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アナリストによるXeroxプレビュー

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さて、今回は、明後日行われる2021 ゼロックススーパーカップのプレビューを行ってみます。

私はアナリストとして対戦相手の分析を担ってきましたが、その経験をベースに、読者の方向けにプレビューを展開するということを試みたいと思っています。その第一弾となります。

まずはこの大会について、事前情報を整理したいと思います。例年、Jリーグの開幕一週間前に行われる「幕開け」を告げる大会と位置づけられ、前年度のJ1リーグ覇者と天皇杯覇者が対戦します。昨年はともに川崎フロンターレ(以下、川崎)が優勝したため、リーグ2位であり天皇杯準優勝でもあるガンバ大阪(以下、G大阪)が対象となりました。

すなわち、2021年1月1日に行われた天皇杯決勝と同カードとなります。

各クラブ、この試合には注目しています。この両チームの仕上がり具合を確認するだけでなく、審判の笛の基準の確認、VARの度合い、スタジアムの雰囲気など、様々な要素があるからです。

そんな中、当事者である川崎とG大阪はというと、この一週間前の練習試合を最後に、コンディショニングを調整しながら「ルーティン」に入ります。今後、試合とトレーニングを繰り返す日々が待っているので、公式戦に合わせる作業のスタートとなります。

おそらく試合の2日前(記事アップの本日)に相手の分析を選手に落とし込みながら紅白戦を行っているかもしれません。そして、明後日の当日に挑みます。

「互いのメンバーと基本情報」

私もゼロックスの経験がありますが、分析は難しいです。相手の情報が揃っていないですし、映像も手に入れられないこともあるでしょう。まずは新加入選手の整理や、インターネット情報などから推測し始めます。

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もしかしたら文字は見えないかもしれません。小さくてすみません。川崎の選手一覧です。守田選手が海外移籍したり、中村選手が引退したりするなど数人が入れ替わりました。

監督は代わらず、鬼木監督が指揮を執ります。ちなみに、ゼロックス後のスケジュールを載せていますが、開幕戦は横浜F・マリノスと、その次はセレッソ大阪と戦うことが決まっています。ゼロックスの会場は埼玉スタジアム2002であることと併せて、しばらく「関東」で試合ができる点はメリットです。

一方でG大阪です。

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こちらは外国籍選手の加入が目を引きます。すでにJ1で実績を残しているレアンドロ・ペレイラ選手やチアゴ・アウベス選手の加入は、良い相乗効果を生んでいるはずです。

川崎と同じく、G大阪も監督は代わらずです。宮本監督が率いてスタートします。川崎と異なるのは、スケジュールです。

ゼロックスが関東であることに加え、開幕とその次の試合も「アウェイ」となり、常に前日の移動を余儀なくされます。こうした「ルーティン」の変化も頭に入れておきましょう。

では、各チームの戦術を確認しながら、この試合を「予想」していきます。
まずは川崎の基本情報からです。

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キャンプの情報や練習試合の映像をすべて確認できていないので憶測も含むことはご了承ください。ただ、川崎に関しては目標が「連覇」と「ACL制覇」であることを考えれば、大幅な戦術(システム)変更は考えにくいですね。新加入選手の理解力を上げることと、相手が対策してくるだろうことを見越しての新しい攻撃パターンを構築することがメインかと思います。

そうなると、川崎の基本システム4-3-3はベースとなり、それは攻守においてもそうでしょう。攻撃面においては、アンカーと呼ばれるポジションを誰が務めるかがキーになります。海外移籍した守田選手らが務めていたポジションにもし、シミッチ選手など新加入選手を起用するのであれば、ここの機能性が重要になってきます。

図にしたように、攻撃面においてアンカーは下がってボールを受けることも求められています。その上で両サイドバックがどの位置まで上がれるのか、インサイドハーフと呼ばれる中盤の選手たちは下がるのか上がったままでいいのか。これらが変わってくるからです。

守備においても、自分(アンカー)の左右はスペースが空きやすいシステムなので、そのカバーリングが求められる重要なポジションです。前線の3人は前にプレスをかけるのがベースとなれば、中盤の3人がどれだけカバーできるか。これが川崎の基本システムにおける動きと注目点です。

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一方のG大阪は、予想が難しいです。昨季、宮本監督は5-4-1や5-3-2、4-4-2など様々なシステムを試合ごとに変えており、後述しますが天皇杯決勝でも試合中に変化させました。

情報によると4-3-3も試しているらしいですが、図では4-4-2として記しました。ここは、試合が始まる直前まで分からないかもしれません。

宮本監督が公に「攻撃へのシフト」を掲げているように、昨季の守備をベースにした戦いからの変革を示唆しています。それはシステムでも現れるでしょう。新加入となった外国籍選手と既存のアタッカー陣をどう組み合わせるのか。それは前線が1トップより2トップの方が組み合わせを変えやすいかもしれません。

「2021-01-01 天皇杯 決勝からゼロックスへ」

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G大阪を4-4-2で予想しているのは、天皇杯の決勝を踏まえた部分もあります。この試合のスタートは5-4-1の守備陣形で、攻撃は3-4-3でした。しかし、特に攻撃面において機能していなかった。

ここの細かい分析や背景は別の機会で披露するので割愛しますが、一言だけお伝えするのであれば、

最後の15分でG大阪が4-4-2にして猛攻を仕掛けたから

『ではありません

あれには別の理由があると推測しているのですが、それはまた別の機会で。

どちらかというと、スタートの5-4-1と3-4-3では同じ轍を踏むことになるからという理由が、4-4-2(もしくは新しい4-3-3)を採用した意図です。

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では、川崎がシステムを昨季から変えず、G大阪は4-4-2や4-3-3を採用するとした場合としてプレビューしていきます。

マッチアップ図のようにキレイに並ぶことはありませんが、分かりやすさを記すためにこうした表現にしています。

この図で分かるように、もしG大阪が4-4-2を採用した場合は、川崎のアンカー(赤丸)の選手をどう抑えるかがキーになることは分かると思います。これは実は、G大阪が4-3-3とした場合も同様です。

川崎目線で言えば、もしG大阪が2トップ(2FW)できた場合、CBと2対2になるので、彼らをどう抑えるかが重要になってきます。

こうした互いにとっての攻守について、さらに細かく予想していきましょう。

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