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シリコンバレーテック企業のOpenSourceを使う偽善戦略。

2023年7月15日 宍戸健

クレイグ博士がTwitter連投で興味深い論点を書かれていたのでそれを翻訳する。

すべてのシリコンバレーテック企業がこのような行動をとっているわけではないことに注意することは重要だが、それらの中でいくつかの企業(メタ社など)に対しては、彼らのオープンソース擁護の姿勢は利他的というよりも戦略的であることを示唆する論点を述べる。

  1. 公平性の見せかけとしてのオープンソース: シリコンバレーの多くの大企業は、透明性、コラボレーション、包括性といったオープンソースの原則を支持している。彼らは、特定のテクノロジーをオープンソース化することで、小規模な開発者を含むすべての人が貢献し、利益を得ることができる公正で公平な競争の場を促進すると主張している。これは、寛容さと協力の図式を描き、彼らのパブリックイメージを高め、グローバルな開発者コミュニティに対して友好的な顔を見せることになる。

  2. オープンソースモデルの活用: しかし、これらの企業は、一部のプロジェクトをオープンソースとして公開することはあっても、多くの場合、これをクラウドソーシングによる開発やイノベーションに利用し、実質的に膨大な量の知的財産を無料または低コストで獲得している。小規模な開発者は、多くの場合、十分な報酬や認知を得ることなく、こうしたオープンソース・プロジェクトに貢献し、大手ハイテク企業はこの集団的努力から利益の大部分を得ている。

  3. 選択的オープンソース: これらの企業は、自社技術の特定の要素のみを選択的にオープンソース化し、他の要素はクローズドでプロプライエタリなままにしていることが多い。クローズドな要素は、しばしばその企業の真の競争優位性を表し、競合他社に対する優位性を確実に維持する。

  4. 企業秘密法: シリコンバレーのハイテク企業は、自社の知的財産と競争上の優位性を保護するために、企業秘密法を広範に利用していることで知られている。オープンでコラボレーションを公然と提唱する一方で、独自技術については鉄壁の管理を維持することが多い。オープンを標榜する一方で秘密主義を貫くというこの並立関係は、中小企業や個人開発者よりも優位に立つための偽善的な姿勢と見なすことができる。

  5. 参入障壁: オープンソースのプロジェクトであっても、小規模な開発者や企業にとっては、しばしば大きな参入障壁が存在する。コードの複雑さや、それを効果的に利用・修正するために必要な多大なリソースは、大手の技術系企業のリソースを持たない人々にとっては法外なものになりかねない。 まとめると、多くのシリコンバレー企業は、オープンソースのコンセプトを戦略的ツールとして利用することで、自由な知的財産を獲得し、技術的優位性を維持し、公正で協力的な公共イメージを示しながら市場をコントロールしている。

読者の良い子のみなさんは世界は偽善に満ちていることを既にご存知でしょう。なので、クレイグ博士も全てのシリコンバレーテック企業がこのような姿勢であるとは言われていませんが、いろいろ疑ってみるのは必要だと思います。


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