見出し画像

10分コーチングを毎日継続してわかったコーチングの効果効能

皆さま、こんにちは。
エグゼクティブ・コーチ&リーダー育成家の林健太郎です。

私が独自に開発し、今年の6月からサービス提供を始めたのが「10分コーチング 」というサービスです。


この記事では、実際に私が10分コーチングを実施する中でわかってきたことをまとめて皆様にお伝えします。

10分コーチングとは?

10分コーチングを簡単に説明すると、1ヶ月間の間、ほぼ毎日10分間の短いコーチングを提供することでクライアントさんの目標達成や課題解決のスピードを飛躍的に向上させることを目的としたプログラムです。

これまで主流だった対面型のコーチングでは、移動コストやスケジュール調整の難しさから、多くても週に1回程度のコーチングセッション実施が現実的に対応できる限界で、次回セッションまでの期間で「クライアントさんがコーチングセッションで語られた内容を忘れる」といったリスクがありました。

また、移動コストも考慮すると60分を1つの単位として比較的単価の高いセッションを実施する形態を維持することがこれまでの商売上不可避だったのですが、10分コーチングでは実施形態をZoomなどのオンライン形式として、10分という、日々融通しやすい時間で区切ることにより物理的なハードルを排除し、継続性を担保したコーチングセッションが実施できるようになりました。

実際の10分コーチングはこんな流れで実施されます。

①60分の導入セッションで目的等の確認
②10分セッション x 18日間
③60分の振り返りセッション

私の場合は、②の10分コーチングを平日毎日、土日はお休みという形で運用しています。
朝6時台のお客様が多く、私としても朝10分コーチングを提供してから昼間に別の仕事を入れることができたりして、副業的に運用しやすい形態だなと感じていたりしました。

10分コーチングの効果調査

私は今年の6月と7月で合計8名の方に実際に10分コーチングを提供させていただきました。
コーチングセッション数としては、延べ155回になるのですが、クライアントさんには毎日、満足度についてのアンケートに回答いただくよう依頼しました。質問項目は:

①コーチングに対する満足度(セッションに価値を感じたか)を1〜10のスケールで。(1が全然満足できなかった、10が非常に満足した)
②コーチングセッションでの自分に対する満足度(ありたい自分でいられたか)を1~10のスケールで。(1が全然満足できなかった、10が非常に満足した)
③その理由とは?(自由回答)

今回、回答していただいた満足度調査データを、株式会社エスノグラファーの神谷俊さんに分析いただき、10分コーチングの効果についてまとめていただきましたので、ここから解説していきます。

スクリーンショット 2020-10-14 9.53.56

まず、コーチングの期間を前半、後半で分けた場合の分析結果が上の表です。
ここからわかるのは、まず「コーチングへの満足度」の数値に大きな変動が見られないことです。
これが何を意味するかと言うと、一定のスキル要件と接客マナーを身につけたコーチであれば、コーチングの品質に対する不満は生まれない。あるいは、コーチングスキルだけで競合優位性を出すことは難しい、ということではないかと考えています。

他方、「自分への満足度」においては、前半、後半で統計的有意差が見られ、コーチング期間を通してクライアントさんが変容したと考えられます。当初、低かった「自分に対する満足度」が、10分コーチングのプロセスを経験する中で高まっていったと考えます。

コーチングセッションはクライアントさんとの日々の会話の中で個別化されるため、満足度も日々異なるわけですが、それでも相対的に「コーチング日数」が経過するほど「自己満足度」が向上する傾向があるといえます。

優れたコーチングとは?

スクリーンショット 2020-10-14 10.11.16

クライアントさんから寄せられた全ての自由記載コメントで登場する言葉をカテゴリーに分類したのが上の図です。

スクリーンショット 2020-10-14 10.14.08

この分類を元に「コーチング満足度」を分析した場合、満足度が高いコーチングセッションほど「アクション」と「概念化」に関連する言葉が出現しています。
具体的には「話す」、「行動」、「出来る」と言ったキーワードが多く出現しています。
これを私の言葉で表現すると、「対話により行動が起き、成功体験を積む」ことができるのが優れたコーチングということになります。

スクリーンショット 2020-10-14 10.22.33

反対に「コーチング満足度」が低い場合には「アクション」「概念化」に関連するコメントが極端に少ないのも興味深いところです。
これはつまり、クライアントさんはコーチングに「思考の概念化」と「行動変容」を求めているとも考えられます。

スクリーンショット 2020-10-14 10.30.04

上の図は「自己満足度」に関する評価と自由コメント内でのキーワードの関連を分析したものですが、ここでも「出来る」、「進む」といった言葉や「今」という時制が使われている時の満足度が高いことがわかります。

