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特定譲渡制限株式(リストリクテッドストック(RS))のまとめ

役員等の将来の働きに対し、報酬として自社株式として付与されるものを特定譲渡制限株式(リストリクテッドストック。以下「RS」)と言い、米国から持ち込まれた制度です。
役員に付与されるものである場合、通常多額となるため税制(損金算入できるよう)を気にしながら導入検討を進めますが、改正が重ねられておりよく分かりません。

調べてまとめました。

RSとは

上場企業の役員が、将来の一定期間の役務提供を担保に一時に報酬として自社株が付与され、一定年数を経ることで譲渡制限が解除された株式を市場売却することで報酬を得る(役員報酬としてキャッシュをもらうよりも多くのキャッシュインを得ることを狙う)というものです。

4要件を全て満たすものが税務上で認められたRSであり、事前確定届出給与に該当し、事前確定届出給与の所定手続きを踏むことで損金算入が可能となります(法人税法34条)。
(損金算入時期は、譲渡制限解除されるタイミングであるため、費用計上時期と一致しないため注意が必要です)

法人の会計上として、
付与時:前払費用/資本金
1年後:報酬費用/前払費用
2年後:報酬費用/前払費用
3年後:報酬費用/前払費用
という仕訳立ち、1年後以降の報酬費用が税務上で損金算入可能なのかどうかという論点です。
キャッシュの払込みがないため、前払費用という仮勘定を発生させ、ただ償却していくという構図になっています。

※なお細かいですが、2021/3/1以後は以下仕訳へ改正されています(取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い)。
付与時:なし
1年後:報酬費用/資本金
2年後:報酬費用/資本金
3年後:報酬費用/資本金

税制改正により、水色文字が改正前からルール変更されているため混乱しないようご留意ください。
該当しないと役員に付与された報酬は税務上のRSではなくなり、損金算入が認められなくなります。


事前確定届出給与の届出不要の場合のRS

さらに、事前確定届出給与の届出が不要されるRSがあります。

発行スケジュール
・職務執行開始日から1ヶ月を経過する日までに株主総会等で、対象役員毎にその職務執行期間に係る報酬債権の額を確定
・上記決議からさらに1ヶ月を経過する日までに、当該役員によるその報酬債権の現物出資と引換えに特定譲渡制限付株式を交付

https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190308001/20190308001-1.pdf

上記のようなスケジュールで付与された場合につき、事前確定届出給与の届出が不要となります(法人税法施行令69条)。

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