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総合型地域スポーツクラブは、『飽き』にどう対処するのか。

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太(@kenta_u2)です。今日は、『飽き』をテーマにお話したいと思います。
 何でもそうですが、同じことをやっていたらほとんどの場合、いつか『飽き』は来ますよね。その時に、私達はその『飽きたもの』を、続けるかやめるかの選択を迫られます。総合型地域スポーツクラブでも、きっとたくさんの『飽き』が生まれているはずです。対処法は大きく2つあると思っています。総合型地域スポーツクラブは会員が継続することでしか成り立たないので、とても大切なことです。

①飽きさせない

 1つ目は、そもそも飽きさせないということですよね。これは指導者レベルでは実践しているクラブも多いと思います。「あ、この練習はみんな飽きてきたな」と思ったら、少しアレンジするとか、強度を増すとか、そういう風に『変化』させてますよね。『変化を加える』は飽きさせないための大切なポイントです。
 特に、私が指導してきたコーディネーショントレーニングなんかは、脳に刺激を入れるという視点がとても大切で、そういう意味では頭が働いていない状態である『飽き』は大敵です。極端なことを言うと、「同じことは二度とやらない」くらいの気持ちでやっています。とはいえ、現実的には私の能力不足により無理なのですが(笑)

 飽きさせない工夫としては、頻度や活動時間の調整も大切なポイントだと思っています。例えば、まだその種目にのめり込んでいない状態の人に、毎日3時間も練習させたら、もしかしたらすぐに飽きてしまうかもしれません。そのような段階の内は、月に2回だけにしておくとか、活動時間の内半分は違う種目のことをやるとか、そういう工夫もできると思います。「もっとやりたい」と思うくらいのところでやめるということですね。これは地味に大切なことです。やらせ過ぎない。方向性としては、『量を減らす』ということですね。

 もう1つが、『偶然性を活かす』です。スポーツの持つ面白さの1つに、『偶然性』があります。偶然性というのは、例えばマグレが起きるということですね。
 テニスが上手なA君と、テニスがまだ下手なB君がいるとして、的当て競争をするとします。A君の実力では3/10の確率で的に当たるとして、B君の実力では1/10の確率で的に当たるとします。1球目、A君は的のすぐ横にボールを打ちましたが、残念ながら外れました。B君はてんで違うところに打ちました。2球目、A君はまたもすぐ横にボールを打ちましたが、惜しくも当たらず。B君は、またてんで違うところに打ちました。3球目、確率的にはA君が当たる可能性は高いですが、またも僅かに当たりませんでした。B君は、見事に当てました。残りの7球、A君は見事3球を的に当て、B君はもう二度とボールが的に当たることはありませんでした。
 さて、この勝負、どちらが勝ったでしょうか。どちらが早く当てることができるか!?という勝負なら、B君の勝ち。どちらが多く当てることができるか!?という勝負なら、A君の勝ちです。
 では、『早く当てる』と『多く当てる』、”偶然性が高い勝負”はどちらでしょうか。当然、『早く当てる』ですよね。1球のマグレで勝てるわけですから。実際の試合でもそうですよね。あと10球やれば勝てるのに!なんてことは通用しないですよね。その瞬間の1球で結果を求められるので、どうしてもスポーツと偶然性はセットなんです。もちろん、成功確率を高め、偶然性をなるべく排除しようとするのがトレーニングの目的の一つだとは思いますが、人間は全ての要因を操作することはできませんから、偶然性はなくなりません。急に吹く風を、私たちは止められないわけです。
 指導者は、この偶然をいかに生み出すかを考えると、『飽きさせない』を実現できるかなと思います。『早く当てる』と『多く当てる』のように、偶然性の高いメニューとそうでないメニュー(必然性の高いメニュー)を使い分けるということですね。特に『飽き』が来やすいのは技術レベルが低いプレーヤーに多いと思うので、偶然性をいかに生み出すかという視点は大切です。
 偶然性が一番高いメニューはやっぱりゲーム形式なので、飽きさせない為には、どんなレベルの人でもできるように、色々なゲーム形式を引き出しに入れておくと『飽き防止』に効果的かと思います。コートの大きさ、ルール、ハンデなどの設計(アレンジ)が大切です。

②『飽き』を認める

 もう1つの大きなアプローチが、『飽きを認める』ということです。先ほどのように、いくら指導者が飽きさせないように頑張って工夫しても、飽きる人は飽きます。そもそもそのスポーツが自分にあまり合っていないという場合だってあるわけですから。その時、総合型地域スポーツクラブなら『飽きを認める』ということを積極的にやってもいいと思っています。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5