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会費収入の増やし方

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太です。新卒で入社して7年間働いたベネッセコーポレーションでは、予算などのお金を扱う仕事は大嫌いだったのに、たかぎスポーツクラブでマネジャーになってからは、かなりお金のことを発言しているので、たぶんクラブ関係者からは“金にうるさい人”と思われているはずです。うるさくて結構、ではありますが、私がお金のことを発信するのは、それが必要にも関わらず、他の人がやらないからです。特に地域スポーツクラブ界隈では、お金の話を嫌う人は多いです。「利益」という言葉を使って怒られたことがあるくらいです(笑) 利益を出すのはクラブの持続可能性を高める為であって、確実にクラブの為になるのに怒られるというのは異常ですよね。でもそういう考え方がまだまだある世界なんですね。

 というわけで今日は大切なお金について、『会費収入の増やし方』をテーマにお話したいと思います。

 昨日の記事でも書きましたが、多くのクラブマネジャーのかたは、会費額の設定でいつも悩まれていると思います。「経営的には会費を上げたい。でも会員にお願いするのは怖い。上げるなと言われているし」みたいな感じで、会員と”経営”の板挟みみたいになっているマネジャーのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。(本当は一体なのに)
 たかぎスポーツクラブでも、一番議論が盛り上がるのは会費絡みです。みんな関心が高いし、ほとんどの会員は会費を低く設定したいと思っていて、マネジメント側はなるべく高く設定して健全に経営したいと思っているからですね。
 ただここで気を付けなければいけないのは、マネジメント側がやりたい会費の値上げの目的は、『会費収入を増やす』であり、決して『会員の負担を増やしたい』ではないということですね。もっというと、『会費収入を増やす』のも、『クラブを健全に経営する』が目的なので、支出を減らせて経営を成り立たせることができれば、会費収入を上げる必要すらないかもしれないんです。「会費を上げたい」と言ってしまうと、月額2000円が2500円になるとか、そういう”払う額”に目が行ってしまうのですが、正しくは「会費収入を上げたい」であることに注意しなければなりません。マネジャーは言い方を気を付けた方がいい場面もあるでしょう。
 さて、多くの総合型地域スポーツクラブにとっては、支出を削るよりは収入を増やすが課題でしょう。支出の面では、従業員の報酬は低いし、広告費なんてほとんどお金使っていないし、会場代は自治体が減免してくれているクラブだってあると思います。これ以上に支出を削ると、クラブのパワーを削ってしまうことになりかねません。従業員の離職率が上がり、用具は貧しくなり、クラブの認知が広まらずに新規会員を獲得できなくなれば、クラブは衰退の一途をたどるに可能性が高いです。むしろ多くのクラブは、支出を増やさなければならないのではないでしょうか。思えば”正しくお金を使う”というのは、日本人全体が苦手なことなのかもしれませんね。だから貯金にお金を回しちゃう。あれは使い方が分からないからという典型例だと思います。
 すみません、また脱線しました(笑) というわけで、課題は『会費収入を増やす』だというクラブが多いと思います。会費の増やし方は大きくは2通りしかありません。

①会員数を上げる
②会費を上げる

これだけですよね。『会費収入=会費×会員数』なので。
 会員が負担する会費額を抑えたいというクラブの場合には、会員数を増やすという方針をとっていると思います。たかぎスポーツクラブの場合もそうしています。ただし、地域スポーツクラブの場合、会場やコーチの数でキャパシティ(定員)が決まっていますから、会員数に関して言えば天井が決まっているわけですね。なので、会員数と言うのはどこまでも増やせるというわけではありません。そのクラブの適性値や限界値というのが決まっています。たかぎスポーツクラブの場合は、565名がこれまでの会員数の最高値ですが、まだ定員に達していないクラスもありますし、地域にはまだ活用できていない施設(時間帯)もあるので、ヒト資源のことも考えると、クラブ単体では700名くらいが限界値なのではないかなと思っています。
 会員数を増やすという視点には、総合型地域スポーツクラブの場合はもう1つ重要なものがあります。それは、1人の会員を2人にするという方法です。つまり、1人の会員が2つの種目に取り組むということです。そうすれば、全体の会員ユニーク数は同じでも、各クラスの登録数は倍になり、会費収入も倍になります。たかぎスポーツクラブの場合、15%の会員が2つ以上のクラスに登録をしていてそれぞれ会費を払っています。多い人で5クラスに登録しています。ただしこの場合も、それぞれのクラスの定員を埋めてしまっていることに変わりはないので、いずれにせよ、会員数を増やすことにはキャパの問題で限界があります。
 そこまでいくと次なる打ち手は、『会費を上げる』です。『会費を上げる』といっても、やり方は2つあります。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5