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移動というコスト

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太です。東京出身、大手企業をやめて長野県は移住をして総合型地域スポーツクラブのマネジャーとなり、2021年1月からは埼玉県富士見市へ移住をしてゼロから総合型地域スポーツクラブを立ち上げようとしています。移住マニアです。東京→長野→埼玉の移動を地図上で結ぶとVみたいになるので、これをVターンと呼んでいます。もう1回石川県あたりに移住すれば「N」みたいになります。さらにもう1回群馬あたりに行けば、「W」みたいになるので、Wターンが人生の最終目標です。嘘です。

 少し前に、引っ越しのコストについてお話をしましたが、今回も移動のコストをテーマにお話したいと思います。ただし、移住とか引っ越しとかそういうイベント的な移動ではなく、総合型地域スポーツクラブの日常における『移動』です。

 総合型地域スポーツクラブは、多種目・多目的・多志向という3つの多様性を持っているのが特長のクラブなので、活動メニューが多いというのが基本的な性質だと思います。1つの種目を深堀するより、広く浅くという傾向がある。もちろん、中には”深い活動”もありますが、あくまで傾向として。例えば私が現在マネジャーとして働いている一般社団法人たかぎスポーツクラブの場合は、1週間に約70コマの活動があります。そして、活動場所は、細かく言うと10会場くらいに分かれています。こんな数字を言われてもそれによってどんな移動が生じているか、イメージがしにくいですね(笑)
 例えばうちのとあるスタッフの一番大変そうな移動は、まず朝にクラブハウスに出勤して車に荷物を積み込み、Aという会場へ車で5分かけて移動します。そこで指導をした後、クラブハウスに戻って事務。その後、夕方に今度はクラブハウス内の会場で指導。さらにその後、再び車に荷物を積み込み、車で5分かけてBという会場へ移動して指導をし、最後にクラブハウスに戻って来て残務処理をして一日の仕事終了。といった感じです。
 たかぎスポーツクラブの場合、クラブハウスという拠点があるから、そこでできる活動もあって、移動はかなり少なくなっていますが、もしクラブハウスがなかったら、さらに外へ移動をして活動をしなければならないので、移動はさらに増えます。
 この移動のコストが結構馬鹿にならないなと私は思っていて、移動のコストをもっと分けて考えてみると、その中身は、カネ・時間・マンパワーです。
(いつもと一緒です)
 カネは、例えば車での移動の場合はガソリン代。基本的には地域内の移動なので、遠くても片道10分程度という感じですが、これが積み上げてみると結構なコストになります。1回のガソリン代が100円で、それが1週間に5回あったとすると、1週間のガソリン代は500円、1か月で2,000円、1年で24,000円です。この移動が5人のスタッフに生じていたとすると、全部で年間12万円です。結構な金額になりますよね。さらに、その移動時間にも時給が発生している場合は、その金額もクラブにとってはコストになります。移動の為の準備から片付けまでの往復を1回30分として、そのスタッフの時給が1,200円だとすると、1回の時給に関する移動コストは600円、週5回で3,000円、1か月で12,000円、1年で14万4千円です。これがまた5人のスタッフに生じていたとすると、72万円ですよ!ガソリン代と合わせて、84万円です!
 「いや、うちはガソリン代も移動の時給も出してないから、コストは発生していない」というクラブもあるでしょう。たかぎスポーツクラブも、『移動に対して』という名目ではガソリン代や時給は支払っていない場合も多いです。そこは指導の報酬に含ませていただいているということで。ただしそれは、コストが発生していないということではないんです。コストを、スタッフに負担させているということか、別の名目で処理している、ということなんです。マネジメントする人は、これを絶対に忘れてはいけないと思います。そこにコストは発生しています
 時給とは別の観点で、時間もコストとして消費しています。先ほどと同じ数字を使うと、1回の移動で30分だとしてそれが週に5回発生しているとすると、1週間で150分、1か月で600分、1年で7,200分(=120時間)です。120時間あれば何ができますか、ということです。もちろんこれは、まとまった時間として120時間を使うわけではないので、なかなか想像が難しいかもしれませんが、時間は戻らないので、それがただの”移動の為の時間”であるなら、なるべく削った方がいいと思います。移動時間に指導の展開のシミュレーションをしていたりする場合は話は別です。
(安全運転を心がけましょう!)
 最後にマンパワーです。カロリー消費という点でいうと、荷物の積み下ろしや運転にパワーを使っています。これもコストですが、精神的なパワーの消費が大きいかなと思っています。これは心理的なものでなかなかロジックでは説明できないのですが、やっぱりあっち行ったり、こっち行ったりして活動をするよりも、1つの場所で、同じ場所でやれた方が、心理的な負担は少ないんです。ホーム感というか何というか。こういった精神的なものも含めて、移動にはマンパワーを使っています。

 活動メニューが多い総合型地域スポーツクラブだからこそ、移動のコストは避けられないと思います。移動コストはどうしてもそれなりに大きくなってしまいます。だからこそ、クラブハウスの効果は大きいんです。それまで移動をして活動をしていたところが、クラブハウス内で活動できるようになれば、そこのコストをほぼゼロにすることができます。たくさんの移動が発生する総合型地域スポーツクラブだからこそ、そこのコスト削減の効果は大きいんです。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5