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murmuring note no.5

言葉だけが気晴らしの救いの日本。言葉に相当する実体の現実がないか、まったくつまらないからだ。当然、その言葉は虚偽(それをポストトゥルースと呼ぶには、あまりに空々しい)になる。ステレオタイプの退屈な現実を忌避して、それから脱出するために言葉が使われるので、驚異の言葉で語られそれに値する現実がない。言葉が宙を舞うこの状況では、思いきって虚飾の言葉を捨て去るか、言葉に無理やり陶酔するしかない。そのどちらも不毛な光景である。この事態に誠実に対処するには、現実に下降し、その底に貼り付いている言葉を引き剥がして紡ぎ上げることだ。

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