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Webライティングで経験したことのすべて。大切なのって文章書くことじゃないよねという話。

はじめに

2019年の夏から任せていただいたWebライティングが、いよいよ完成に近づきリリース日が決まりました。僕にとっては初めてのことばかりで半狂乱になったこともありましたが貴重な経験になったなぁと思っています。

そんな経験を言語化して腐らないようにしておきたいので、今回のエントリーでは初めてのWebライティング経験で得た学びと気づきを振り返ります。

そもそもWebライティングって何なのよ問題

クライアントからお話をいただいた時に思ったことが「Webライティングって何すればいいの?」という疑問です。

今回のWebライティングで求められた成果は「Webサイトに及ぼす影響が比較的大きなページから順にリライトを行いリード獲得数を増加させること」でした。

つまり簡単に言えば、Webライティングという手段を用いて問合せ率をアップしろということです。

当時の僕はこの命題に答えるためにやるべきことは何かを理解する必要がありました。そして業務範囲を洗い出していくのですが、想像以上に担当する範囲が多いことに気づきます。

ユーザー理解、サービス理解、関係者の合意形成、文章作り・そして校正など「あれ?Webライティングって文章書くだけで終わりじゃないの?」と、そこはかとない恐怖感とワクワク感が一緒に襲ってきたことを覚えています。これはライティングという語感から"文章を書く"というイメージが前提としてあった、ということに起因します。


結局いまの結論としては、最初に感じたこの感覚はけっこう当たっていて『Webライティングという業務では"文章を書く"作業は重要な割合を占めていないよね』ということであり『文章を書く作業より"より良い文章を書くための思考や準備"が大切だよね』ということに落ち着いています。

実際に"文章を書く"という作業に費やした時間は全体の2-3割程度で、文章を書くための準備や、より質の高い文章を書くためにしたあれこれのほうが時間を使いました。

Webライティングでやったこと

先ほどの結論を振り返ると、じゃあお前は文章を書く以外に何をやったんだ、というツッコみが入ると思いますので書き留めていきます。

僕がWebライティングで辿った経験は以下です。

①ヒアリング・調査・深掘り
②主張の組み立て
③文章を書く
④レビュー
⑤ ①に戻る
これをひたすらループしてユーザーに届ける文章を作り上げていきました。

(それぞれの業務で学びや気づきがあったのですが際立ったものは別でエントリー立てようかなあと思っています。)

例えば、クライアントのサービスについて「売り」を抽出して言語化していく過程がありましたが、たくさんの方から「レビュー」という形で愛のあるダメ出しをいただきました。
お陰様でたった200文字の文章を書くためだけに100回以上の思考錯誤を繰り返しています。

100回という数字の多寡についての議論は別の機会に譲るとして
言語化(書く) → レビュー → 言語化(書く) → レビュー → 言語化(書く) → ...
の繰り返しは最初はしんどいのですが、とても良いものです。

というのは、様々な意見や考え方が集まって良いよね、ということではなく、レビューを通して自分の思考や主張が精密になっていくからです。

改めて意識しておかないといけないのは「レビューは多様性を含んだものであり提示物に対する主張である」ということです。

今回は約20名の方に毎回レビューをお願いしていました。
こちらが提示した文章や文章入れたページデザインについてどのように感じるか、を自由に返していただきました。
(ちなみに、1回目に書き上げた文章は僕も相当気合いが入っており、恥ずかしながら「なにこの文章エモい(//∇//)」と思っていたのですが、見事レビューにてボロボロに言われることになります。)

さて、レビューの多様性についてですが、20名のレビューを集めると多種多様な意見が集まります。文章の内容についてはもちろん、文章量について、ファーストビューについて、ページ全体を通して提供されるデザイン体験について、各導線へのラベルについて、etc...。

当然ながら全ての意見を吸収してコンテンツに反映することは無理です。相反する意見もあるからです。
だからこそ、いざレビューが集まると「これってどー扱えばいいの?」状態になります。何を可とするのか、何を不可とするのか、が分からなくなるのです。

