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Vol.1 本音と建前の経営が諦め社員を量産する

経営未経験者が好き勝手に語る「妄想経営学」の第1回目の投稿です。
初回なので、まずはこの「妄想経営学」が誕生した背景について書いておきたいと思います。


就職

私は1993年にある企業に就職しました。
その企業は「人と地球のためになくてはならない存在になろう」という素晴らしい経営理念を掲げていました。(一応社名は隠しておきたいので、経営理念の文章を変えています。)
就職活動中に、その理念に心から感銘を受け、就職を決めました。

ところが・・・

働き始めると、すぐに違和感を覚えるようになりました。
映像機器関係の研究所に配属され、希望通り新規商品の開発を行っていたので、仕事自体は面白く、やりがいがあるものでした。
ただ、現場で交わされる言葉は、「原価はいくらか」「いくらで販売するのか」「何台売れるか」「利益がどれぐらい得られるのか」ということばかりなのです。

勿論、収益性を考えることが大切なのは分かります。
でも、自分たちが開発している商品が「人のためになっているか」「地球のためになっているか」という視点で議論することはもっと重要だと思っていたので、どうしても収益性だけの議論には馴染めませんでした。

本音と建前?

2年目になっても違和感は膨らむ一方でした。
経営層への開発状況の報告会に参加する機会もあったので、流石にそこでは議論されるだろうと期待しましたが、やはり同じでした。
そこである日、私はある先輩社員に、「これっておかしいですよね」と問いかけたのです。
すると、その先輩から意外な返事が返ってきました。

「それは本音と建前だよ。」

経営理念はあくまで建前であって、利益を上げることが会社の使命であり、本音だというのです。
この回答に私は愕然としました。会社ってそんなところだったんだ。
こうして、2年目にして私は諦め社員になりました。
仕事は面白いから頑張るけど、会社とは一線を引いて割り切って働くようになったのです。

そして今考えると、おそらくこの時が、企業経営って何だろうという興味が芽生えた瞬間でもあったのだと思います。

諦め社員確定

その15年後、私は課長職になる試験を受けました。
試験項目には、筆記試験以外に、自分がどのように新規商品の開発を推進するかをプレゼンするという項目がありました。
実はこれまでの間も私の気持ちは変わっていなかったので、「自分は、第一に人のためになるか否かを考えて開発を牽引する」というニュアンスの案を作りました。
ところが部長による事前の指導で、またもや衝撃の言葉が。

「君はまだまだ甘い!そんなことでは会社が潰れる。役職者は部下に飯を食べさせないといけないんだ。一番大事なのは利益を上げることだよ。」

これはある意味説得力のある、でも自分には最高に残酷な言葉でした。
でも結局内容を修正し、心にもないロジックのプレゼンで、無事に試験に合格したのです。
幸か不幸か仕事自体は楽しかったので、転職を考えることはなく、でもこの時に諦め社員としての会社人生が確定しました。

一方、この出来事は、会社はこうあって欲しいという、企業経営に対する妄想がどんどん膨らむきっかけにもなりました。

企業の実態

近年はミッションやビジョンという形で、ユーザ体験を掲げる企業が増えてきました。
でも、結局それが建前になっている企業が多いのではないでしょうか。

ミッションやビジョンに感銘を受け、共感して意気揚々と入社してきた社員達が、数年後には現実に染められて「諦め社員」になる。
こんな構図になっていないでしょうか。
それって、とても勿体ないことです。

日本の企業は50%が「諦め社員」だと言われます。
好業績企業でも25%の「諦め社員」がいるそうです。
ビックリです。4人に1人も「諦め社員」がいるのが優良企業なんです。
勿体ない!勿体ない!勿体ない!
社員全員が全力で会社を愛し、最高のモチベーションで働く。
その方が良いに決まっています。

本音と本音の経営

ではなぜこれが本音と建前の関係になってしまうのでしょうか。
なぜ、本音と本音にならないのでしょうか。
それは、「◯◯のため」と「収益」とが相反することだからです。
いや、相反すると勘違いしている人が多いからなのです。
「◯◯のため」=「ボランティア」だと思っているのです。

そうではありません。
「◯◯のため」⇒「収益」
という流れを作ることができればよいのです。
でも言うは易しで、これが簡単にできるなら苦労しません。
頭では分かっていても、すぐにできることではないのです。
とても、とても、奥が深い話です。
でもこの「本音と本音の経営」が実現できてこそ、最も強い企業になり得るのです。

まとめ

「◯◯のため(経営理念)」と「収益」を、「建前」と「本音」ではなく、「本音」と「本音」で捉えて経営しないと勿体ないという話を書きました。
今回はここまでで、今後の投稿で様々な持論を書いていきたいと思っていますが、行きつくところは結局この「本音と本音の経営」ではないかと考えています。
また、先ほど書いた「その方が良いに決まっている」というセリフは、長年の経験から生まれた言葉です。これについてもいつか詳しく書こうと思います。
あ、でもあくまで「妄想経営学」なので、その点はご容赦ください(笑)。


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