ハラにぺ第7回

この記事は2018年当時につけていた記録を元に書いています。なぜこの様な記事を書いているか?は、マガジンの冒頭を読んで頂ければ…と思います。

今回はフランスの保険の仕組みの話。



保険の話

この騒動が起こるまで大病など全く無く過ごしてきた為、保険も義務である基本的なモノにしか入ってませんでした。その保険に入るともらえる番号は日本語訳すると「社会保障番号」ってヤツで、フランスではこれが無いと契約するような仕事はできません。なのでほぼ仕事用って感じでした、この時までは…。

とりあえず任意加入で、日本で言う所の「共済」があり、それだと基礎的な保険以上にカバーしてくれるのでそれを入院前に探しました。

現実問題、私はガンであり、手術する事が確定している。そんな人を入れてくれるのか?と思ったけれど、まずはあたってみなければわからないのでとりあえず検索して目についた会社に電話していってみました。

言葉の問題もあるしややこしいのも嫌なので、断られるのを覚悟で直球勝負で全て説明…不思議なことに全ての会社で加入OKでした。
とりあえず「カミさんと相談します…」と言って全て電話を切ってたのだけれど、その時に皆さん「この保険だと100%負担できます」とか「200%〜」とかパーセンテージで負担率を言ってくるのだけれど、それが意味がわからず「?」でした。「実際に支払う金額」に対して「100%」とか「200%」じゃない様子。

なので、すぐにこのシステムについてネットで調べてみました。フランス人にとってもそこそこ複雑らしく、説明を見つけるのは簡単でした。

パーセンテージとかの話

 診療や治療に関して国が決めた基礎的な値段っていうのがまずあって、それに対して何パーセント国の保険が負担してくれるか?というルールがあるみたいです。その負担してくれる率は病気の種類とかによって変動する、と。

例えば国が決めた基礎的な治療費が10万円だとして、国の保険が30パーセントのみ負担…となると、残りの70パーセントが足りない訳で、その残りの分も保証してくれるのが「共済」ってやつです。
もし共済が100パーセントまで負担してくるのだったら自分のお財布から直で病院に支払う必要はない、と。

ただお医者さん側は、この国が決めた基礎的な治療費は守らなくても良くて、自由に値段をつけられる様で、値段にもランクがあるわけです。だからもっと高いお医者さんも存在します。というかまず「価格ランク」があり、ネットでお医者さんや病院を検索すると、そこの価格ランクが大抵の場合一緒に表示されます。

例えば国が決めた治療費が10万円、国の保険が30%なのに、とあるお医者さんに頼むと20万円請求される…要は公定価格の倍、なんていう事は普通にあるわけです。そうなると前述の100%まで、つまり10万円までしか負担してくれない共済では足りないですよね。なので200%までOKという保険会社と契約していると、公定価格の倍である20万円までカバーしてくれる、という具合です。

公立病院なんかは100%で収まる価格ランクみたいです。私立は色々バリエーションがあって値段相応にクオリティーが変わります。公立を含め、安い場合は気をつけた方が無難です。
フランスではそもそも病院を選ぶ時に、まず保険が効くか、それから価格ランクも調べるそうです。おまけに同じお医者さんが値段が高くはない病院と高い病院の両方で勤務してる場合があるから、その辺も調べるそうです。

ちなみにガンや出産等(他は知らない…)みたいなのは共済が必ず100%以上は負担するというのが決まっているようです。

という事で、前回少し書いた看護婦さんの「病院を選べば何も払わなくて良かったのに!」となるのです。なぜならば私が行った病院、アメリカンホスピタル並びに執刀医、麻酔医は共済の保険が効かない…。義務的な国の保険の方は利くけれど、そもそもこのアメリカンホスピタルはセレブな感じの病院なのでお高い!…なので、ほぼ保険の効力については期待できません。

当時はその様な仕組みについて全く無知だったし、緊急事態で最寄りの医者がそこしかなかったというのもあり、しょうが無いのだけれど、実際問題医療レベルは高く信頼できるので、不満はないです。

しかし…

検査、診察、手術等、同じ病院でやらなくてもOKなフランスでは、目的ごとに違う病院を使えます。(その代わり病院や先生等、全て自分で探さなければならないけれど…) なので、退院後の検査等では保険が効く価格ランクが最も低い医療センターへ行っているので、退院後の検査ではその都度の支払いはしたことがありません。

とは言え、年に一回の検査&先生と面談とかという段階になったら、共済の会費で支払う額が保険適用前の値段と大差無いので、もうあまり共済の意味は無いかも…です。実際手術費用も先生が保険適用外だったので負担してもらえなかったですしね…。

そういう事でフランス人の中でも「共済は入っても無駄」という意見の人も少なからずいるみたいです。利点は単純に分割払いみたいな感じで費用を積み立てられるだけ…という感じでしょうかね。

ちなみにどこかの会社と社員として雇用契約を結ぶ場合、社員を共済に加入させる事は雇用主の義務らしく、費用は雇用主が半分負担らしいです。
そして夫婦でそれぞれがどこかと雇用契約を結んでいる場合、どちらかがもう一方の共済に「家族」として加入するか、それぞれ別々に加入するかの選択ができる様です。

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