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22/23 アーセナル総括

5/21に行われたノッティンガム・フォレストvsアーセナル
0-1で敗北し2位が確定した22/23シーズン
実際今シーズンのアーセナルはどうだったのか
せっかく1年しっかり試合を見続けてきたので振り返ってみたいと思う。


今シーズンの総括をするに当たって
まずはここ数年のアーセナルの成績を振り返りたい。

17/18シーズン 6位
18/19シーズン 6位
19/20シーズン 8位
20/21シーズン 8位

そして昨シーズン21/22 5位

21/22シーズン順位表

エメリ期アーセナル時代をそこまで詳しいわけではないが、BIG6としてはあまりいい結果は残せていなかったと思う。

対してアルテタ期アーセナル
最初は苦戦していたが、成績だけを見ればシーズンを跨ぐごとに少しずつ良くなっていると思う。

22/23シーズン順位表


22/23シーズンも2位が確定し、久々のCL圏内でもあるため"順位だけ"を見ればかなりポジティブに考えられると思う。

それでも多分ほとんどのグーナーは「もっとやれたんじゃないか?」と少し憤りを感じている気はする。

何故か?

今シーズンのほとんどを首位で過ごしており、30節付近までは「マジで優勝いけんじゃね??」ムードだったところから現在2位が確定してしまったためである。
また、シーズン後半にらしくない試合が続き
中々勝ち点を積み上げることができなかったことも大きい。

優勝争いをしていたマンチェスター・シティの方がカップ戦やCLも重なり基本的に消化試合が少なく
勝ち点が低く見えていた部分もあった。

それでもロケットスタートしたアーセナルの今シーズンの勢いは30節付近まではなんとか保っていたように感じるしワクワクさせられる試合が多かった。

ではこの1年何が良くて何が悪かったのか
個人的にどこが楽しかったのか。
適当に今シーズンをいくつかのトピックごとに
振り返りながら書いていきたい。

1.22/23シーズンの補強面
2.アルテタの戦術
3.22/23シーズン選手評価(独断と偏見)
4.今シーズンまとめと来シーズンに向けて


1. 22/23シーズンの補強面(夏と冬)

昨シーズン5位とギリギリCL圏に届かなくて悔しい思いをしたグーナーはたくさんいたと思う。
しかしウーデゴールやベンホワイト、冨安などアルテタ主導で昨年加入した選手の多くが即フィットし活躍していたのが印象的であるため、アーセナルが今シーズン誰を取るのか非常に楽しみであった。

また、昨シーズン5位にとどまった大きな要因として
①ストライカーの不在
②トーマスパーティーの過労
③DF陣の控えがいない
などが挙げられる。
これらの問題は解決されたのか、補強の面から考えていきたい。

①ストライカーの不在

21/22シーズン
アーセナルのストライカーとして主に活躍していた選手は
・ピエール・エメリク・オーバメヤング(オバメ)
・アレクサンドル・ラカゼット
・エディ・エンケティア

の3名であった。
しかし簡単に説明すると
オバメは契約解除
ラカゼットは移籍
エンケティアはまだ能力不足
と絶対的なストライカー(CF)の補強は必須であった。

そんな中でマンチェスター・シティからアルテタの教え子であったガブリエウ・ジェズスがアーセナルに来た事はこの1年間の中でも1番の衝撃と言っても過言ではない。
アルテタの戦術を理解し、アーセナルというチームに即フィットしたジェズスはこれまでのストライカーの不在を大きく改善したと感じた。
また、冬には前線から中盤まで高レベルでこなせる
トロサールも加入し、2列目スタメン3人(マルティネッリ・ウーデゴール・サカ)と共に今シーズン
ゴールもアシストも量産している。

