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総合型地域スポーツクラブで抑制される行動

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太(@kenta_u2)です。今日は、『抑制される行動』というテーマでお話したいと思います。
 人の持つ強いニーズは行動に現れます。空腹という強いニーズは、食事という行動に現れます。しかし、時にニーズが強くても行動に現れないことがあります。行動の手段がない(目の前に食べ物がない)場合、ニーズがあることを認めたくない(3日間食べなければ100万円もらえる約束がある)場合、そして他人の目に抑制される(あいつダイエットするって言ってたのに、と言われそうと思う)場合です。
 私は田舎で総合型地域スポーツクラブをやっているせいか、この3番目の『抑制される行動』にたくさん出会ってきたと思っています。これが都市部のクラブでも同じなのかどうかは今の私には分かりませんが、クラブマネジャー仲間と情報交換などをしていると、全く田舎だけの話というわけではなさそうだなと思っています。でも何となく、田舎の方がその傾向はきっと強いのだろうなと思います。
 今日の結論は、「ファーストペンギンとセカンドペンギンは死ぬほど大切にした方がいいと思います」です。

抑制される行動①:昼間から地元でスポーツできない

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 多様な働き方が実現されてきているとはいえ、まだまだ多くの人は月曜日から金曜日の8時~18時くらいの間に働いていて、それ以外の時間に余暇活動や休息をするという生活スタイルのままです。それが”当たり前”として認知されている社会では、平日の8時~18時に遊んでいる人は、”異常”な人と認定されてしまいます。私は木曜日が定休日なのですが、子どもと歩いていると、「お休み?」といちいち聞かれたりします。日曜日にお父さんが子どもと歩いていても、たぶん「お休み?」とは聞かれないでしょう。

 この社会では同じように、平日の8時~18時の間に大人がスポーツをするのを抑制してしまうんですね。どうやら、「みんなが働いている時間に遊んでいると、何を言われるか・・・」という思考が働いてしまうらしいんです。例えば私のように、みんなが休んでいる土日に仕事をしていて、その分、平日に休んでいる場合でも、その時間を自由に使いにくいということです。また、専業主婦など、日中に時間があるかたの場合でも、田舎だとお姑さんと同居していたりするので、そこの目もあって出て来れないなんて話も何度も聞きました。出て来れるようになるのは、”一日の家事を全て終えた後”という家も多いようなんですね。(その生活辛いですよね・・・)

 なので田舎は、平日の日中のスポーツ施設を持て余してしまうし、総合型地域スポーツクラブで活動を作ろうとしても、なかなか会員が集まらないんです。

 ここを突破する方向性は2つで、1つは『見られないようにする』で、もう1つは『見られても平気にする』です。

 『見られないようにする』は、そのままの意味で、活動している様子を見られない会場にするということですね。屋内でやるとか、誰も人が来ない場所でやるとか。見られない安心があれば、参加したい人はいるでしょう。でもこれは、どこか後ろめたさを抱えたままやることになるので、あまり健全ではないと私は思います。

 『見られても平気にする』は、地元の人を集めないとか、むしろ堂々と見せつけるくらいにやるということですね。
 近所のスーパーに行くと近所の人に会っちゃうのと同じで、地元の人だけを集めようとすると、地元の人に目撃されたくない人は集まらないので、ターゲットを少し離れたところの人に設定するとちょうど良かったりします。これは結構大事な視点です。この気持ち、私は分かります。地域で仕事をしていると、「今日は地域の人に会いたくないな」と思ってスーパーに行くのが嫌になったりすることはあります。
 そして、少し遠い人や、地元の少し変わった人達が集まったら、とにかく堂々と楽しく活動をして、むしろ見せつけることが大切ですね。平日の昼間にスポーツをやるのがスタンダードだ!と言わんばかりに。そうすると次の人からは、「あ、こんな時間にスポーツやってもいいんだ」と思いやすくなります。

抑制される行動②:お金を自分の為に使えない

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 さらに、クラブの活動に参加してみたいのだけど、自分の為にお金を使えなくて入会に至らないという話も聞きます。これは”お嫁さん”に多い。特に、子育て中で仕事をしていないかたですね。自分で稼いでいないのに、娯楽の為にお金を使えないと思ってしまっている。きっとこの時に気にしている他人の目は、”パートナー(夫や妻)”または”両親(義両親)”だと思います。

 実はここを突破するのって凄い難しくて、ご家族が緊縮主義の場合、どうしても自分で稼いでいない人ってお金を使えない。こういうシーンを見ていると、本当に社会ってお金を回せていないんだなと実感します。(田舎はもっとお金を回せば豊かになるんじゃないのかな。家とかみんな立派だし、貧乏には見えない)
 ただ、田舎の場合で言えば、『自治体(行政)』とか『公民館』とかがこの抑制を突破するキーマンになれます。そういう家も、何もサービスを利用しないわけではないんですね。「行政がやっていることならいい」と考えている家も多いんです。なので、後援に自治体の名前を入れるとか、村の広報を通じてプロモーションをするとか、公民館との共催にするとか、そういった公共と絡めてあげると突破の可能性が見えてきます。
 ただし、ここに囚われ過ぎると余計なパワーを使うことになり、クラブの資源をいたずらに消費してしまうことになりかねないので、優先順位には気を付けた方がいいです。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5