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『総合型クラブ創設ガイド こうして創った!こうすれば創れる!』まとめ②

 総合型地域スポーツクラブ研究所、所長の上杉健太(@kenta_u2)です。総合型地域スポーツクラブのマネジメントやアドバイザー、講演・執筆活動、エンジョイスポーツコーチなどをしています。現在、埼玉県富士見市でクラブ立ち上げ準備中です!

 今回は、前回の続きとなります。日本スポーツ協会(旧:日本体育協会)さんの『総合型地域クラブ創設ガイド こうして創った!こうすれば創れる!』からの学び第2弾をお話したいと思います。

(前回のお話はこちらからご覧ください)

3つの設立タイプ

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 この本では、総合型クラブの設立は大きく3つのタイプに分けて考えることができるとしています。それが・・・

①既存団体を中心に
②ゼロからのスタート
③既存団体が集まって

・・・です。順番にご紹介します。

【①既存団体を中心に】
 既に地域で活動しているクラブが、その実績を活かして総合型クラブの設立を目指すタイプ。既に地域やクラブの地域・ノウハウがあるので、プレ事業などが比較的にスムーズに実施できるのが特長。
 ポイントは、クラブ内での合意形成をすること。

(※既定路線を変更して総合型クラブ化するわけですから、既定路線を支持する人との調整が必須ですよね。)

 <設立までのステップ>
 (1)既存団体内でのクラブづくりの検討
  ↓
 (2)設立準備委員会の活動
  ↓
 (3)プレ事業の実施
  ↓
 (4)活動の見直しと協力の呼びかけ
  ↓
 (5)運営体制づくりと総合型クラブの設立
  ↓
 (6)総合型クラブの運営

【②ゼロからのスタート】
 まったく活動の基盤がなくゼロからスタートするタイプ。ゼロの段階から、仲間集めをしていくわけですが、そのメンバーは何らかの形で地域活動をしている場合がほとんど。
 ポイントは、身近なところから声をかけて組織化していくこと。特に、行政とのパートナーシップも大切にしながら運営体制を作り上げ、できることから始めていくこと。

<設立までのステップ>
 (1)関心ある人によるクラブづくりの話し合い
  ↓
 (2)地域住民や組織へ協力の呼びかけ
  ↓
 (3)設立準備委員会の活動
  ↓
 (4)プレ事業の実施
  ↓
 (5)運営体制づくりと総合型クラブの設立
  ↓
 (6)総合型クラブの運営

(※私が埼玉県富士見市でやろうとしているのがこのタイプで、この本で書いてある通りの動きをやろうとしていました!動きが読まれている!笑 活動実績がなく、信用がない状態からのスタートなので、そのあたりの積み上げも必要になってくるタイプですね。)

【③既存団体が集まって】
 学校や公共施設を利用しているクラブや教室などが集まって総合型クラブを目指すタイプ。
 ポイントは、それぞれの活動がある既存団体や飽和状態の施設利用の現状などに対して、総合型クラブの意義(効果)を明確に伝えて賛同を得ること。クラブとしての一体感づくりも大切。

 <設立までのステップ>
 (1)課題に対する解決策の検討
  ↓
 (2)施設利用団体や教室参加者への呼びかけ
  ↓
 (3)設立準備委員会の活動
  ↓
 (4)プレ事業の実施
  ↓
 (5)運営体制づくりと総合型クラブの設立
  ↓
 (6)総合型クラブの運営

(※このタイプは”調整”がかなり大変で、たぶんこれをやろうとして断念して単独クラブ中心で立ち上げたり、行政主導型に切り替えたクラブもたくさんあるのではないかなと思います。)


 スタートこそ3つのタイプは全て異なりますが、最終的には同じステップを踏んでいくことになります。【誰がやるのか】という部分と、【何の為にやるのか】の違いですよね。

クラブ設立までの活動内容

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 3つの設立タイプの解説の後は、クラブ設立までにする必要がある活動内容について詳しく書かれています。この本の一番凄いところがこれかもしれません。本当に組織運営をしたことがない人向けに書かれていて、手順までとてつもなく丁寧に説明されているんです。
 まず、大きな項目として11個をこの本では挙げてるのですが、ここではちょっとまとめさせていただきました。

A. 会議や説明会の開催  設立準備委員会や住民説明会、設立総会など
B. アンケート調査の実施 ニーズや意識調査など
C. スポーツ教室やイベントの実施 試験的に実施するものなど
D. 広報活動 チラシの配布など
E.先進総合型クラブ視察 参考事例を学ぶ
F. 研修会・講習会の開催 指導者やスタッフの育成など
G. 会費等の設定 会費や参加費の額や徴収方法など

 この本ではこれらの項目1つ1つ(実際は11)について、本当に丁寧に手順を説明していきます。
 会議開催を例にすると、日程調整して、会場を抑えて、開催要項を作成して・・・、会議後は議事録を共有して、みたいなことです。本当に使えるガイドになっていると思います。作った人の本気度が見えます!

 手順についてはここでは割愛しますが、会費用の設定について、詳しく考え方が説明されていたので紹介しますね。

会費等の設定について

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 この項目の冒頭で、この本ではこう書かれています。

総合型地域スポーツクラブは「住民による住民のためのクラブ」です。当初から助成金や補助金に依存した会費の設定をしてしまうと、補助期間終了後には、事業の縮小による活動の低迷、会員数の減少を招きかねません。安定的なクラブ運営を図るため、クラブの趣旨を住民に明確に伝え、会費・参加料を徴収することへの理解を得る必要があります。

 これは本当に大事なんですよね。「補助金がもらえるからやろう」と説明して始めたクラブが5年後に苦労するのがこの部分ですよね。自分たちの活動にかかる費用は自分たちで出し合おうとすることを『受益者負担』とも言いますが、総合型地域スポーツクラブではこれが大事ですよね。

 ここでは3つのポイントをご紹介したいと思います。

①赤字にならないようにしよう!
 『支出 ≦ 収入』

②会費設定の考え方
 クラブ運営費 ÷ 見込み会員数 = 会費金額の目安
  ※運営費:事務局人件費、広報費用、会場費、事務用品費など

③参加料設定の考え方
 教室運営等の必要経費 ÷ 見込み参加人数 = 参加料金額の目安
  ※経費:指導者等の人件費、会場費、用具費など

④金額設定は3つのバランスが大切!
 A. 原価志向・・・必要コストを回収できるだけ設定する
 B. 競争志向・・・他のクラブや民間サービスの価格などを参考にする
 C. 需要志向・・・地域住民が出してもいいと思えるように設定する

 どれも基本的なことですが、非常に大切なことですよね。

(※今でも勉強になりますが、できれば7年前に読んでおきたかった笑)


 この本では、他にも多数の事例や参考図書がたくさん紹介されています。さらに詳しく読みたいかたは日本スポーツ協会さんのホームページで公開されているので、チェックしてみてくださいね!


 というわけで2回にわたって、日本スポーツ協会さんが発行している『総合型クラブ創設ガイド こうして創った!こうすれば創れる!』からの学びを共有させていただきました。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5