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リアルを求める
5月9日。一通の電話が入った。
先月プロデビュー戦を勝利で飾ったキックボクシング団体、KROSS×OVERのプロモーターからだ。
試合の様子はこちら。
「3週間後にKrushで試合できる?」
「えっ?」
急遽舞い込んできた試合のオファーだった。
KrushといえばK-1グループが運営している大会で、日本のキックボクシング業界の中ではかなりメジャーな部類だろう。
なんでも、怪我で欠場する選手がいたことで代役を探していたらしい。そこで、先月デビュー戦にKO勝利を飾れた僕に白羽の矢が立ったというわけだ。
しかし試合は3週間後。
数日前に上がったばかりの先月の自分の試合動画を見てニヤニヤ、ニマニマしながら浮かれている真っ最中だ。ここから気持ちを戦闘モードに持っていく必要があった。
それでもNOと言えない日本人だからか、取り急ぎ職場に休みのお願いをしてジムの会長に報告をして、トントン拍子に試合出場が決まった。
稲川淳二状態。ヤダな〜。怖いな〜。
— 遠藤健太郎 Kentaro Endo (@kuronyaro) May 9, 2022
決まった直後の心境はこんな感じ(笑)
決まった次の日ジムに行くと、試合の詳細やチケットの手配が張り出してあった。
ありがたいな……
ジム会長の松本芳道さん始め、何人も熱心に練習に付き合ってくれて僕のやる気も徐々に湧き上がってきた。
よし、やるだけやるぞ……!!
勝つとかなんとかはあまり言いたくないが(言うこともあるけど)、やるだけのことをやろうと思う。
人事を尽くして天命を待つというやつだ。
試合の話を貰って数日。早くも心境に変化が現れた。憂鬱から始まり、やる気が湧いてきて、恐怖と勇気が潮の満ち引きのように時間経過と共に現れる。
これからまた、少しずつ変わっていくのだろう。そんな自分自身の心の変遷も楽しもうと思う。
幸い怪我は一切なく、前回から日が浅いから試合に向けて調べ尽くしたピーキングは改善点を踏まえて適応させられる。あとは自分がやるだけだ。
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KrushはK-1グループだ。Krushに出るにはK-1グループと契約することになる。
大の苦手な書類をよく読んで、試合の日が迫ってるから急いで提出することになる。ああ、書類関係は昔から死ぬほど苦手だ。
しかしこれで僕も完全にプロキックボクサーだ。去年の5月27日にプロボクシングの試合に敗れてグローブを置いたつもりが、いつの間にかキックボクシングのジムでトレーナーをしつつ5月28日の試合でキックボクシング3試合目になる。
なかなかハイペースで試合をしていると我ながら感心する。
こうなったら、いけるところまでいってみようか。
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なんかみんな若いなって思う。絶対自分が最年長だ(笑)
でも、おじさんが夢を見たっていいんだぜ、的なね。
KrushはK-1の登竜門的な位置付けだ(違ってたらすみません)。ここで勝ち上がればK-1出場も見えてくる。そう思うと、ついさっき勝つとかなんとかは言いたくないと書いたばかりだけど少し欲も出てきてしまう。
K-1グループと契約する以上、K-1に出たい。K-1チャンピオンになりたい。33歳のオールドルーキーが夢を見たって悪くないに決まってる。
K-1チャンピオンは、実は20年越しの夢なんだ。
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あの頃はテレビでK-1が放送されると毎回必ず録画して、学校から帰ると毎日毎日VHSが擦り切れるくらい見続けていた。
あの頃の自分に嘘のない生き方をしたい。
口先だけの人間に嫌気が差して日々ストレスを受けているからこそ、自分は正々堂々と真っ直ぐに生きて挑戦しているんだと、他の誰でもない自分自身に証明したい。
机上の空論じゃない、リアルを求めてる。
虫にも触れないくせに自然との触れ合いが大切だと言ってみたり、劣悪な飼育環境で育てられた家畜の肉を口に運びながら命の尊さを説いてみたり、芸術にぶつかる気もなく創造性について語ってみたり、そんなフェイクで溢れた世の中で素肌を晒して傷つく覚悟を持ちたい。
飾りも建前も捨てて、弱い自分が自分のままどこまでやれるか試してみたい。折り合いをつけずに社会不適合者のまま歩き続けて、一体どこにたどり着けるのか。
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まだ始まっちゃいねえよ。
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