②トーマス・パーティーの過労


21/22でトーマス・パーティーが怪我をした瞬間
アーセナルは終わったとよく言われているが
正直その通りだと思う。
エルネニーやロコンガも怪我や中々フィットできていない事から、シーズンが始まるまでにトーマスパーティーの控えの補強は必須であった。
そして、ジェズスと同じくマンCから中盤もできるサイドバックとしてジンチェンコが加入した。
また、冬にはジョルジーニョも加入しパーティーの控えどころかスタメンでも出場するほどであり、
今シーズンを戦う上での中盤の補強はほぼ完璧だったとも思えた。

③DF陣の控えがいない

21/22シーズン、冨安とベン・ホワイトが加入し
マガリャンイスとティアニーと共に安定したプレーをしていたが、正直1人怪我した瞬間に崩れていたと思う。この4人と同レベルでプレーできる控えがいないからだ。

そんな中でジンチェンコの加入と
リーグアンで良い成績を残していたサリバのローンバックにより、一気にアーセナルのDF陣のレベルは上がったと感じた。
シーズン序盤のマガリャンイス&サリバの2CBは本当に最強だと思えたし、冨安が両サイドバックをハイレベルでプレーできる事でジンチェンコの不在でもそれを感じさせないようなレベルで偽サイドバックをこなすことができた。
また、キヴィオルも若手のDFとして加入したため
今後の成長が楽しみである。

④22/23シーズン補強まとめ

ここまで今シーズンの補強について書いたが
先を見据えた補強は素晴らしいものが多いと感じる。
21/22冬、イサクやカルヴァート・ルインを高額で取る噂も出ていたが、誰も取らずに今シーズンのジェズスまでCF補強を我慢したり
来シーズンにカイセドやデクラン・ライスを狙うために短期契約で加入したのがベテランのジョルジーニョなど、理にかなった補強が多く見られるため
来シーズンもどのような選手が加入するのか非常に楽しみである。

また、補強だけでなく放出の面でも今シーズンのアーセナルのフロント陣は優秀だったと感じた。
中々フィットできていなかったロコンガやタバレスをローン移籍、ぺぺも放出するなど今のアーセナルでは活躍の機会が中々ない選手をしっかり放出できた面からも今シーズンの移籍市場はかなり良い立ち回りができたように見える。


2.22/23シーズンのアルテタの戦術

ではこれだけの選手を集めた今シーズン
アルテタはどのような戦い方をしてきたのか
にわかなりに戦術面も見ていきたい。
今シーズン、アルテタは就任3年目であり
フロント陣の協力の元、アルテタの戦術を浸透させるための好みのスカッドが形になってきたと感じた。

アルテタの今シーズンの基本フォーメーションとしては4-2-3-1を主流としていた。
怪我を考慮せずにスタメンを組むなら1番多い形はこの配置だったように感じる。

22/11/6 チェルシー戦より

sofarscoreでは4-3-3表記ではあるが、基本的にウーデゴールがトップ下
ジャカとパーティーが2ボランチとなっている。

①攻撃時

現在のアーセナルの主な戦術の1つに左の偽SBをすることが多くある。
今シーズン加入した左SBのジンチェンコがパーティーの横に入りジャカが1列上がる
3-2-5で攻める場面が多く見られた。
DFから1列前に出し、右から攻めるときはホワイト、サカ、ウーデゴールが中心となり、左はジャカ、ジェズス、マルティネッリが中心となっていた。
シーズン序盤はこの形が上手くハマり、勝ち点を量産していたし実際この時のアーセナルはかなり強かったと思う。
しかし、シーズン中盤から後半にかけて中々勝ち点が拾えなくなってきた要因として
ジェズス、サリバ、そして冨安の離脱が大きく響いたように感じる。

・ジェズスの離脱

ジェズスの離脱によって1番影響を受けたのはマルティネッリにあったと思う。
マルティネッリが左サイドでボールを持った時、基本的にジェズスが左に流れてコンビネーションによる攻撃を繰り広げていた。
ジェズスの怪我により代わりを務めたエンケティアは真ん中でボールを待つスタイルであるため、マルティネッリがサイドで孤立する場面が多くあった。

