Kentsu

おぼろげなもの

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最近の記事

呪い

正直貴方がいなくなってから孤独に耐えられない精神状態になった。 最悪だよ。 本当に最悪。 何故もっと他人を許せない? 何故もっと寛容にしない? そういうところは貴方の問題としてあるんじゃない? 全員が全員完璧じゃないし、それを前提に社会を作っていくべきはずで、貴方はそれを望んでいるんじゃなかったの? 実は一番他人を差別してるのは貴方じゃないの? コイツはもう無理、厄介、生ゴミ、終わってるってレッテルを貼って捨てたんでしょ? 本当に最悪。 早く死にたいけど、死ぬとしたら貴方に介

    • 春と夏の間

      梅雨の時期に、藍色と水色のグラデーションかかったふわふわとした空気が入った瓶が街の雑貨屋に売られていた。 瓶についてる札を見ると「たまの休みの日に外に出ようと思ったら、雨だったときの気持ちを詰めた瓶」と書かれていた。 その瓶がとてもきれいに見えたので、買って自分の机の上に置いてみた。瓶の中身はゆっくりと瓶の中で流動しているようで、観ていて飽きないなと、ちょっと得したような気分だった。 数日後の朝、ベッドから起きていつものようにテレビを点けると、遮光カーテンから光が漏れているこ

      • 死にたい理由

        登場人物 稲葉聖人♂:高校2年生。自称、人の心が読める。 伊東みゆ♀:高校2年生。学校の屋上から飛び降りようとしている。 備考 ()で囲われた部分は読まない想定です。演者様各々の登場人物の演技の参考にお使いください。 「…」の部分はおまかせしますが、出来れば無言が良いです。無言の場合は、稲葉役の方が間を図っていただければと存じます。 本編 稲葉聖人「そんなところで立ってると危ないよー」 伊東みゆ「…好きで立ってるだけだから邪魔しないで。」 稲葉聖人「ふーん…」

        • 食事の嫌悪感を拭えずに何年も

          登場人物 男:サラリーマン 女:得体が知れない 本編 (ここのセリフは低めに) 女「人間の肉は甘美でほろ苦く、程よい塩味と酸味、部位によっては辛味を感じるものもあり、すべての味覚を満たしてくれる。ただ、数年前から、食事をするたびに思い出す人物がいる。それは、夜中に橋の真ん中で立っていた、サラリーマンの男だった。」 女「どうしたんですか?」 男「あ、どうも…いや…景色を眺めてました…」 女「なんで景色を眺めてたんですか?」 男「あ…実は…会社の人間関係に疲れてしま