足関節捻挫

CAIの予測因子

初回内反捻挫 2POW
40cm台からの片脚着地動作困難
Drop vertical jumpが遂行困難
→感度85% 特異度55%

受傷後6ヶ月でのStar excrusion balance testにおける後外方リーチ距離の短縮

学童期スポーツにおける足関節捻挫

バスケットボールでの足関節捻挫受傷は多く、ユースチームを見ていた際も、捻挫既往の子供達が非常に多く、また自己判断でプレーへの再開を行なっていた。
トレーナーや理学療法士がいない環境下では、コンディショニングが十分に行き渡らないことが多い。
その選手が小学生で競技歴を終えるわけではないため、可能であれば将来的なことを考えると初期対応が大切だとも言える。
小学生くらいのプレーヤーにとって、将来的な身体的問題とパフォーマンスを理解することは難しく、今全力で頑張りたい子供達に、頭ごなしにせずどのように静止するかが大切だと思う。

足関節不安定症

臨床現場にいると比較的出会う機会が多い。
主訴で来院することは少ない印象。どちらかといえば、膝関節に不具合を感じていて、身体評価をすると足関節不安定性を有している場合があるというイメージ。
慢性足関節不安定症(CAI)では
・求心性外反筋力の低下
・静、動的バランスの低下
・腓骨筋反応時間の低下
・遅い角速度(5°/sec未満)における底屈、内反方向の位置覚の低下
が認められる
やはり臨床的に代償性に足底の接地面を増やすようなストラテジーを有する症例も見られると思う。

リハビリテーションとして足関節周囲筋の筋力訓練をしっかりと行なっていく必要がある。
腓骨筋の求心性エクササイズにおいてセラバンドを用いた運動方法はよくみる。
ただエクササイズバンドは負荷がバンドが伸び切る最終局面でのみ最大負荷となるため、伸展域で負荷がかかりにくいことが難点である。また運動方向の理解が難しい。外反➕背屈の運動は大人でも理解ができない人も多く、運動練習が必要になる。
そのため、運動自体は長座位で行うと背屈は抗重力運動となるが、外反が重力方向とずれた運動になってしまう。
メインは外反運動であるため、側臥位など腓骨が天井を向くポジションで行う方が良いと考える。
抗重力方向の運動の方が運動理解が得られやすく、最終域での収縮感も得られやすい。自動運動可動域途中での負荷がかかりにくいポジション(重力方向と運動方向が拮抗しないポジション)がどこに来るのかを考えていくと単関節運動におけるポジショニングが工夫しやすい。

筋力訓練時の運動負荷とポジショニング

これはまた別の機会にまとめようと思う。
ただ僕自身は「運動療法はできるだけ簡単に」と思っている。運動指示が複雑であると運動理解と遂行のための反復練習を要する。術後などで運動理解が得られにくかったり、疼痛により患部への意識が向きにくい場合が多い。その中で運動をより複雑化してしまうと、筋収縮が十分に得られにくく、また訓練としての十分な効果を持った反復動作が得られないと言った弊害が生じる。
そのため、先にも言ったように抗重力方向への自動運動を促し、対象関節以外の固定はできる限り対象者が受動的に行える方がよい。
これは運動難易度を上げていく、複合関節での運動にシフトしていくなど目的に応じて上記の通りではないことも理解している。
その上で学童期などの子供を対象にリハビリを行う場合や、受傷直後、術後などの場合は、一工夫があると良いリハビリテーションが提供できるのではと考える。

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