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富士見市は個人スポーツのニーズが高い?

 総合型地域スポーツクラブ研究所、所長の上杉健太(@kenta_u2)です。総合型地域スポーツクラブのマネジメント、アドバイザー、講演・執筆活動、エンジョイスポーツコーチなどをしています。現在、埼玉県富士見市で新たなクラブ設立の準備中です。

 富士見市に移住してきて1週間あまりが経ちました。徐々に富士見市のことを知る活動をしていく中で、『富士見市スポーツ推進計画』という文書を見つけたので読んでいます。

 この中には、

地域における身近な運動・ スポーツ活動の拠点となり、かつ、地域の交流の場となる「 総合型地域スポーツクラブ」 が本市にないことから、創設に向け支援していく ことが必要です。

という非常に重要な一文が記載されています。この計画は平成29年度~平成33年度(令和3年度)までの計画で、恐らく今のところ「総合型地域スポーツクラブ」の創設に向け支援しているという実態はないと思うので、手を挙げればチャンスはありそうな気もしますよね。

(※ただし、この計画は平成32年度~平成33年度が見直し期間として設定されていて、すでにこの一文は見直しがかかって更新されたという噂も・・・。ちゃんと調べます)

 いずれにしても総合型地域スポーツクラブの立ち上げには動いていくので、行政支援”も”あればいいなとスタンスでいます。
 今日は、もっと気になる分析があったので、それについてお話したいと思います。テーマは、『富士見市は個人スポーツのニーズが高い?』です。

調査の概要

 この計画を立てるうえで、富士見市はアンケートを行ったということです。その概要は・・・

・「スポーツに関するアンケート調査」
・期日 平成26年12月
・対象 16歳以上の市民1000人
・方法 郵送アンケート
・有効回答数 330件
 ※年齢が高いほど回答数が多い

です。今となっては古いデータですが、私にとっては参考にはなると思って見ています。

スポーツをする相手について

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 このアンケートでは、市民が「いつ」「どこで」「誰と」「どの時間に」「何のスポーツをしているのか」などを調査しています。その中で、『スポーツをする相手』の分析がされていたのでご紹介します。まずはアンケート結果と分析です。

【スポーツをする相手について】
個人         37.9%
友人・知人      21.5%
趣味のグループ    9.7%
家族         8.2%
職場や学校の仲間   7.7%
地域の人の集まり   6.7%
競技団体(チーム等) 6.2%

スポーツをする相手は、「個人」(1 人で)が 37.9%、次に「友人、知人」が 21.5%という結果でした。1 人でスポーツする人は 4 割弱おり、それ以外は友人や仲間とともに活動しています。
年代別では、スポーツをする場所が主に学校である 10 歳代のみ「学校・職場の仲間」と行う割合が高い結果となっています。20 歳代の約半数は「友人・知人」であり、「家族」との回答が最も多かったのは 30 歳代でした。
60 歳代以上で「個人」という回答が過半数近くを占めており、1 人で活動している人もかなりいることがうかがえます。

 高齢者が増え、働き方も多様化すると、集まって何かをするというよりも、自分の好きな時間に運動(ウォーキングなど)をする人はこれからも増えていくかもしれませんよね。コロナ渦においては特に。

行っているスポーツについて

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 ではどんなスポーツを市民がしているかというと・・・

ウォーキング 17.2%
健康体操など 10%
ゴルフ 7.5%
ジョギング 7.2%
ジムトレーニング 6.9%
バドミントン 3.9%
ヨガ・太極拳など 3.6%
テニス 3.6%
登山 3.3%
ダンス 3.3%
サイクリング 3.3%
水泳 3.1%
グラウンドゴルフ 2.8%
ボウリング 2.6%
卓球 2.6%
野球・ソフトボール 2.6%
(以下省略)

世代別で見ないと、やっぱりウォーキングなどが上にきますよね。高齢者の数が多いので。それにしても、個人でできるスポーツばかりが挙がってきている気がしますね。
 『今後定期的に行っていきたいスポーツ』という項目もあるのですが、これと大きく違いはありません。

個人スポーツのニーズは確実

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 このアンケート結果からも、時代の流れからも、個人でできるスポーツのニーズは確実に高いと言えると思いますし、しばらく変わることはないでしょう。三密を避ける社会が続く場合には、むしろ個人でできるスポーツのニーズは強まります。

 ここに対して、総合型地域スポーツクラブもあり方を考えないといけないのでしょう。スポーツ活動自体は個人で行うけど、クラブとしてのつながりを感じることができるような形。例えばウォーキングなら、メンバーがいつどこを歩いたか見える化したり、歩いた距離の個人記録やクラブとしての合計を見える化(エンタメ要素としての順位付け)をしたり、定期的なオンラインミーティングなどをしたり。

 もちろん、ウォーキングなどの個人スポーツをみんなで集まってやるという、これまでのクラブの在り方も存続していくでしょう。指導を介在させたりすることで。

「個人でやりたい」と「個人でやらざるを得ない」は別

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 とはいえ、やっぱりクラブの最大の魅力は、『一緒にやる』であって、それは本当は顔を合わせてやることで最大化される魅力だと思います。

 そこで気になるのが、このアンケート結果は「個人でやりたい」というニーズの結果なのか、「個人でやらざるを得ない」という環境による結果なのかということです。

 前者が確実に存在していることは分かっています。問題は、後者の割合がどれだけあるかということです。もし、友達がいないとか、友人と時間が合わないとか、そういう理由で”個人でやらざるを得ない”という状況から個人スポーツを行っているのだとしたら、その人はもしかしたら、『本当はコミュニティに入ってみんなでやった方が幸せになれる』のかもしれません。

 であれば地域スポーツクラブがやるべきことは、『もっとこの地域にスポーツコンテンツをつくる』です。

 このアンケートでは、こんな結果も出ていました。『市全体のスポーツ施設の要望』という項目です。

利用手続き、 料金支払い方法の簡素化 13.7%
利用時間の拡大( 早朝、 夜間) 12.7%
快適な施設( 空調、 清掃) の維持 12.6%
初心者向けスポーツ教室の充実 10.0%
用具の充実 9.4%
利用料金の値下げ 8.6%
(以下省略)

 施設自体への要望が続く中、コンテンツの要望がちゃんと上位に入ってきているんです。『クラブ』というコミュニティのコンテンツがあれば、「個人ではなく仲間とやりたい」というニーズは掘り起こせるのではないかなと思います。

 ていうか、私がやりたいのは『クラブ』なので、絶対に掘り起こします!笑


 アンケートというのは、読み方次第ではどんな分析もできてしまうものだと私は思っています。だからこそ、意思が大事。個人スポーツニーズがアンケート上で高いからといって、個人スポーツを普及させればいいかといえば、決してそういうわけではない。環境を整えれば、コミュニティでスポーツをやる方が幸福度が高いという状況だって生み出せると思っています。

 アンケートというのはどうしても”現状”に引っ張られます。だからこそアンケートを利用(分析)する者は、未来を見なければならない。どんな未来を作りたいのかが先にあって、「じゃあアンケート結果をどう受け止めるか」という順番で考えるのが大事かなと。

(富士見市スポーツ推進計画はこちら)


 というわけで今回は、『富士見市は個人スポーツのニーズが高い?』というテーマでお話しました。確実に個人スポーツニーズは高いので、いかにコミュニティ化していくか。そこが考えどころかなと思います。
 たぶんどの地域でも同じ状況だと思います。背景にあるのは『高齢化』『ライフスタイルの多様化』だと思うので。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5