を見直すことでもあり、また、自分たちの食べ物の「正体」を見極めることでもあります。

岐阜に戻ってから、こうした「自足」の範囲が増えました。今回は、その一部を、紹介していきます。

★☆1つ前の記事はこちら★☆

(2)自分で作ること(味噌と梅干し)


① 味噌を育てています(4月~)

私が禊の呼吸法・座禅の修行に通った一九会道場(東京都・東久留米市)では、修行の合間の食事において、竈で炊いた麦飯を、自家製の味噌・梅干しと一緒にいただきます。

修行の合間にいただくこの食事は、質素ながら、私にとっては何よりのごちそうに感じられました(竈で炊いた麦飯は、本当に美味しいのです)。そんな良い思い出があるので、味噌と梅干しを、いつか自分で仕込んでみたいと思っていました。

さて、岐阜の実家にUターンしてみれば、大抵の道具は揃っています。発酵食品を仕込んで、保存しておくスペースもあります。ならばということで、まずは味噌の仕込みに挑戦しました。

材料の大豆・米麹・塩はスーパーで購入しました。

大豆は、少し前まで大叔母が育てたものをいただいていましたが、獣害(おそらくニホンザル)に遭って栽培を止めたそうです(地方では、獣害は身近で深刻な課題です)。来年以降は、味噌づくりに必要な大豆は、自分で栽培しようと計画中です。

仕込みの詳細な工程は省略しますが、簡単に書くと、

大豆を水に漬ける→煮る→潰す→米麹+塩と混ぜる(下の写真)→容器に詰めて保管・熟成(以上)

想像した以上に簡単な作業工程でした。

煮て潰した大豆+米麹+塩(①)
①を、琺瑯の容器に詰めた状態
常温で保管。あとは熟成を待つだけ。

2か月ほど経って状態を確認したところ、表面にカビが発生していました(写真は撮り忘れました)。家庭で作る場合、カビの発生はよくあることのようです(反対に、味噌蔵ではまず発生しないそうです)。表面のカビを取り除いて、再び保管場所に戻しました。

カビを取り除くなんて、わずかな手間です。むしろ、こうした手間がかかるからこそ、無事に熟成できたときのありがたみが増すように思います。熟成期間は3~6か月。もう少しで完成です(2023年7月現在)。楽しみ。

② 梅干しを漬けています(6月~)

地方では農産物の直売所が身近にあります。直売所に行けば、季節の野菜が並んでいます。スーパーではあまり見かけない農産物も売られているので、なかなか面白いです。

5月末になると、梅が店頭に並び始めます。梅干し作りに適した梅が出回る期間は1か月程度。6月に入り、いても立ってもいられず、サイズ違いの梅を2kgずつ、計4kg購入して、さっそく漬けてみました。

こちらも詳細な工程は省略しますが、簡単に書くと、

洗った梅のヘタを取り除く→塩と混ぜる→重石を乗せて梅酢を上げる(以上)

味噌同様、こちらも、やってみればあっという間の作業でした。

梅雨明け、快晴のタイミングを見計らって、3日間の土用干しをする予定です。美味しい梅干しになることを期待して待っています。

ヘタを取り除いた梅
粗塩と一緒に容器に敷き詰める
梅酢が上がるのを待つ(写真は梅酢が上がりきった状態)
一部は「赤しそ漬け」にします

(3)自分で作ること(発酵食品)


① 自家製のヨーグルト・甘酒

5年以上前から、ヨーグルトメーカー(タニカ電器)を愛用しています。これさえあれば、発酵食品をいとも簡単に、それもたくさん作れるのです。

ちなみに、わが家では、ヨーグルトメーカーを用いて、次の3つを発酵させています。

  • ヨーグルト(常備)

  • 米麹甘酒(常備)

  • フレッシュチーズ(気が向いたら)

ちなみに、愛用するヨーグルトメーカー(「ヨーグルティアS」)は、「タニカ電器」という、地元・岐阜のメーカーが製造・販売する、優れものです。あまりの利便性に、周囲にその素晴らしさをお伝えし続けています(回し者と思われても構いません。それくらい好きです)。

ちなみに、タニカ電器さんの発酵食品にかける情熱は、同社が公表する発酵食品試作報告書に表れています。市販のあらゆる材料を使用して、ヨーグルトを始めとする様々な発酵食品を試作して、その結果を掲載しています。面白いのは、失敗したレシピも公開されていることです。

材料を揃えてヨーグルトメーカーにセットするだけで、あとは乳酸菌や麹菌ががんばってくれます。発酵食品を自分で作ることは、想像以上に簡単ですし、(スーパーで買うよりも)低コストです。ぜひ、お試しください。

その際には、ぜひ「タニカ電器」さんをご利用ください!

(4)採れるものをいただく


わが家の庭には、「実のなる木」がたくさんあります。せっかく植えるなら実のなる木がいいよね、ということで、以前から両親が植え増やしています。今では、家庭菜園(畑)とは別に、次のような「実のなる木」が、庭で育っています。

  • みかん(2種類)

  • いちじく

  • 柚子

  • ブルーベリー

  • ぶどう

中でも、私のお気に入りは、6月頃にきれいな赤い実をつける「ユスラウメ(梅桃)」です。食べると、サクランボのような、甘酸っぱい味がします。柔らかい実なので、次々に食べてしまいます。少し目を離すと鳥たちに食べられてしまうので、今年はネットを掛けて守りました。

「畑」という完全に人が管理する場所だけでなく、山や庭で採れる恵みを、手軽に口にできることが、地方で暮らす1つの楽しみとなっています。

赤いきれいな実をつける「ユスラウメ」
収穫した「ユスラウメ」の果実(きれい)

(5)カエルの餌を自足する


わが家の「マルメタピオカガエル」(名前:お耳)です。メインメニューは解凍したピンクマウスですが、庭や田畑で捕獲した生き餌にも、勇ましく食いつきます。

巨大ミミズに食いつく「お耳」

東京にいた頃は、購入するピンクマウスや乾燥イトミミズしか選択肢がありませんでした。ですが、岐阜では庭仕事や畑仕事をする中で、思いがけず生き餌を調達できることがあります。

上の写真は畑から出てきた大きなミミズ。食いつき、少しずつ飲み込んでいく様子は壮観です。また、アゲハチョウの幼虫も好んで食べてくれます。アゲハチョウの幼虫は庭のみかんの葉を食い尽くすので、駆除をしています。本来ならば駆除しても処分に困るだけですが、わが家では「お耳」が食べてくれます。地方では、人間だけでなく、カエルの餌も自足できるのが面白いですね。

こんな感じで、合気道の傍ら、「自足」の範囲をジリジリと広げています。「地方ならではの楽しみ方」ですね。

みかんの葉を食い尽くすアゲハチョウの幼虫(庭で捕獲)
アゲハチョウの幼虫に食いつく「お耳」

(本文終わり)

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