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精神科医療ユーザーが安心して身体の病気の病院を受けられるようにするための声明

内閣総理大臣

岸田 文雄殿


医療ユーザーまた医療関係者として以下の声明を発表します


2023年6月に滝山病院での死亡退院数の信じられない多さ、そして看護者による入院患者の人間性を否定する虐待行為が報道されました。その2024年1月になり、最終報告書が発表されましたが、理事長および院長の責任は重大であるとされ、後任が見つかり次第、速やかに辞任すること人なりましたが、滝山病院そのものは存続するという結果に至りました。

私たちの認識といたしまして、報道の以前より事件は発生しており、報道により多くの問題点が可視化されました。問題の本質は変わっていないと認識しています。


この件につきまして声明を発表し、以下を求めます。


1 精神科医療ユーザーが身体疾患を持ったとしても安心して身体の医療を受けられるようにしてください


1 日本の医療から捨て置かれた存在である身体疾患をもった精神科ユーザーが安心して安全な医療を受けられるようにしてください


1 精神科のユーザーが、身体の疾患・身体の障害を持った場合、安心して利用できる総合病院を増やしてください


1 またそのような病院への地理的なアクセスを含むアクセスのしやすさを保証してください


1 精神科ユーザーで身体疾患のニーズがある方を受け入れている総合病院のリストを作成してください


1 地域の中核病院では、精神疾患と身体疾患を持つ人が医療にアクセスしやすくなる研修を行ってください


滝山病院事件の本質は、精神科医療関係者の身体疾患に関する無力・無知・他人任せなことであり、そして精神科以外の医療関係者における精神疾患を持つ人に対する無関心・無知・差別・誤解・排除が関係していると私たちは考えます。それが可視化されたのです。


この現代医療システムから排除された精神疾患領域、身体の疾患領域の両方にまたがるユーザーは医療サービスへのニーズが多くあります。


身体疾患と精神疾患を持つ人をこのような病院へ送り込む行政や他の精神科病院の体制や、「ほいほいと入れておけばいい」「あとは知らない」という精神疾患を持つ人の周りにいる人たちの姿勢、取り組みが直接的に私たちの仲間を死に追いやり、社会から見えないようにしていると感じています。つまり、私から見えないところで人が死のうと私には関係ないという態度、人という尊厳を否定し、見捨てること、見えないようにする行政や専門職その他関係者の取り組みのせいで、仲間は死に続けています。そのような人たちは、たとえて言えば、自分たちが拳銃の引き金を引いて、人を殺しているという意識がないのです。


このような病院には入院患者を受け入れる資格はありませんし、受け入れてはなりません。滝山病院に入院している、すべての入院患者を適切に転院または退院させることを、日本に住む、すべての人の責任で行うべきことであり、私たちは滝山病院のすみやかな廃院およびすべての入院患者の適切な退院・転院を求めます。


私たちが最も危惧することは、報道などで紹介されたように「滝山病院は必要悪であると考えている」専門職・行政・その他地域の精神科ソーシャルワーカー団体の一部、一部の家族など精神科領域において入院の裁量権を持つ人たちが、「滝山病院は必要である。なぜなら、身体疾患を持っている精神障碍者を入院させるには、あそこしかないからだ」という発言、その発言をする根底にある意識を持っていることです。そのような発言をする人には、目の前からいなくなった人は死んでもいいのかと問いただしたいと思います。


この問題の本質は、人が死ぬ場所がみえないところなら、私にとっては構わないことという、都合のいい一人ひとりの日本人がいるということです。虐待をしているからどうのということよりも、もっと根深い日本の病理であると考えます。


精神疾患を持ちながら身体の疾患を持つ人が不可視化され、捨て置かれている状況、つまり医療従事者からいないでいてほしい存在とされている状況の中では、安心して医療にかかることができません。


この声明を書いた宇田川自身があと数年で腎臓の人工透析を受けなければならないと宣告されているこの問題の当事者です。

宇田川は、あと数年で不可視化された、現代のすべての医療システムからアンタッチャブルな存在として精神科医療、一般の医療で扱われ、滝山病院のような存在が一つでもあるということ、それを認めている医療従事者がリカバリー志向などというものをうたっていることは否定されるべきです。


重い身体疾患を持ったとしても精神科を使うことが必要な場合、その人に最適でな包括的かつ安全・安心な医療を受けられる総合病院や精神科病院が早急に必要です。

身体の障害をもつ精神科医療ユーザーとして、今後安心して精神科医療を使えるよう日本の医療システム全体に変化を求めます。



精神科医療ユーザー 宇田川健

精神科医療ユーザー・株式会社リカバリーセンター 代表 磯田重行

精神科医療ユーザー 川村有紀

精神科医療ユーザー 黒岩堅

精神保健福祉士 松田裕児

ピア文化を広める会 相川章子

精神保健福祉士 興津純

精神科ユーザー リカバリーサポートふくおか 相談支援専門員 原欣洋




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