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毎日が狂言のお稽古でござる

和ろうてござるか~

わたくしは毎日朝夕一番以上は狂言の台詞を繰ってござる

例えば、今朝は今習い中の狂言『蟹山伏』の師匠の音声を聴きながらシャドウイング
夕べの入浴中には同じく習い中の狂言『舎弟』を発声、少し時間が余ったので『痺痢』を発声してござる

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが、もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”の名を借りて皆さまを狂言の世界へご案内するつもりで描いてござる。なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

正座でいるもお稽古のうち

師匠から直接、狂言の台詞を習うが第一回目のお稽古でござる
この口伝のお稽古が毎回とても楽しみであり、苦しみもござる
新しい狂言をお稽古するのが楽しみなのは間違いないのでござるが
この際、師匠と我々、すなわち一緒に同じ狂言を学ぶ者は対面して
板上で正座して向き合いまする

師匠は足は崩して良いし、そもそも正座が難しければ椅子に座っても良いと仰る
どうにも苦しければ、足を崩すことも必要と存じまするが
できればお稽古として正座のまま受けたいと思うてござる

ここ最近では昨年の狂言『二人袴』の口伝は80分近くござった
なんとか座ってすごしてござるが、終わって暫くは崩れるようにたおれて立てず

音声を編集、文字起こしするもお稽古でござる

この口伝のお稽古は音声を録音して良うござる
わたくしはアイフォンのボイスメモを遣うて録音し
この音声から師匠の声のみを取り出して編集することで
師匠の声のみで一番の狂言が聴けるようになりまする

この音声編集は、オリジナル音源からひたすら自分たちの声を切り取り続けるのでござるが、この作業で一節ごとの台詞を繰り返し聴くのでござる

この編集音声を聴きながら、次に行うのが文字起こしでござる
何度か立って型を習うてからになりまするが
台詞とともにできるだけ動きや型を入れた文字起こし台本を作りまする

この作業が円滑にできるよう
お稽古のさいにはどう動くのか、他の登場人物との関係をよく見ながら
頭に入れるようにいたしまする

早いときはこの作業までで台詞は(全体の)八割程度入りまする

ことばを入れるのがお稽古の始まりと存ずる

ことば(台詞)を大方覚えるまで立ち稽古はしないという
先生もあると聴いてござるが、その善し悪しはともかく
ことばを覚えるのはもちろん大切ではござる
さりながら、そこが目標ではござらぬ

狂言という室町時代からつづく和みの和らぎの芝居を
自分という人間を通して表現するという試みでござる

イントネーションや抑揚、構え、身体の遣い方、力の抜け具合
謡や語、舞の精度をどれだけ師匠や師匠の師匠方に近づけられるか

そのために日々さまざまにお稽古するのでござる

稽古は発表会のためならず

もちろんせっかくお稽古した以上は
多くの方に観てもらいたいと思うのでござる
能楽堂へ足を運んでもらい
いろいろな狂言を観てもらって
その人のこころが和み、身体が和らげば
その先にいる人へも調和していくと思うのでござる

それも狂言をする大きな目的でござる

けれど日々のお稽古はもっと自己忠心的なモノと思うてござる

稽古とは古事記にある言葉からとった"稽古照今"が元で
その意味は「古(いにしえ)を稽(かんが)えて、今に照らす。」
すなわち
「昔から伝わっている考えや教えを今の自分に照らして生かす。」ことなのでござる

室町の狂言師がどんな狂言をしてござったかは
知る由もござらぬが、
今に伝わり観るひとの心身を和ませている狂言を
いっそう多くのひとへ届けたいと云うわたくしの自己忠心な想いから
日々、稽古を愉しんでいるのでござる


こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗


この狂言noteはけんすけ福のかみが
大蔵流 茂山千五郎家の狂言を中心に学んだことや思うことを描いてござる


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