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「質をコントロールした好循環な観光」について

「オーバーツーリズム」問題は、増えすぎた観光客により、経済的メリットがデメリットを上回った状態です。観光客が増えても、彼らが地元に落とすお金自体は増えず、結果として観光客の増加によって地域コミュニティを疲弊し、サステナブルな観光が不可能となります。

これを防ぐためにも、観光産業に対して、行政も音頭をとった形での「質のコントロール」が必要です。「誘導対策」と「総量規制」は大まかには二つの大きなルールづくりですが、「観光によって地域に落とされたお金が、その地域の観光資源の維持・魅力向上に充てられる」という好循環でサステナブルな観光を実現することが重要です。

これを国の制度としては、今年から、国際観光旅客税(出国税)が導入されることで、これを制度上も担保したように見えます。しかしながら、出国税の使徒と予算支出が一対一対応で見えはせず、かつ国家レベルでの導入であるため、ある地域が観光によって得た利益を自らの地域の維持管理のために回す、というような「目に見える」ものでもなく、「質のコントロール」を施した観光を各地域で実践するにあたっては、やはり各地域自らが主体的に考え、ルール作りをしていくことでしかオーバーツーリズム問題は解決しないと考えられます。

「質のコントロール」を施した観光は、環境省からも例としてあげられている以下のような観光があります。

オオサンショウウオ観察ツアー

このツアーでは、オオサンショウウオ研究者による生態調査への参加を通じて、オオサンショウウオの観察を研究者アテンドのもとで行い、ツアー料金の一部を識別チップの購入や人口産卵巣穴整備などに充て、オオサンショウウオの保全活動に貢献するというものです。

プロフェッショナルガイドが案内することで、オオサンショウウオについてきちんと学ぶことができ「質」が高いツアーとなっていることからある程度きちんとした料金を取ることが正当化されます。

このように、料金の一部を観光地域の維持管理・保全活動に充てることで、「オーバーツーリズムを回避した『質』の高いサステナブルで好循環な観光」が実現します。今後の観光コンテンツ造成にあたっては、希少な公共財としての地域観光資源を維持管理していかなければならない観点も考慮に入れて、「質」の高いコンテンツとしていくことが求められます。



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