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「コーチングの単価はどうやって決めたらいいのか問題」の解決があるとしたらこの記事です!

皆さま、こんにちは。
エグゼクティブ・コーチであり、リーダー育成家の林健太郎です。

先日、Twitterにこんな投稿をさせていただきました。

プロのコーチであれば誰でも悩む「自分の単価」問題ですが、金銭のお話ということもあり、話題としてはとてもデリケートで、なかなか内情、実情が浮き彫りにならない、いわゆる「ブラックボックス化」しやすい話題の一つです。

今日はそこにグイッと踏み込んでみようと思います。

あなたのコーチング事業のROIっていくら?

ROIとはReturn on Investment の略で、日本語だと投資対効果という言葉が使われることが多いと思いますが、皆さんはこの言葉、聞いたことがあるでしょうか?

これは私がコーチングをビジネスとして営もうと決めた10数年前の話ですが、当時の私のコーチであり師匠であったアンソニー・クルカス氏から口酸っぱく言われていたことがあります。

ビジネスとしてコーチングを営むわけだから、利益を生まなくてはいけないよ、ケンタロー

当たり前すぎて、文字に書くと大したことないように見えるかもしれませんが、駆け出しの私は「いや〜、利益出すなんて相当先の話だよな、まだ駆け出しだから、無料セッションで経験を積んで、自信を持ててからお金を取るべきだと思う」なんて考えていました。そんな私には師匠の言葉はにわかに信じられないものだったことを思い出します。

師匠からは「コーチングって元手がかからない仕事だと思ってるだろうけど、コーチングスクールに何十万支払ったか覚えてる?それに、お客さんのところに出向く交通費やお茶代、それにあなた自身の時給を合算すると相当の出費をしてると思うよ。それ、いつまでに回収するの?つまり、あなたのコーチング事業のROIは?

なるほど、言われてみれば、上に挙げた項目は勘定項目でいうと「仕入れ」に近いもので、いわば事業利益を期待して、先行投資しているわけです。
例えば、コーチングスクールに通った金額が60万円だったとしたら、その先行投資の元を取る、つまり60万円の売り上げを(もうちょっと厳密にいうと営業利益かな?)いつまでにどういう計画で達成するのかという計画を持っていなければならないということ。

これをアンソニーには口酸っぱく言われていました。

1セッション3,000円でオファーしているコーチを見ると悲しくなる

最近のTwitterでデビュー間もないコーチの投稿を見ていると、無料セッション、500円ワンコイン、2,000円、3,000円と超低単価でコーチングをオファーする人がたくさんいることがわかります。

上に書いた通り、その方々のお気持ちは痛いほどわかるんです。でもね、それでは永遠に元が取れない、というのも確かなことです。

もし万が一、私が無料で提供しているDELICオンラインのようなものでコーチングを学んでビジネスを営み始める人がいたとすれば、学習にかかった費用は0円ですし、オンラインでコーチングを提供すればお茶代も交通費もかからないかもしれません。

それなら例えば500円でコーチングを提供しても、それを月に10回提供すれば月商5,000円になります。これはつまり年商60,000円。個人の収入として本業の給料などにプラスアルファすれば悪くないのかもしれません。

ただ、コーチングってセッションを提供している時間はお客さんのことを真剣に考え、しっかり寄り添い、相手の目標達成のためにとにかく精一杯尽くしていると思うんですよね。それがコンビニでバイトするより安い金額で取引されることって本当に適切なのかなって思うんです。(コンビニでのバイトを悪く言う意図ではございませんので、不快に思われた方は申し訳ありません)

安かろう、悪かろう

これは私自身の経験ですが、デビュー当時は半年程度の短い期間、1セッションあたり500円とか、1,000円といった金額帯でコーチングをオファーしていたこともありました。
その当時の経験では、とにかく当日ドタキャンされることや、全く準備してこないお客さんが多かった印象があります。それに、お客さんの真剣度合いということで振り返っても、コーチの方が真剣で、お客さんの方は「どうせ1,000円しか払ってないから、別に何も解決しなくてもいいか」といった風合いの方が多かったように思います。(大変失礼ながら)

もし仮に、私がコーチングを受ける顧客の立場だとして、相手のコーチに「1回1,000円ね」と言われたとしたら、「ま、安いし、面白そうだから、一回受けてみるか」なんて気軽に考えて当日受けにいくと思うんですよね。それで例えばその日、別の気の合う友人から食事のお誘いでもあれば、当日構わずキャンセルするだろうなと。