冬の補強でトロサールを獲得したことでジェズスの"左流れ"を代わりに実践してくれたため、マルティネッリのサイドでの孤立はある程度解決されたように感じた。

・サリバの離脱

シーズン序盤から鉄壁を誇っていたサリバの離脱はかなり大きかった。
守備の強度はホールディングやキヴィオルと比べて一段と高いのはもちろんであるが、ビルドアップに大きく影響したように感じた。

先程述べた通り、アーセナルはジンチェンコの偽SBを基本的戦術としている。
そのためジンチェンコが絞るとDFが3人になり
その真ん中であるサリバの位置でボールを持つことが多い。
サリバが抜けた場合、ホールディングやキヴィオルではビルドアップに不安要素が多いため、ウーデゴールなど攻撃の軸となる選手が自陣に下がってボールを受けようとする。
そのため、チーム全体が下がって中々相手陣内でボールを回す機会が減ってくる。
まだ冨安がいれば攻撃でも守備でも強度を保てていたと思うが、サリバも冨安も離脱したことは完全に想定外であり、安定してボールを前線に運ぶ機会が少なくなっていた。

・冨安の離脱

正直、今のサッカー界で冨安ほどハイレベルでユーティリティ性のある選手は数えるほどしかいないと思っている。
CBはもちろん、右SBや左での偽SB、ボランチまでできそうな雰囲気もある。
左SBは前半ジンチェンコ、後半途中から冨安という
交代策も今シーズンよく見た。
冨安が離脱した後はティアニーが出場していたが、
偽SBが強みの選手ではないのはわかっているもののアルテタは最初ティアニーを偽SB起用していた。
ティアニーも最初は中盤でボールを回そうとしていたが、やはり慣れていないため、中盤でボールを持ったティアニーが困ってる場面は何度かあり、結局は大外を走るSBとなっていた。

偽SBはもちろん良い戦術ではあるが
ティアニーの強みを活かした戦術をもう少し試して欲しかったなと個人的には思った。

②守備時

アーセナルは守備時、4-4-2ブロックで守ることが多い。
前線のジェズス、ウーデゴールの2人が相手のDFにプレスをかけ、それに連動して後ろも潰しに行くスタイルが多いように感じる。

しかし、シーズン後半に特に見られたが、点差や勝敗に関わらずウーデゴールを途中交代させることが多かった。
リードしている状態で5バックにするためにDFと交代する時もあれば、エンケティアを入れて前線の枚数を増やすことや、ジャカ・パーティー・ジョルジーニョの3人を中盤にするなど、今シーズン様々な交代策を見た。

個人的には、前から連動したプレスを行えるウーデゴールは貴重な存在であり、1番ピッチに残すべきプレイヤーのように感じた。
アルテタに何か考えがあっての交代だとは思うが
ウーデゴールがピッチを去ってからの方が攻め込まれているように感じる。
私自身戦術にはそこまで詳しくないため、どのような意図で交代しているのか知りたい。

また、やはり怪我人による影響も大きかった。
サリバ・冨安の離脱はもちろん、現在はジンチェンコも離脱しており、失点数も増えていく一方である。
「怪我人さえいなければ」と毎シーズン言っているがやはり今シーズンも同じように悩まされていた。
来シーズンは層も厚くし、メディカルの部分をしっかり整えながらシーズンを長く戦い抜いて欲しい。

戦術などあまり詳しくないため初心者目線でここまで書いてきたが、ここからは完全に独断と偏見で今シーズンのアーセナルの選手を1人ずつ評価していこうと思う。

異論は受け付けます。

22/23アーセナル選手評価

にわかなりに今シーズンのアーセナルの試合は全試合視聴してきた。
せっかくなので選手1人1人を1〜10点で評価していきたい。

・GK アーロン・ラムズデール 9点

GKとDFの間でのミスから失点など勿体無い部分はいくつかあったが、今の若いアーセナルを後方からパッションで引っ張ってきた選手であり、彼がいるのといないのとでは勝ち点はかなり変わってきたと思う。

