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Bundesligaで初めて女性のアシスタントコーチがベンチに入ったって話 サッカーのお話#9

皆さん、こんにちは。
Wienでは今日、初雪が降りました。日本ではすでに初雪が降っているようで、Wienの方が遅いのは意外でしたね。
ですが、友達が言うには今年のWienは比較的暖かいそうです。信じられません。寒すぎます。

先ほどまで、昨日から書き始めた留学日記の続きを書いていたのですが、気になるニュースがKickerに掲載されたので、Bundesligaをいつもの週末通り観た後にこのNoteを執筆することを決めました。(誰かBayer 04 Leverkusenを止めてください。久しぶりにFC Union Berlinが勝ち点を獲得したことにはしびれました。VfB Stuttgartは好調キープしているし、Konéはスーパーですね。)

※これは個人の見解ですので、人それぞれ意見があってしかるべき話です。気分を悪くされる方もいるかもしれないので、男女雇用問題等にとても強い意見をお持ちの方はブラウザバックを推奨いたします。



Bundesligaに女性のアシスタントコーチが誕生するまで

今日、現地時間15:30キックオフのFC Union Berlin(以下、FCU) vs FC Augsburg(以下、FCA)で、女性のアシスタントコーチがBundesliga史上初のベンチ入りを果たした。まさしく歴史的瞬間の誕生であった。

彼女の名前はMarie Louise Eta。
彼女は、DFとしてプレーした元女子サッカー選手でSV Werder Bremen(以下、SVW)の女子部門などで活躍した。フル代表の選出経験こそないものの、世代別代表にはコンスタントに選ばれ、2008年に開催された女子のU-17EMの優勝に貢献したり、同年に開催された第一回のU-17WMでは銅メダルを獲得したり(優勝国は北朝鮮、MVPは岩渕真奈さん)、2010年のChampions Leagueの優勝をしたりしている。

2018年、彼女は26歳という若さでスパイクを脱ぐことを決意し、同年にはSVWのNachwuchleistungszentrum(NLZ)でU13の監督を務た。翌年以降はU14で監督を務めながら、女子の世代別代表でアシスタントコーチとしての活動も始めた。
その後、様々なカテゴリーでアシスタントコーチとして働きながら2023年より、現在彼女が働いているFCUのU-19カテゴリーへと活動の場を変えた。彼女は、当時U-19の監督を務めていたMarco Groteの元でアシスタントコーチとしてのキャリアを歩み始めた。
時を同じくして、FCUのトップチームは近年の躍進や選手層からは到底想像のできない低迷期を迎えており、11月のインターナショナルブレイク期間を機に5年以上にわたりFCUの躍進を支えたUrs Fischerを解任した。
そこで、FCUの経営陣は暫定監督としてU-19の監督を務めていた、Marco Groteを監督に据えた。それに応じて、彼女もトップチームのアシスタントコーチ就任となった。

このような経緯から、Bundesligaという欧州の4大リーグの1つであるトップリーグに女性のアシスタントコーチが初めて誕生したわけである。

このニュースに対する所感

昨今のジェンダー格差是正を訴える世の中から、遅かれ早かれこうなることは誰もがわかっていたことであろう。
私が感じたこと、それは日本はまだまだ遅れを取っているなということである。
日本だけでなく世界でもトップレベルで男子サッカーの世界に女性コーチが誕生するということは稀であり、男子サッカーの世界は男性社会であるということは誰しもが認める話であろう。
実際に、私が東京都でC級ライセンスを取得した際に参加者20人以上いた中、女性はわずかの1人であった。

実力があるものを上に

とは言っても、私がこの件から「女性を登用すべきだ」と言いたいかというとまた別の話である。

私はこの件から「実力のあるものを登用することは当たり前だ」と言いたい。

ここからは、サッカーだけでなく一般論の話をしていこうと思う。
2022年、世界経済フォーラムが公表した『The Global Gender Gap Report 2022』において、日本のジェンダーギャップ指数は146か国中116位と世界から見ても女性の社会進出や女性活躍が妨げられている国である。
日本で問題にしなければならないのは、女性が社会進出していないという事実ではなく、実力が女性と男性で平等に評価されないという点になると思っている。

実力が同じレベルの男女が1人ずついるとしたら、ほぼ確実に上司は男性を昇進させるであろう。
理由は簡単。女性は将来的に妊娠・出産する可能性があったり、肉体的に男性と比較して劣ってしまったりするからだ。
まあ、平等に評価されていないわけである。
そして、これらを理由にして女性が少し能力が上だったとしても男性を評価してしまう傾向にある。

ここでの問題の一つは、昇進を決める管理職に女性が非常に少ないということである。結果として、頑固な男性による上記のような固定観念がまかり通るわけで実力のある女性が昇進する機会を逃してしまう。
この一部の頑固なジジイ達は自分の扱いやすいタイプの人間を使いたがるし、無意識に男女を区別するフィルターをかけている。

かと言って、私は内閣編成の仕方も気に食わない。
日本政府は女性活躍を推進するための象徴として内閣に女性大臣を起用するが、私はそんな見せかけの女性登用はいかがなものかと思う。確かに、女性を登用するアピールとしては、とても良いパッケージになるかもしれないが、そういう時に限って実力のある女性が登用されていないこともある。総理大臣のお気に入りの女性を登用するだけ。ただ、女性を登用すればいいということではなく、実力の伴った人間を登用しろと言うことだ。その人間に性別というものは関係ない。当たり前だ。度々、ある宗教とかかわりをもったり、公職選挙法違反をしたりで辞任をする大臣がいるが、そんな実力もなく票集めだけしてるくだらない人間を大臣という要職に任命するんじゃねえと言っている。

