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クリエイターエコノミーの市場調査を実施して

1 クリエイターエコノミーについて

2022年10月17日に一般社団法人クリエイターエコノミー協会では、クリエイターエコノミーの調査結果を発表しました。

2021年に実施された海外の調査では、世界のクリエイターエコノミーの市場規模は約1,042億ドル(1ドル=145円とすると15.1兆円)と推計されており、実際、さまざまなクリエイターが活躍しています。


日本では、2021年にNewspicksでクリエイターエコノミーの特集が組まれ、関連する業界では「クリエイターエコノミー」という言葉も有名になってきましたが、まだこれから認知が広がっていく領域かと思います。

2 日本の現状

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(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング

とはいえ、日本でも、
SNSや様々な投稿サービスの普及により誰もが発信をするようになり、
ショップ作成サービスやフリマサービスなどの普及によりハンドメイド作品など、作ったものを売ることも非常にやりやすくなりました。
メディアプラットフォームでデジタルコンテンツを売ることもできます。
イラストを描くにも、さまざまな使いやすいサービスがでてきていますし、写真も手軽に高度なものが撮れるようになりました。
プロジェクトをはじめたいときにはクラウドファンディングで調達し、
クリエイターが主役になっていくなかで、クリエイターのファンコミュニティを作り、
ややこしい事務処理には様々なオペレーションサービスを使うことで、個人でも、創作活動が非常にしやすくなっています。
活動が進んでいけば、エージェントのもと、さらに活動を拡大させていくこともしやすくなっています。

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出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング

そうしたさまざまなサービスが増え、クリエイターが活用していくことにより日本でも経済圏が広がっており、調査の結果、現時点でも、1.3兆円ほどの市場規模を形成するにいたっています。

3 創作活動でお金を稼ぐこと

「創作活動でお金を稼ぐ」というとハードルが高くなりがちですが、「創作活動」はそれ自体、幸福感につながりやすいという調査結果も出ています。

https://s23.q4cdn.com/979560357/files/Adobe-'Future-of-Creativity'-Study_Creators-in-the-Creator-Economy.pdf

また、最初からお金を稼ごうというよりは、まずは好きな創作活動をはじめたいというところからはじまり、その延長線上でお金を稼いでいるという方が増えてきているように思います。
最初は、「友達に頼まれて作ってみたらうまくできた、せっかくなので、簡単にショップを作れるサービスもあるし、売ってみよう」、とか、「好きなイラストを描いていて、それを売ることもできるサービスがあるので、せっかくなので、一度売ってみよう」といったところから、副業、さらには本業になっていく方が増えてきているのではないでしょうか。

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(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング
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(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング

4 クリエイターエコノミーの課題

個人がクリエイターとして活躍していくためのサービスはさまざま出てきており、その土台はできており、個々のサービスは認知を広げつつも、もっと、いろんなことがしやすくなっているということはまだ認知が進んでいないように思います。この認知が広がることで、さまざまな方にもっと創作活動をたのしんでいただき、また、その延長で、収入にもしていただければと思います。

ただ、これまで、消費者として保護されていた個人が、気軽にさまざまなものを販売することができるようになることで、トラブルも発生するとは思います。①売り手となった個人を強い買い手などから守る仕組みを作ったり、②そうしたトラブルがなるべくおきないように、活動をはじめるにあたって知っておいた方がよいことを知る機会を作ったり、③そうしたトラブルを解決する仕組みを作ったり、といったことが進むことで、お互い気持ちよく取引ができるようになればと思います。

また、既存の法制度は、会社が消費者に販売することを想定して作られているものも多く、インターネットの良いところである、ハンドルネームでも活動しやすいというところに、経済活動をしようとすると法律の壁が立ちはだかることがしばしばあります。
経済活動をする以上、トラブルが発生したときに相手の身元がわかるということは買い手にとって重要ですが、最初から誰でもわかる必要は必ずしもなく、テクノロジーの活用を含め、新たなアイデアを創作していくことで、売り手・買い手双方が使いやすい制度に変えていければと思います。

5 最後に

日本のクリエイターエコノミーはまだ黎明期にありますが、コンテンツ産業は、もともと日本が得意としてきた領域であり、コミケをはじめとして、大きな裾野のある分野です。
クリエイターエコノミーについて広く認知が進んでいき、サービスもさらに使いやすくなり、ハードルになっている部分が1つずつ解決していくことで、だれもが創作活動を楽しみ、それが収益につながっていくことで、産業としても大きく伸びていけばと思います。

(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング


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