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インハウスが他職種を経験したり、関わったりするなかで学んだこと

0 はじめに

このnoteは、法務系Advent Calendar2023のエントリーとなります。

アーリーさんのバトンを受けて、書いています(今年は前後ともにnoteで書いていただいているようです)。

見出し画像はnoteの新機能を使い、AdobeExpressで生成しました。

インハウスをしていると、さまざまな職種の人たちと一緒に仕事をし、職種ごとのさまざまな考え方に触れることがあります。半年ほど新規事業を経験し、また、オペレーション業務にもかかわるなかで感じたことを書きました。


1 法務が事業に関わるべきタイミング

事業部から相談があると、法務としては、「もっと早く相談にきてくれたらいいのに」と思うことがしばしばあります。実際、時間をかけて内容を詰めたあとに、それが違法であったり、リスクが得られる成果に対して大きすぎたりすることが判明すると、それまでにかけた工数が無駄になってしまいます。
他方で、新規事業について、あまりに早期に、あれこれリスクを指摘してしまうと、萎縮させてしまって、事業が小さくまとまってしまうリスクもあります。また、まださまざまな可能性があるやわらかい段階では、代替手段を詰めていくことも難しかったり、網羅的に精査するには工数がかかりすぎるという問題もあります。
そのため、初期からかかわるとしても、どの段階でどの程度のケアをするかのバランス意識は重要と感じています。
また、新規事業を生み出すために、膨大なリソースが投下されていることを体感すると、法務としても、なるべくスムーズにものが進むように、サポートしなければと感じます。

2 全体最適を意識した回答

(1)回答の統一性

「ユーザー/取引先からこのようなことを聞かれているのですが、どう答えたらいいですか」と言われたり、「これはどういう判断をすべきですか」と言われたりすると、法務としては、つい、個別の問題について最適な回答をしてしまいがちです。
それがよいことも多いのですが、類似の質問/ケースが多発するような場合に、個々の事情をケアしすぎた回答を積み重ねていくと、パターンが無数に分岐していくことになります。
そうなると、現場では、社員でないと対応できなかったり、それを把握している人が少なくなって属人化したり、確認するのに工数がかかったりという問題が生じてきます。
それぞれの質問に個別事情はありつつも、回答としては、リスクを踏まえても、ある程度の幅までは許容できることもしばしばあり、なるべく統一的な回答とできると全体最適につながっていきます。
もちろん、当初は、なにが多い質問かがわからないこともしばしばあるので、ある程度増えてきた段階で、振り返って調整をかけたり、といったことになるのが現実ではありますが、これをすることで、現場負荷の軽減にもつながっていきます。
これは、どういった質問が多発しているかがわかるインハウスだからこそ、できることだと思います。

(2)工数意識

「ユーザーからこういう質問がきているんですが、法務の見解を」と言われると、つい、正確、かつ、手数をかけても、なるべく自社に有利な形で着地させたい気持ちになることがあります。
もちろん、そうした回答をすべき場合もありますが、リスクが小さい場合に、手数をかけすぎると、かえって、工数に見合わなくなってしまいます。また、ユーザーは法的正確性のある回答よりも、納得感のある回答を求めていることも多く、相手によって使い分けることで、現場負荷が下がります。

3 会社のリスク志向などを意識したリスク判断

スタートアップは現時点での売上は大きくなく、成長率に期待されていることが多いため、成長をしないこと自体がリスクとなってきます。
そのため、大企業と比べると、リスクを取る方向に判断します。
このリスク判断は、経営層の考え方やフェーズによっても変わっていき、インハウスをしていると、その変化に即したリスク判断を、隣接職種と一緒に行っていくことになります。
実際の個別ケースで、セキュリティをどこまで担保するのか、リスクにどこまで備えるのか、PRでどこまでの表現を許容するのかといったことは、法律やガイドライン、書籍にそこまで詳しく書いていないこともあり、最終的には、会社側で、個別ケースにおける本質的なリスクは何かを考えつつ、各職種の専門知識を総合しつつ、決めていかないといけない部分もあり、面白くもあり、難しくもあります。

4   インハウスの面白さ

外から会社に関わっていると、なかなか会社の中のさまざまな職種の人と関わることは少ないのですが、インハウスをしていると、実にいろんな職種の人たちと関わることができます。
専門性を持った各職種の人たちと関わることで、さまざまな観点に触れ、また、スペシャリストの総合判断のなかで、最適解を探していくことができるのは、インハウスの面白さの1つではないかと思います。

次は、マギー住職さんです。


双子の育児に使わせていただきます!