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街とスタジアム(ゴール裏)の親和性

FC琉球の社長を務め、現在はHUMAN DEVELOPMENT ACADEMYの運営を行っている三上昴さんが音声プラットフォーム「Voicy」で街とゴール裏の親和性について話していました。

ざっくり結論から言ってしまうと、街とスタジアム(ゴール裏)の雰囲気が乖離した場所に人は集まらないということです。

この話を聞いて先日読んだ「ペップの狂気/シュルツェ=マルメリンク 」の内容を思い出しました。
現在マンチェスターシティを指揮するジョゼップ・グアルディオラさんの現役時代~バイエルンミュンヘン監督就任当初まで書かれた本です。内容は著者の徹底したリサーチのもと、多くの引用を用いて書かれており、Aという意見があるがBという意見もあるという中立性を持ったものでペップ史を書いた本の中でも最高傑作と言われています。

この本の中で冒頭に書いた三上さんの話と共通するのが「文化を理解する」ということです。
ペップはバルセロナ時代、スペイン カタルーニャ地方出身であり、育成年代から同クラブに所属していたことでヨハン・クライフから続くDNAを大きく発展。
バイエルン時代は偽SB、GKのリベロ化など画期的なアイデアでサッカー界に革命をもたらしました。
一見、類稀なサッカーIQだけで多くの成功を掴み取ってきたかのように思えますがそれだけではありません。語学、音楽、哲学、芸術など多くの分野に深い興味を持っていることが著書内で書かれており、とりわけ語学に関しては大事にしていてバイエルン就任前に1日4時間をドイツ語の習得に費やし、初の会見ではほぼドイツ語で行ったことで多くのバイエルンサポーターから直ぐに受け入れられました。
サッカーの内容においてもバルサ時代のポゼッションに重きを置いたサッカーからバイエルン時代は快速の両WG、強力なCFを活かすようなサッカーを披露し、その国が持つサッカー文化を尊重しつつ発展させています。

昨今ではインターネットやSNSが普及し、様々な経路からクラブに流入する人が増えました。クラブを好きになった人、1人1人にそれぞれの「好き」の在り方があり、個人の「好き」は否定されるものではありません。
しかし、それだけだとあまりにも飽和した集団になってしまいます。
街という現実空間で現実の人間が活動を行って文化を築いているのに対し、スタジアムでは非現実空間で築いた文化で活動。街とスタジアムがイコールで結ばれない状況になると思っています。

街とスタジアムの文化の差異が大きければ大きい程、かつてホリエモンさんがアルウィンを訪れた際に仰っていた「結界がない」が「結界がある」に変わっていくのだと思います。

スタジアムには熱量が確かに必要です。
しかし、街との繋がりのない熱量は街から見捨てられる未来は残念ながら近いです。だから、「山雅らしさ」と共に「松本らしさ」が土台になければいけないと思っています。

では、松本らしさとは何か。
2月の広報まつもとで臥雲松本市長と名波監督の対談が掲載されていました。

この中で臥雲松本市長は松本市民をこの様に分析しています。

松本市民の気質を私なりに分析すると、山に囲まれていて一見閉鎖的ですが、新しいもの好きでもある。松本城はずっとあったので、その周りに物や情報が集まってくるというようなことが一番ベースにあると思います。新しいものを、できれば貪欲に取り入れたいけれど、どこか引っ込み思案だったり、閉鎖的だったりするところもありますが、そこがせめぎ合うようなまちが松本なのかなと。なので、名波さんが新たな挑戦の場として、松本を選んでいただいたとすれば、それは非常にフィットするんじゃないかなと思います。

松本市に住んでいて、やんわりと感じていたことを見事に言語化してくれているなぁと思いました。
加えて松本市がこれまで発展してきた要素的なものに「ガク都」と言われるものがあります。北アルプスなどの山岳観光都市の「岳都」。セイジ・オザワ松本フェスティバルに代表される「楽都」。そして、日本で最も古い小学校の一つとされる旧開智学校の開校や旧制松本高等学校の誘致など、教育を重んずる文化芸術の息づく「学都」。
松本市街地から東に行けば美ヶ原、西に行けば上高地。
学生の吹奏楽部が街を練り歩くOMF。全国でも有名なギターメーカーであるFUJIGEN。
市内の図書館の蔵書数は100万冊を超え、同規模の年ではトップクラス。
などなどかなり文化的な都市です。

「ガク都」こそ松本のアイデンティティであり、僕らもそれに則した行動をすることで唯一無二の文化を創出することができる。
街とスタジアムが全く同じではないけど同質で、結界がなく、親和性の高い空間ができるんじゃないか。

個人的に読書が好きだし、楽器も好きだからそこで「ガク都」の文化に参加していこうと思いました。


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