フランスの事例から見る女性登用

先日、ドイツ語の授業で「Gleicher Lohn für gleiche Arbeit?」というテーマでディスカッションを行った。日本語にすると「同じ仕事に対して同じ報酬があるか?」くらいだろうか。
教科書が少し古い分、こんな内容になっているのだろうが、まず前提として同じ仕事内容で報酬に格差があるとしたら狂っているし、あってはならない。

その議論中、弱冠19歳のフランス人女子学生がこんなことを言っていた。
「フランスでは、女性幹部が15%以上いることが義務付けられている」と。
15%と聞くと、水準自体はそこまで高いわけではない。
義務付けられているというところには引っかかったが、調べてみるとフランス政府は男女格差の状況を鑑みて2021年の12月16日に「従業員1,000人以上の企業に対して、経営層の女性比率を2030年から40%以上とする」ということを義務付ける法案を可決していた。

私は上述の通り、登用する側の人間が固定観念を装備した頑固なお爺さんである以上、女性が登用する側になることは難しいと考えている。

フランスという国の歴史を見てみると、女性が社会で活躍できるようになったのは日本よりも遅い。だからこそというのもあるとは思うが、フランス政府はそれを義務付けることによって男女格差を是正してきた。今では、ジェンダーギャップ指数が世界15位に位置しており、確実に是正されつつある。

私は、義務付けることなく実力のある女性の登用される事例が増えていけばと思っているが、それにも限界があるのかもしれない。だからこそ、フランスは一例に過ぎないかもしれないが、女性の社会進出を義務付けなければならない段階まで日本は来ているのかもしれない。
徐々に変わってきているものの、女性の登用を義務付けるということを認めなければならないのはとても残念である。

女性コーチが誕生することは日本サッカーの更なる発展を意味するのでは?

サッカーとは関係ない話に脱線してしまったが、サッカーの話に戻ろう。

男子サッカー界に生きている人間として認めたくないことではあるが、認めざるを得ない話なのかもしれない。

人づてで、某Jクラブのユース監督の話を聞いたことがある。その監督さんは、なでしこリーグのとあるチームの指揮を執ったことある方で、こう言っていたらしい。
「彼女(某日本代表選手)は今まで見てきたどの男子選手よりも抜群に足元の技術がうまい」と。
そして、人口の問題とは言え、国際舞台で結果を残しているのはサムライブルーではなく、なでしこジャパン他ならない。
この話をしたら、「男子スポーツと女子スポーツは違うから」や「なでしこはジュニアユースと試合をして負けるレベルだからな」と言っているような奴が絶対にいることを知っている。
まあ、そのレベルの奴は所詮サッカー素人で、Jユースの監督さんの話と比べたら何の価値もない。
結局、元女子選手だった選手がコーチをやりたがらなければ、その時点で話はとん挫するわけだが、元女子選手が指導することで何かしらのシナジーを生むことができ、日本サッカーはさらに発展するのではないかと思う。
テクニック部分だけの話だけではない。戦術理解の高い女性だって当然のようにいる。某アイドルが核心を突いた指摘をすると盛り上がるくせに、戦術理解の高い女性が戦術について話しても話を聞かない選手を含めたサッカー関係者が多いのは何となく想像できてしまう。
ただ、潜在的にそのような女性は眠っているのも事実であると思う。だからこそ、この文章を読んだ方には固定観念を捨て去って欲しい。無意識に頭の中にあるフィルターを一つ取り去って欲しい。そしたら、確実に日本サッカーはさらに発展するはずだ。

先入観を捨てろ

長々と書いてきたわけだが、結局私が言いたいこととは
「先入観を捨てろ」
ということである。
先入観とは、無意識フィルターそのもののこと。
人生、先入観があることで得することはほとんどない。チャレンジしてみて初めて失敗か成功か分かるわけで、そこまで何もわからない。
それなのに、先入観が邪魔をしてチャレンジをしない人間がとりわけ日本には多すぎる。案外、失敗しても何とかなることの方が多い。だからこそ、読者の皆さんには先入観を捨てて明日から生きていただきたいと思う。


私自身、身の回りの人間が紅一点で活躍していることから、女性活躍というのは昔から考えることが多かったです。
今シーズン、自分の後輩として女の子が入ってきたのですが、私は男女平等に接すことができていたでしょうか。結局、彼女は半年を待たずして私の部活から去ったわけですが、こんなこと書いておいて、「女性には難しい役職だ」と心のどこかで思っていたのでしょうか。自分の凝り固まった固定観念という先入観で無意識に何かを判断していなかったのでしょうか。
自信をもって、先入観を持っていなかったとは言えません。
もし部活に後輩として女性が入部してきてくれたら、先入観を持たずに接さなければだめですね。
なぜなら、彼女はサッカー部を強くする潜在的な能力を持っているはずだから。


P.S FCUのアシスタントコーチであるMarie Louise Etaさん。将来的にはSV Werder Bremenでの指導をしてみたいそうです。FCUが新監督を招へいすることで、トップチームのアシスタントコーチの役割は解かれていまうかもしれませんが確実にBundesligaの歴史が動いたことは間違えないです。SVWと言えば、Florian Kohfeldtを35歳という若さでトップチーム監督に就任させたのは有名な話ですよね。可能性は十分にあると思います。Bundesligaに初の女性指揮官が誕生する日を楽しみに待ちましょう。


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