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五月晴れと大型連休 働き方改革と労働意欲

 五月晴れが続く好季節、皆様いかがお過ごしでしょうか。
Robinの蜘手です。
ゴールデンウィークも終わりました。テレビでは「大型9連休」と報じていましたが、東京商工リサーチのデータだと9連休を取得したのは約1割程度で業種は大企業の製造業など。全体の6割はカレンダー通りの5連休だったようです。サービス業についてはコロナ禍明けも重なり、連休どころか書き入れ時で休んでいられない、といった人も多いのではなかったのでしょうか。弊社も営業、現場ともに4〜5日間の休みを頂きましたがそれぞれ連休明けには元気な顔で出社してくれました。気持ちを入れ替えて仕事に向き合いたいと思います。

新たな課題 オーバーツーリズム

さて昨日、テレビを見ていたらオーバーツーリズムの話題をやっていました。オーバーツーリズムとは観光客が「多すぎる」事により出てくる問題の事です。飛騨高山も市内は多くの人で賑わうようになりました。市街地に住む人は「観光客が来るのはありがたいが、多すぎるのも困る」と感じる人もいるだろうな、と番組を見て思った次第です。しかし「何を都合のいいことを言っているのだ」と思う人もいるでしょう。コロナ禍で大変な思いをしたのだから、嬉しい事だと受け入れなさい、と。
番組では石垣島の飲食店について取り上げていましたが、コロナ禍でスタッフが離職し新たなスタッフが雇用できていない状態の店が多く「人手が足らない。募集を出しても応募もない」とお手上げの様子でした。そこへ豪華客船で4500人(島の人口の1割にあたる)が来島するので大慌てで準備や対応をしている様子を映していました。中には家族総出で急場を凌いだという店もありましたが、今後、増え続ける観光客に対し根本的な対策や方針を打ち出すには時間がかかりそうでした。

労働時間の喪失と収入減少は当然の帰結

 国は働き方改革や生産性向上、DX化やAI利用など都心部と製造業ばかりが利用できそうな政策を場当たり的に打ち出しています。休みが必要なのも残業が辛いのもわかりますが、日本の企業の多くは資本も資産も小さい中小企業や個人事業主、その多くはサービス業に携わっています。

労働時間を減らせば当然、収入は減るわけです。

調べてみると国民の祝日は1985年から「5月4日みどりの日」、「7月第3月曜の海の日」「2月23日天皇誕生日」「8月11日山の日」の4日が増えました。また現在週休2日制が定着していますが、これは1990年代から徐々に実施されました。1年間は52週ですから単純に52日の休みが増えたわけです。(1日8時間、週48時間から週40時間労働勤務へ)併せて労働日は56日減ったことになります。56日を8時間と単純計算すると448時間。これを岐阜県の平均年収450万円として週40時間、年ベースに計算すると1時間の賃金は約2100円になります。そうすると448時間×2100円=94万円、これだけ年収が減った事になります。

 30年前と今と比較ができるわけないと思う人もいるかもしれませんが、この30年間でサラリーマンの年収は1992年のピークから2018年までに約40万も下がっている事実があります。これは非正規雇用を増やしたからだといいますが、そもそも非正規雇用とは製造業に多い雇用形態です。

 私は日本経済の停滞は「労働時間の低下」が遠因だと思います。もちろん長時間労働を推奨するわけではありません。多くの中小企業は1日8時間に労働を短縮したり休憩時間を増やしたりなど工夫をして対策をしています。
日本の政治は支援してくれる大手製造業向けの政策を重視し、サービス業や個人には助成金、補助金で何とかしようとしているようですが、濡れ手で粟のような対策が長期的にプラスになるわけがないとわかっていても他に方法がないのでしょう。
 労働時間の短縮や補助金をばら撒くのもいいですが、お願いですから労働意欲が削がれるような政策だけは勘弁してほしいと思う今日この頃です。労働こそが国家を作り国力を強くする基盤だと思うのです。(2023.5.10)

株式会社ロビン 最高経営責任者 蜘手健介

過去のマンスリーメッセージはこちらから
https://www.e-robin.com/monthly_message/

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