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美しい瞬間についての話

人は闘う姿が美しい、なんて言葉がある。困難に立ち向かい、勇気を奮って全身全霊をかけて勝負に挑む人間の姿はたしかに美しいのだと思う。

30年生きてきた乏しい経験から言うと、闘う姿より変化する瞬間のほうが美しいのではないかと思う。

不可逆的で、一瞬で、劇的に、完全なる変化をする瞬間が個人的に好きなんだろうと思う。

変化について考えるといつもパイレーツ・オブ・カリビアンのワンシーンが浮かぶ。大好きなシーンだ。

3作目のデッドマンズ・チェストにそのシーンは出てくる。主人公ジャックと彼の船ブラックパール号は、あの世みたいなところに送られている。ジャックの仲間が、どうにかして彼を助けに来て、船出をしてからそのシーンは来る。

海図をぐるぐるいじったジャックは船をひとりで揺らそうとする。意図に気づいた仲間たちは、シャトルランのように動いて船の重心に働きかける。そして遂に船は転覆する。するとあら不思議、全員びしょ濡れになって、あの世からこの世に戻ってくる。

「人間は生まれ変わるためには、死ななければならない。それは身体の死ではなく、あくまで象徴的に行われないといけない」と心理学者の河合隼雄は行っている。フェニックスも死なないと生き返られない。

まさにこのシーンでは、死が象徴的に行われているから、ボクは好きなのだと思う。不可逆的で、一瞬で、劇的に完全なる変化だ。

個人的なトラウマや悩みを乗り越えることを決意した瞬間なんかを見ると、きっと心のなかで船を転覆させたんだなーと思ってしまう。その様子を見ると美しいなと思う。

具定例として、こちらの動画をおすすめします。とても美しい。おどぜひ、女性の前でごはんが食べられない、で検索!

象徴的な死を遂げて劇的に変化する瞬間は美しい、という話でした。

(了)


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