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My Favorite Emerging Galleries in New York(2)

そのニューヨークで、モダンの古い軛を脱して次の時代(ポストモダンの軽薄な衣裳はアメリカに似合わなかったので、ニューヨークのギャラリーでポストモダンを現在まで継続的に実践しているものはない。それをニューヨークで貫徹していたAndrea Rosen Galleryは、2017年に店を閉めてしまった)を模索し開拓しようと乗り出した若手ギャラリーがある。まだ数は多くないし、またモダンに後ろ髪を引かれていたりもするが、その上でモダンを乗り越えようとするので、成功すれば本物になること間違いない。とにかくこの難題の解決を試行錯誤している様は、いかにも健気である。
実は、ニューヨークにある若手ギャラリーの胎動は、2000年代にもあった。しかしそれは、アート界のなかの小さな波乱に終わった。10年もしないうちに、彼らは古い体制と世代交代するどころか、頭打ちになって消滅したのだった。現在マイアミで開催されているアートフェアのNADAを最初に立ち上げたニューヨークの若きギャラリストたちである。
ニューヨークの百戦錬磨のギャラリーで「健気」という形容詞は不釣り合いだが、リーマンショック以後に登場した新人ギャラリーは、アメリカの長期的な退潮傾向に逆らって必死にもがいている。その様が「健気」に見えるのだ。

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