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「青天を衝け」レビュー⑫ 過而不改、是謂過矣

 おばんです(朝読んでいる方は、おはようござりす)。
 せっかくなので、渋沢栄一が主人公の大河ドラマ、「青天を衝け」で気になったところを考察していきたいと思います。
 とは言っても、あらすじなどは他の方々がわかりやすく書いているので、僕が気になったポイントだけ見ていきます。

 今回は、千代が栄一に対して言った言葉、「過ちて改めざる、是れを過ちと謂う」をとりあげます。

過ちて改めざる、是れを過ちと謂う

子曰く、過ちて改めざる、是れを過ちと謂う。
現代語訳 先生が言われた、「過ちをしても改めない、これを(本当の)過ちというのだ。
(『論語』 衛霊公第一五 三〇 より)

 今回はこの言葉を、経営的な観点から考えていきたいと思います(この時点でレビューでもなんでもないですが、ご容赦ください…)。

 なぜ間違っているとわかっている(うすうす感づいている)のに改めない、あるいは続けてしまうのか?
 理由は2つあると思っています。
 ①間違いを認めたくないから
 ②間違っているかどうか確証がないので、とにかく続ける

 ①間違いを認めたくないから
  この背景には、
  ・今まで正しいと思っていたことを否定したくない
  ・今までつぎ込んできた経営資源(人・金・時間)が無駄になる感じ  
  がして嫌だ
  あたりがあると思います。
   ギャンブルなどからなかなか抜け出せない理由も、「今までつぎ込
  んできた〜」あたりがあるのではないかと思います。

  ※経営資源は、「人・物・金・時間」とよくいわれますが、僕は人と
 金と時間の問題で集約できると思っているので、そう表現しています。

 ②間違っているかどうか確証がないので、とにかく続ける
  これはいわゆるPDSサイクル(PDCAでも可)が行なわれていないか
 らです。
  特に検証(see)をやっていない。
  計画(Plan、計画を立てない場合もままありますが))、行動(Do)
 だけだと、Doが正しかったのか、効果があったのかが測定できません。
 結果、次の計画に活かせず、ただ的を射ているのかわからないまま、矢を
 射続けることになります。
  的を射ているのかわからないまま、矢を射続けているとしたら、それ
 こそ経営資源(人・金・時間)の無駄ですよね。

 こんな感じで、「過ちて改めざる」のデメリットは、人・金・時間のムダ遣いになる、といえると思います。
 
 ・過っているかどうか確認する
 ・改める機会をつくる

 には、検証・軌道修正(see)の時間をつくることです。
 これは、『7つの習慣』でいうところの第3の習慣にでてくる「第2領域」のことです。
 しかし、普段忙しいと、なかなか時間をとるのが難しい。
 なので、組織では、定期的にseeだけをやるミーティングの時間をつくると良いと思います。
 個人でseeの時間を確保したい場合、朝早い時間や、昼休みの間、家事などなにかしながら、一人で晩酌をしているとき、寝る前など、習慣化できる時間帯、曜日などを選んでやってみると良いかもしれません。

『論語』から、他の似た言葉

 『論語』には、過ちを改めないことを戒める言葉がほかにもいくつかあるので、紹介します。

過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。
現代語訳 あやまちがあれば、ぐずぐずせずに改めよ。
(『論語』 学而第一 八 より)
 子夏曰く、小人の過つや、必ず文(かざ)る。
 現代語訳 小人があやまちをすると、きっとつくり飾(ってごまかそうとす)る。
(『論語』子張第一九 八 より)

 どちらも現代でそのまま使える教訓です。約2,500年前からこれが教訓として残っているということは、人の心理は基本変わってないってことですよね。

おまけ(12話関係)

 長七郎との激論ですが、前回同様、ドラマではさらっとしたものでしたが(ドラマなので当たり前か)、渋沢栄一の自伝『雨夜譚』によると、徹夜して議論して中止が決まったようでした。

 このときも徹夜して論じた末に、長七郎は自分を殺しても挙行を抑止するというし、自分は長七郎を刺しても挙行するというので、ついに両人して殺すなら殺せ、刺し違いて死ぬというまでに血眼になって論じたけれども、長七郎はあくまで承知せずにこの企てを止めるから〜
(『雨夜譚』 志を立てて郷関を出づ 九死に臨んで一生を得たり より)


参考文献

↑Kindle版ですが、渋沢栄一の代表的な本3冊が700円弱で買えるので、まじおすすめです。

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