それが例えば、相手のコーチに「1回1万円ね」と言われたとしたら、「どうしてそんなに高いの?それ受けたら何かいいことあるの?」と聞き返すと思います。
これはつまり、どうして1時間程度の「会話」がそんなに法外に高いのか?という疑問を解消しなければ顧客が拠出しない金額だということですよね。

私が顧客の立場だったら「会話にそんな金額払う奴いないだろう」と思ったその次の瞬間「1万円する会話ってなんだろう?」と逆に興味が湧くと思います。

ここが転換点で、上質な会話によって、一人では着手できなかった問題・課題・大きな夢に取り組むための機会を提供している、ということを伝えることができれば、顧客は1万円という単価の価値を「時間単価」ではなく「生涯価値」として認識するようになるはずなんです。

つまり、この1回の対話に1万円を出すことは、自分のこれから先の人生にどのくらいの利益をもたらすだろうか、ということに目を向ければ、1万円の投資は安いという判断もできるようになるということです。(つまり顧客側のROIを意識させるということ)

これは、例えば、一般的なゴルフレッスン1回あたりの単価を考えると「高い」と感じる顧客が、それよりはるかに価格設定の高い「ライザップ・ゴルフ」に通う決断をする、というプロセスにも似ているような気がします。
競合他社が時間単価でオファーしているところを、ゴルフができるようになった先の人生という生涯価値を想起させるライザップの手法は優れていると考えます。
私たちコーチもこのことから学べることは多いと思います。

なぜ私は1時間10万円で売っているのか

私は国際的な業界団体の日本代表を努めたこともある日本では有数のエグゼクティブ・コーチとして業界内外から広く認知されている存在です。
自分でこういうことを言うのはあまり私の好みではないですが、私自身が日本を代表するトップコーチの一人として責任を持って業界を牽引していく役割を担っていると思っています。

そんな私が1セッション10万円で請け負っているということを内外に広く知らせることは業界の発展に大いに役立つと思っているのです。

私がこの値付けをした当時の業界的なエグゼクティブ・コーチングの平均的な相場は6万円から7万円程度だったと記憶しています。その単価を10万円まで私が引き上げることができれば、日本のトップコーチである林さんがその金額だったら、私は6万円や7万円という単価が付けられるかもしれない思うコーチも出てくるだろうし、お客様の中でも納得感が生まれるのではないか。そんなことを考えました。

コーチングをビジネスとして専業でやろうと考えた時、このくらいの時間単価を取れなければ営業し続けられないと思います。例えば、月商(月収ではなく)100万円を売り上げようと思えば、単価6万円のセッションを17回実施しなければ達成できないわけで、例えば、1ヶ月に2回コーチングを受けるお客様を標準に考えたとすれば、毎月9人のお客様を新規で獲得しなければその売り上げが達成できないわけです。

コーチングセッションを実施する「本数」としてはきっとこなせると思いますが、継続した営業活動でそれだけのお客様を確保していくのは、意外と大変なことです。
ここが、コーチング を専業として営むことの難しさでもあります。
参入障壁の極めて低いコーチング事業ですが、成功への障壁は極めて高いということも認識しておかなくてはいけないと思います。
商売として成立するかという側面から自分のコーチング事業をしっかり組み立ててみてください。

私が教えている人はもっと自信を持って活動してほしい

今日は私の経験を踏まえて、あまり語られることのないコーチングの単価についてお話をしてきましたが、最後に、私からコーチングを学んでいる人に向けてメッセージを。

私から教えを受けている人は、トップコーチから上質な学びを受けて日々成長している優れたコーチであると考えて、単価を上げてみてください。少なくとも、数千円でオファーするレベルからは早々と卒業してほしいなと思います。
クリニックPROの月会費は1万円ですから、例えば月に1回でもいいので、1万円の単価で顧客をとって「元をとって」ほしいなと思います。それがご自身のレベルアップにつながりますし、ご自身のROIを考えることの始まりでもあると思います。

皆さん自身が、私の門下生として質の高い学びを享受する優れたコーチである、という自負を持ってください。
安価で提供することは、林健太郎のブランドを下げることにもなると思いますので、どうぞ堂々と高い金額を提示し、それに見合うクオリティーを維持できるように研鑽を積んでほしいなと思っています。

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