相手FWとの1対1や他のキーパーなら入ってそうなシュートもラムズデールに救われた部分は多くあった。ビルドアップの危ない部分が無くなれば10点になりそう。

・GK マット・ターナー  採点なし

ラムズデールが怪我なく出場できていたため、リーグでの出番は多分なかった?
ラムズデールがあまりにも良すぎたから仕方ないがもしラムズデールが出場できなくなった時は期待したい。

・DF キーラン・ティアニー 7点

0ゴール1アシスト

今シーズンが始まるまで左SBはティアニー1択の状態だったが、ジンチェンコが加入してからは偽SBで内側に絞るような戦術になったことによる1番の被害者。
純正のSBとして上下で活躍するティアニーは偽SBとは真逆の選手であり当然内側でのプレーは慣れていないのだが、ジンチェンコと交代で入った際にはアルテタはティアニーを偽SBで使おうとしていた。

内側でのプレーは見たことないぐらいやりにくそうで結局大外をオーバーラップし始めた時はかなり気持ちよさそうだったし、「大外走り回れ❗️」と叫びたくなる場面が多くあった。
試合中、ジンチェンコの守備が不安になってきた時もティアニーの安心感は大きく、グーナーの信頼感も間違い無く高い選手である。

個人的に好きな選手であり、純正のサイドバックとしてはプレミアでも5本の指に入ると思ってるので戦術の違いだけで起用せず、移籍濃厚となってしまったのは本当に残念である。
噂されているニューカッスルに移籍した場合
右トリッピアー、左ティアニーのWキーランサイドバックになるのは怖すぎるけどちょっと見てみたい。それ以上にアーセナルに残って来シーズンも活躍する姿を見たいが…。

・DF ベン・ホワイト 9点

2ゴール5アシスト

まず第一に怪我をしなかったのが何よりありがたい。サリバ、冨安、そしてジンチェンコが離脱して今シーズンも崩壊していたバックス陣で右SBも CBもハイレベルでプレーできるホワイトがバックスをしっかり支えてくれたことだけでも評価される部分だと思う。

シーズン序盤、アーセナルが勢い付いてた頃
サカの外をオーバーラップして攻撃に絡んでいた場面を多く見た。

しかし、シーズン中盤から後半にかけて全体的に後ろ寄りになってしまったアーセナル。中々ホワイトがオーバーラップする機会は減ったように感じる。
それでもいい意味であんまり目立たず、1対1で完璧に負けたのは三笘ぐらい?と言えるレベルで活躍していた。まぁとりあえず怪我しなかったので9点。

・DF ガブリエウ・マガリャンイス 9点

3ゴール0アシスト

こちらも怪我をせず活躍してたのが第一。
普通に良くて正直あんまり言うことがない。ただ、キヴィオルが加入するまで左利きのCBがいなかったことから、マガリャンに怪我をされると本当に詰みの状態になっていた。

DFとして一流であると思うが、マガリャンが絡んだアンラッキーな失点もいくつかあり、たまに不注意なプレーもあり、何より全てに対して(いい意味でも悪い意味でも)熱いのが見ていてとても楽しかった。

・DF ウィリアム・サリバ 7点

2ゴール1アシスト

なんでいないんだよお前………って思う場面はかなり多かった。
シーズン序盤は本当に最強のCBだったし1対1で負けるところはほとんど無かった。サリバが離脱してから失点も増え、勝ち点を落とす場面もあったので
もし、サリバが万全の状態であれば勝ち点を積み重ねることができたんじゃないか?とも思える。

ビルドアップの安定感も流石で、無理なパスもなく、キック制度も良いため、文句の付けようがなかった。万全の状態でハーランドと対峙する姿を見てみたい。来シーズンは怪我なく過ごしてほしい。