その原因は、僕にレビューを見極める判断力がなかったから、ということになります。

そこから僕は、レビューに対抗する自分の文章の正当性を主張するため、レビューに対しての追加質問や、現場へのヒアリングと主張の再構成を行い言語化→レビューを繰り返していきました。

この「レビューに対抗するため、レビューの本質を見抜く・自分の文章をより精緻に作り上げていく」という作業が、webライティングにおいて重要な業務になったと思っています。

レビューの本質を見抜く

例えば「スマホデザインにおいてファーストビューからワンスクロール内の文章についてどう感じるか」という議題でデザインと文章を提示した際、レビューの8割は"長い"という意見でした。

この"長い"という多勢の意見に対して当時の僕は無視して良いと判断しています。

先ほどお伝えしたようにレビューというものは提示物に対する主張です。
今回の例では、提示物→スマホデザインと文章で、主張→"長い"になります。

この"長い"がどのような背景でどのような感情をもとにした主張なのか、レビューをくださった方々に追加で質問していくと「ユーザー目線として、ユーザー体験として長い」のではなく「一般的なwebサイトと比較すると長い」という意見だと分かりました。

僕としてはユーザーにとって不愉快ではないか・ユーザー体験を阻害しないかが重要でしたので、一般的なwebサイトと比較して"長い"という意見であれば、いくらレビューの大半を占める意見であっても今回は無視して良い、という判断に至ったのです。

レビューに対して、そのレビューは何を根拠に主張されているものなのか、というレビューの本質を探っていくと、有用なレビューなのか無視すべきレビューなのかが判断できます。
有用なレビューであれば、そのレビューのどの部分を活かすのかを考え自分の文章の主張を再構成していけば良いのです。

レビューを判断する力が持てると文章がブラッシュアップされていきます。

①レビューは多様性があり、提示物に対する主張である。
②レビューは有用なものと無視して良いものがあり、そのレビューは何を根拠にして主張されたものなのかレビュー担当者に追加質問していくと本質が見えてくる。結果、有用か無視して良いか判断できる。
③レビューが有用であれば、活かせる部分を考え自分の文章を再構成する。

文章の構成は土台を意識
①ターゲットありきではなく思いありき

今回のWebライティングでは問合せ率アップが命題でした。ユーザーに魅力を感じていただけるような文章を書かなければいけません。もちろん、だからといって嘘は書けないです。

ですので、問合せ率アップのためのwebライティングでは、サービスやターゲットを理解し、主張を組み立てていくことが必要になります。

今回、僕が主張構成の際に利用したイメージ図は以下です。

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ユーザー=ターゲットの考え方については別のエントリーで書いているので今回は割愛します。

ブランディングやマーケティングでは「まずターゲットありき」をよく目にしますが、僕は「まず企業理念ありき」だと感じています。

つまり事業の主体者、社長や事業部長などの思いが最初にあるのでは、ということです。

『このサービスを通して〇〇を解決したい』
『この商品で〇〇な価値を提供し社会に貢献したい』

サービスの出発点となる思いには事業の主体者の原体験があり、その思いを実現する手段としてサービスがあります。そしてサービスが届く相手としてターゲットが決まっていくと思うのです。

例えばターゲットありき=ターゲットを絞り込む作業を先に行うことって、下手したらいたずらに利用者を狭めるだけですよね。
検索エンジンとかポータルサイトとかはターゲット絞り込まずに、できるだけ多くの方に使ってもらうのが正義なはずです。

既存サービスをターンアラウンドする際や、撤退戦を採用する場合など、経営戦略などの大きな枠組みの意思決定により既存ビジネスを捉え直す場合にはターゲットありきでサービスを見つめ直しても良いと思うのですが、一般的には全てのサービスの土台には事業の主体者の思いがあるというのが僕の考えです。

文章の構成は土台を意識
②特徴の洗い出し

最も時間を費やしたのは、サービスの特徴を洗い出し文章にする段階でした。

ヒアリング→文章作成→レビュー→ヒアリング...を繰り返したのを覚えています。永遠にゴールが見えず、自分がやっていることが正しいのか不安に駆られたのもこの頃です。
(今でもゴールは見えてなくて、ある程度自分が納得するところまできたらあとは実装してユーザーに聞いてみること(解析ツールで反応を見ること)が大切かなと思っています。納得するまで詰めたコンテンツならユーザーの反応を客観的に論理的に判断できると思うので次の改善行動も早いです。)

