寅さん
東京は葛飾、柴又を歩く。
どんなに東京が進化しても、きっとここだけは変わらない、強い意志のようなものを、街と住む人々からひしひしと感じるエリアだ。いや、変わりようがないと言ってもいいのかもしれない。
夕暮れ時からお酒を楽しそうに嗜む人達、団子屋のおばあちゃんは相変わらず人情味溢れていてとても優しい。団子ひとつの注文に、お茶おかわりは?と何度も注ぎにきてくれる。
「男はつらいよ」を観た人ならきっと誰もがこう言う。柴又にいると、本当に寅さんが今でもふらっとやってきそうな錯覚を覚えるよねと。「よー、元気だったか?」って言って手を振ってくれて、最初は笑い話に花が咲くんだけど、ふとしたことでいつのまにか喧嘩になって飛び出していくあの寅さん。あー、柴又にいるだけでこんなにも、映画のワンシーンにあたかも自分の存在をも投影できるなんて、なんとも不思議だ。
自分は今に至るまで、フーテンになる度胸も器量もない生き方だったけれど、寅さんは僕の人生の先生(師匠)であり憧れなのだ。
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