・DF ヤクブ・キヴィオル 5点

1ゴール0アシスト

今シーズンが始まる際、スペツィアから32億円で加入した23歳のCB。これまで左利きのCBはマガリャン1人であり、左CBには利き足左の選手を置きたいアルテタとしてはマガリャンの控えとしてとても良い補強だったように思う。

初年度はELでの出場やリーグでも点差がついた後半に起用する予定であったと思うが、怪我人が多発するアーセナルでもちろんそんな平穏な1年目を過ごせるわけもなく、第30説のリヴァプール戦では2-0でリードしている後半に投入され、アンフィールドの歓声の中、血眼になって攻めてくるサラーやフィルミーノと対峙する羽目になったキヴィオルは流石に可哀想だなと思った。

シーズンの後半は先発する機会もあり、アーセナルのCBを任せるにはまだまだ荷が重いと思うが、若い先輩から色々学んで吸収していってほしい。

・DF ロブ・ホールディング 4点

1ゴール0アシスト

頑張っていたとは思うが、やっぱりまだまだ頼りない部分も多かったかなと思う。これもやっぱりサリバ冨安の怪我の影響であるが、ビッグマッチではホールディングの部分が穴になることが多い。
シティ戦でハーランドを抑えろというのは確かに無理があると思うが…

長年アーセナルに所属している選手であるためもう少しフィットしてほしい部分はあるし、今後もサリバの控えがホールディングというのは少し不安要素となる。

ただ、リードした状態での5バックに切り替えた時の守備は充分力を発揮していたし、攻撃でも高い打点からヘディングで決めたりシティ戦でもゴールを決めたりしていのを見るとこれからも頑張ってほしいと思う。

・DF 冨安健洋 5点

0ゴール1アシスト

昨シーズンは怪我で中々出場機会がなかったため
今シーズンは期待していたが、やはり怪我によって出場の機会はあまりなかった。出場した試合はシティ戦のパスミス以外ほとんど文句の付けようがないプレーを続けていた。

リヴァプール戦でジンチェンコの代わりに左SBで初先発した時はサラーを完封し、中に絞った偽SBの役割もしっかりこなしており、ジンチェンコよりもよくないか?と思えるほどだったが、やはり試合に出れないと意味がない。

12月復帰予定ということで来シーズンも既に出場機会が限られてるため、アルテタも戦力として考えづらいと思う。
上下運動で負荷がかかるSBをやめてCBに専念した方がいい、プレミアから出た方がいいなど様々な意見があるが、プレミアでこれだけ通用するユーティリティ性のある選手を放出したくないしアーセナルで活躍する姿を見たいので、冨安、そしてメディカルスタッフの皆様よろしくお願いします。という感じである。

・DF オレクサンドル・ジンチェンコ 9点

1ゴール2アシスト

ジェズスと共に今シーズン加入した元シティの選手。アルテタの元教え子でアルテタが望んでいた補強だったのでフィットするとは思っていたが、昨シーズンまでティアニーが左SBとして絶対的な1番手だったところを崩せるのか?と疑問には思っていた。

しかし実際はスタメンとして選ばれたのはジンチェンコであり、アーセナルに新しく偽SBという戦術を浸透させた。中盤でのゲームメイクはすばらしく、攻撃に関しては1年目から司令塔と呼ぶに相応しい活躍をしていた。

ティアニーの評価時にも書いたが、ジンチェンコの懸念点はやはり守備にある。
アーセナルは基本的に前半から勢いよくボールを動かしてボールを持つ展開が多い。しかし、試合中盤から後半にかけて相手にボールを持たれる機会が多くなってくるとジンチェンコと相手のウイングと1対1になって抜かれてしまう場面はたまにあった。

マルティネッリがウイングの位置から素早く戻ってきて、チームとして守備の連携によって弾き返すこともあったが、やはり対人の守備の脆さが失点に繋がった場面も今シーズンいくつかあったので
そこはもう少し頑張ってほしいところかなと思う。

