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憧れてきたんだ

気づけば日本シリーズが始まっていた。
ホークスがめちゃめちゃ強い。

絶対的エースとしての存在感を放つ千賀滉大。
物凄いまっすぐとカーブのコンビネーションで、打てるイメージが湧かないモイネロ。
日本シリーズ初スタメンにもかかわらず、菅野智之から4打点を上げてしまう栗原陵矢。
満塁ホームランを放つなど、1試合で6打点をたたき出すデスパイネ。

選手層の厚さが段違いである。
守備固めで上林誠知がでてくるし、昨年の我がスワローズの4番にいたってはなんとベンチにすら入っていない。

ソフトバンクが同じリーグにいたら、シーズン100敗しかねないかもしれない。


開幕戦が延期に次ぐ延期になり、あんなに待ち焦がれたシーズン開幕だったのにシーズン中盤以降ガクンと興味を失ってしまった。

シーズン序盤に西浦直亨や村上宗隆がサヨナラホームランを放ったり、一時期は首位に立った時期もあったりするはずだが、はるか昔のようだ。

一応、家に帰ったらスワローズ戦へチャンネルを合わせるのだが、途中で寝てしまい気づいたら吉田類が酒場を巡っているということも多々あった。

高校生くらいまでだったら、絶対あり得ないだろうなと思う。

当時、私がリアルタイムでスワローズの試合を見る機会といえば、地上波の対ジャイアンツ戦とNHKがたまーーにやってくれる土日のデーゲームの試合。

ただ、その分1試合、1試合よく覚えている。
ペタジーニが遠山奨志から放った、開幕からの阪神の連勝を7で止める満塁ホームラン。
ホワイトセルが藤川球児から甲子園のレフトスタンドギリギリへ放り込んだホームラン。
リグスがフォーク2球で簡単に追い込まれた後に豊田清から放ったホームラン。
古田敦也の広島市民球場での日本タイ記録となる4打数連続ホームラン。
そして、ツーアウトなのに鈴木健のレフトフライを捕球後、ボールをスタンドへ投げ入れたレイサム。

特に対ジャイアンツ戦以外は、年に数試合しか見れないから、テレビの前から離れず観戦していたように思う。

新聞のスポーツ欄は毎日隈なく読んでいたし、たまに買ってもらえる野球カードの裏面の解説や毎年発売される選手名鑑の寸評は、覚えるほど読み込んでいた。とにかく情報に飢えていた。

中学2年生の時、奇跡的に地元で開催される予定だったスワローズ戦が雨天中止になってしまった時など、それはもう悔しくて悔しくて仕方がなかった。

それから時は流れて2020年。
月に数千円払えば、12球団どころか2軍の試合だって見られるし、出先でもスマホで試合を見ることができる。無料で読めるネットの記事も充実しているし、SNSを開けば現地観戦をしている方が撮った選手の写真も見られる。

もちろんそれは素晴らしいことなんだけれど、野球中継を見られることが当たり前になった今、当時に比べると1試合、1試合に対する熱量がやや落ちてしまっている。

それは、気になっていた本や雑誌も手に入るとさして読まずに積まれていってしまうのに似ている気がする。

少し不自由なくらいが、熱量が高い状態で保たれる様に思う。
目にする情報量が増えれば増えるほど、満足度や充足度は高くなると思っていたが、必ずしもそうでもないようだ。
あの頃の熱量のまま、今の状況でスワローズ戦が見られれば、さぞ幸せだろうと思うが、それらはトレードオフの関係なので決して叶わぬ夢なのである。

ただ、いくら情報が手に入りやすくなったとはいえ試合のないシーズンオフは、やはり情報に飢える時期である。これまで、試合のない時期は暇で暇で仕方がなく、なんなら1年中野球をやってくれたらいいのになんで思ってもいた。
しかし、このシーズンオフがあるからこそ、20年以上もある程度の熱量を維持してスワローズファンでいられるのではないか。


今日は、三連休中日の夜。

買ったっきり、約2年本棚に入れたままになっていた「愛しの東京ヤクルトスワローズ」を読みながら夜更かしするのも悪くはないだろう。

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