さて、特徴の洗い出しについてはクライアントに徹底してヒアリングを行いました。寛大な心でご協力いただきましたが、今振り返れば相当しつこくやっていたなあと思います。

ヒアリングした方は社長、責任者の幹部クラスだけでなく、一般の社員の方まで幅広く行いました。
一斉にヒアリングするのではなく、関係を築きながら個別で質問することも意識していました。幹部クラスと現場で働く一般の社員では、思っていること感じていることが異なることが多く、一斉にヒアリングした場合、一般社員が幹部に遠慮して本音を言わない可能性があるためです。

実際のヒアリングではかなり時間を割いて細かい部分まで把握していきました。1日のタイムスケジュールとそれぞれの業務で意識していること、仕事のやりがいなどはもちろん、業務で利用している書類全てに目を通し1つ1つの用語に対して何故この言葉を使っているのか聞いてみたり、会議に参加して何故その分析を行ったのかを聞いてみたり、1日業務に同行して現場に密着してみたり、です。

ユーザーに提供するサービス、商品は全て日々の業務が作り上げています。そして、日々の業務は事業理念から生まれているのが普通です。

僕は徹底して事業やサービスを理解することで特徴を洗い出していく手法をとったため、上述のようにしつこくヒアリングや現場同行を行ったのでした。

これを繰り返していくことでサービスの特徴が鮮明になっていきます。
鮮明になったら後は取捨選択です。ターゲットにとって魅力的に見える特徴は何なのかを考えていきます。
いくら際立った特徴であっても、それが利用者にとって魅力的ではないのなら主張するべきではありません。

『私たちのサービスは〇〇が特徴です。なぜなら△△だからです。』
この主張を作り上げるために、△△を徹底して理解するのが現場へのヒアリング作業だと思います。

そして注意点ですが、〇〇の部分は必ずしもUSPではなくて良いということです。

もちろんUSPがあれば嬉しいのですが、無理に寄せる必要はなく、ますばターゲットに響く特徴が拾えることが最優先です。それさえ意識していれば別に差別化を無理に演出しなくてもしっかり問合せは増えるはずです。

『私たちのサービスは〇〇が特徴です。なぜなら△△だからです。』
このような主張ができたら実際に文章を書いてみます。
そこからユーザー目線でレビューをもらったり、5W1Hを使い更に深堀りしていき再度ヒアリング→主張構成という繰り返しで文章をブラッシュアップしていきます。

①まずは事業理念(思い)があり、そこからターゲットやサービスが生まれてくる。
②ヒアリングは徹底して行う。ヒアリングした内容がサービスの特徴やUSPを主張する際の土台になる。
③文章ができたらレビューや5W1Hを行い更にブラッシュアップしていく。

まとめ

事業理念(思い)、サービス(特徴)、ターゲットは一気通貫です。

Webライティングとはそれらを徹底して理解できるよう努力することであり、文章を書くこと、と定義するのは少し乱暴かなあと今回思いました。

そして、自分の文章を構築する際も、レビューを判断する際も共通して意識していたのは「この主張を形成している土台・前提は何なのか」ということです。
この土台を突き詰めればレビューを判断できるようになりますし、文章の主張に深みが出ます。

あとはライティングとは全く関係ないのですが、ふんわり感じたこととして「全てのことって人の思いから生じるんじゃないかなあ、だから解決すべき課題があった時は何故その課題が生まれたのかの原因をを人の思いまで還元できるまで突き詰めると良いのでは」ということと、「経験が1番の財産なので本読む時とか成功者の話を聞く時はどういう環境でどのような意思決定をしてどんな結果になって何を学んだのかっていう経験談を聞くのが良いんじゃないかなあ」というのを思いました。
この辺りはまとまったらエントリー立てようかなと思っています。

では!

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