反対に「感じ」、「感情」、「感じる」と言ったフィーリングに関連する言葉や、「相手」、「前」などの言葉が出た時の満足度が低いことも判明しており、過去、他人、定性的な感情に話題がとどまるとクライアントさんの満足度が上がらない傾向が見て取れます。

10分コーチングの効果

スクリーンショット 2020-10-14 12.30.06

10分コーチングを継続していく中での変化に目を向けると、クライアントさんは大きく4つのステップを経験していくことがわかってきました。

この図は全体を「4つの時期」に分けた時に特徴があった2つのカテゴリーを分析したものです。
この「発見」と「自分」のカテゴリーを追いかけていくと10分コーチングの効果が見えてきます。

まず最初の5日間では「発見」の値が高いのですが、これはコーチとの対話により思考が整理されていく過程で、より客観的な視点で物事を見始めるプロセスが始まったことを意味していると考えられます。
コーチングの初期段階では、クライアントさんとの信頼関係を構築しながら新しい発見を誘発させることが大切であるともいえます。

私のこれまでのコーチングサービスでは、多くの場合60分のセッションを1ヶ月に1回の頻度で提供しているのですが、通常2〜3セッションかけてこの状態を作っていきます。つまり2〜3ヶ月の期間を要するということです。それが、10分コーチングではわずか5日間で同じ効果を達成できているのが驚きです。

そして開始から10日目、いわゆる前半が終了するタイミングでは「自分」の値が上昇しています。これはいわゆる「自己理解が進む」ことを表しています。
コーチとの対話を日々積み重ねることで、自分の思考パターンや行動の癖、自分が好むアプローチや、絶対にやりたくないことなどが明確にわかってきます。
私の言葉で言うと、今まで断片的にしかわからなかった自分自身のことを完全に理解する、あるいは自分自身の内面について高い納得度を持つ、いわゆる「完落ち」な状態に辿り着くことを指しています。

10分コーチングの効果として特徴的なのが開始11日目から15日目の値の変化で、ここで一気に「発見」、「自分」の値が下がっていきます。

スクリーンショット 2020-10-14 13.38.47

上に示した「コーチング満足度のキーワード分析」でも明らかなのですが、この期間でクライアントさんが「行動」を起こし、その行動から得られた体験や洞察を「話す」セッションを繰り返す、いわゆる「体験学習」へと対話が変化することが大きな特徴です。

これは私の経験からくる洞察ですが、10分コーチングが成功するか否かは、このタイミングで体験学習へ移行できるかにかかっているように思います。
反対に体験学習に移行できなかったクライアントさんの満足度が総じて低ぶれする傾向があるようにも感じています。

そして、最後の5日間では、再び「発見」と「自分」の値が上昇します。
これは「体験学習」を通じて得られた経験や洞察、新たなアプローチや方法論を振り返り、また似たような事柄が起きた時に使える知恵として「再構築」しようとする営みであると考えています。

これを言い換えると「学び方を学ぶ」(英語で Learn How to Learn と言います)プロセスで、同じような状況に遭遇した時、自分で考え、自力で解決する力を養うことでもあります。
コーチングで目指すべき最終目的地の一つがこれだと思います。

従来型のコーチングでここまでたどり着くためには半年程度の時間を要する、というのがこれまでの私の経験則でしたので10分コーチングは圧倒的な時間短縮を実現しているといえます。

コーチングの新しいスタイルとして定着させたい

これまでお伝えしてきた通り、10分コーチングには大きな可能性があります。
短期間で望む成果が得られることはクライアントさんにとって大きなメリットとなります。
また、コーチにとっても新たな収入の可能性を生み出しますし、本業を辞めることなくコーチング活動を継続するための良い選択肢にもなると考えています。

さらに、企業のリーダーがこの10分コーチングを習得すれば、より短い時間で部下の育成ができるようになるなど、業界内にとどまらず大きな可能性を秘めている手法なのではないかと感じています。

当然、コーチには10分という限られた時間でセッションをまとめていくための高度な技術が要求されるのですが、今回得られた知見を元に、近日中に「10分コーチ認定資格講座」を開講しようと準備を進めていますので、どうぞご期待ください。

ということで、この記事では10分コーチングに関する分析結果をお伝えしてきました。
この分析調査がコーチングの新たな可能性を拓く一助になればと強く願っております。

※本記事内の分析結果及び全ての画像の著作権は全て林健太郎と合同会社ナンバーツーに帰属します。二次利用、無断転載を固く禁じておりますのでどうぞご了承ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?