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傘がない

正直予想外である。

我がスワローズ、セ・リーグ3位 (8/11現在)。えーくらしをしている。

躍進の要因としてはいろいろ挙げられるだろうが、昨シーズン力を発揮できなかった選手たちの頑張りによるところも大きいと思っている。

宮本丈は、プロ入り初ホームランを放つなど、攻守に活躍し、山田哲人離脱の穴を最小限に抑えている。
キャンプでの頑張りをみているだけに、グッとくるものがある。

塩見泰隆は、再昇格後調子を上げている。ホームランは既にキャリアハイ。自慢の脚で魅せる場面も増えてきた。8/7のベイスターズ戦では、古賀優大の浅いレフトフライでホームへ生還してみせた。まさに「ヤバイよ塩見」なシーンだった。
入団以来、オープン戦は大活躍するもシーズンに入ると…といった感じだったが今年は違う。

清水昇は、昨年とは別人のようにキレッキレな球を外角いっぱいに投げ込んでいる。ランナーを出しても落ち着いて投げられているように感じる。
8/4のカープ戦では、降板後のベンチで涙を浮かべているシーンも見られた。それだけ気持ちを入れて投げている証拠だ。頑張れ、カワウソ太郎(と勝手に呼んでいる)。


そんな彼らを自分の目で見たくて行った、待ちに待った有観客試合。5000人が上限のため、前後左右は空席になっていた。

試合は初回、青木宣親の球団通算8000号となるホームランで先制。2回に嶋基宏の内野ゴロで同点に追いつくと、4回には雄平の犠牲フライで勝ち越し。その後も効果的に追加点を重ね、4-9でスワローズが勝利を収めた。

珍しく、と言っては失礼だがスワローズらしからぬハラハラしない快勝であった。

ただ、得点シーンは7回もあったのにもかかわらず、傘を振る気分にならなかった。わざわざ、かさばる傘を持って行っているのにもかかわらず。

何故だろう?

これまで、幾度もスワローズの試合を観に行ったがこんな気分になったのは初めてだった。
(点が入らず、傘を振りたくとも振れないという試合はあったが)

私が見に行く試合のほとんどは、スワローズがビジターの試合だ。
球場はほぼホームチームのファンで埋められ、肩身の狭い思いをしながら応援している。

数は少ないかもしれないけど、みんなで一緒になって応援しているあの空間が大好きだ。数が少ないからこそ、ホームチームのファンに負けるものかと大声を出す。

昨シーズンまでは、得点が入ると、近くのスワローズファンとハイタッチをし、傘を振りながら東京音頭を歌う。これが現地観戦のルーティンだった。
このルーティンによって友達ではなくとも、特段言葉を交わさなくとも「スワローズファン」という共通項がより濃くなり、一体感が感じられる。

昨年までと違う、声を出しての応援ができない疎らな客席では、どうにも傘を振る気分になれなかったのかもしれない。

よくよく振り返ってみると、確かに家で1人でテレビ観戦しているときは、特段傘を振りたくはならない。だが、同じテレビ観戦でも団さんやArea 26さんでスワローズファンで集まって観戦したときは傘を振りたくなった。
一体感というのが、傘を振りたくなる私の中のポイントなのかもしれない。


そして、久しぶりに現地観戦をして思ったことをもう1つ。
これまで、何度となく擦られてきた言葉であろうが「やっぱり球場で見る野球は最高だな」と思った。
入場ゲートをくぐり、グラウンドが見えたときの高揚感は何度味わっても鮮度が落ちない。試合前のシートノック、オーダー発表、メンバー表の交換…徐々にプレーボールに向けてワクワク感が高まっていく。

また、今は鳴り物での応援が無いので、選手の声がよく聞こえる。
青木宣親が、外野からでも声を出しているのに初めて気づいた。

「快適さ」の観点から言うと、テレビ観戦の方が上だろう。

選手をアップで見られるので、どんな表情しているのかわかるし、投手が投げた球種もわかる。そして、何より涼しい。

現地観戦の場合は、座席は狭いし、夏場であれば強い日差しに晒される。雨が降れば、カッパを着て雨を凌がなくてはならないし、最悪の場合、試合は中止になる (今シーズンは2試合中止になった。つらい。)。誰かが溢したビールの洪水が荷物を襲う危険性もあるし、聞きたくないヤジによって気分を害する可能性だってある。

それでも、それでもやっぱり現地で野球を見たいと思ってしまう。
今シーズンは、もう現地でのスワローズ戦の観戦は難しい状況だけに尚更そう思う。

この状況が収まって、大声で応援歌を歌い、ハイタッチをし、東京音頭を歌いながら思いっきり傘を振れる日が来ますように。



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