若くしてチームを引っ張っていくキャプテンシーというよりもパッションが感じられる選手で個人的に好きなのでこれからも"熱さ"で後ろからみんなを引っ張っていってほしい。

・MF トーマス・パーティー 9点

3ゴール0アシスト

アーセナルの心臓といっても過言ではない選手
ただし、ジンチェンコの中盤適正やジョルジーニョの加入によって昨シーズンよりパーティの負担は軽減されたように感じる。
それでもジョルジーニョでは補えない守備強度や潰しを見てやっぱりパーティは必要だなと感じた。

また、攻撃面でもビルドアップ時の鋭いパスやエリア外からのミドルシュートは相手からしても脅威になっていたと思う。
来シーズン、ジャカが移籍濃厚となりライスやカイセドなど激しく中盤の人員が動く中で数少ないベテランとして若いアーセナルを引っ張っていってほしい。

少し話はそれるが、今シーズン新し試みとして第37節のノッティンガム・フォレスト戦ではパーティの右サイドでの偽SBも見られた。この新しい戦術がなかなかはまっていなかったこともあり結果的にこの試合を落とし2位が確定したが来シーズン以降の戦術について個人的たらればの話をしたい

・もしパーティの右側の偽SBがハマったら
・もしティアニーが移籍せずアーセナルにとどまったら

23/5/21 フォレスト戦より

フォレスト戦で試した上記のフォーメーションのメリットとしてジンチェンコを使わず偽SBができるという点である。
ジンチェンコの偽SBのデメリットとしては守備強度であったが、トーマスや富安も多分偽SBができそうなのでジンチェンコよりも高い守備強度で偽SBを行うことができ、3バックの一角としてティアニーを使うこともできるんじゃないかと勝手に妄想している。

単純にジンチェンコが怪我した時の応急処置だけかもしれないが、37節でみられたこのフォーメーションが来シーズンにどう影響するのか楽しみである。

・MF   ブカヨ・サカ 9点

14ゴール11アシスト

正直10点近くの点数をつけてもいいかなと思ったが
あくまで"サカ基準"で見るとシーズン後半もう少し頑張ってほしかった部分もあったので9点にした。
シーズン前半はウーデゴールとホワイトと三角形を作りながら攻撃し、得点もアシストも量産していた。

シーズン終盤はウーデゴールがピッチの色んな場所に仕事をしに行く機会が増え、サカが孤立する場面が多々見られた。それでも個人技で相手DFを剥がせるのはやはりサカの強みであり得点に絡む頻度は下がったとはいえ相手DFの脅威となっていた。

何よりも稼働率が半端ない。昨シーズンからほぼ毎試合出場し結果を出しているため、控えの選手の扱いが物凄く難しいところである。
万が一怪我をした時、また少し休ませたい時に同クオリティでプレーできる選手を補強するという話も出ているが、個人的にはネルソンの契約を延長して今後も使ってほしいと思う。

・MF マルティン・ウーデゴール 10点

15ゴール7アシスト

中盤のゲームメイク力、得点力、前からの守備
今シーズンすべてにおいて完璧にこなしてくれたキャプテン。
特に、昨シーズンまであまり見なかったミドルシュートを打つ機会も多くみられ、今シーズン15ゴール7アシストと苦しい場面での得点力が目立ったなという印象。

シーズン終盤はサリバの怪我の影響でビルドアップに不安があった中でウーデゴールがDFラインまで下りて組み立てに参加することが多くあり
前線でボールを持つ機会が少なくなり、アーセナルの得点力不足にもつながった。
それでも少ない機会でしっかり決めてくれる今シーズンのウーデゴールの決定力は今までより格段に成長した部分である。

また、何よりウーデゴールに備わっている能力はキャプテンシーだと思う。アルテタの戦術理解度、ジャカやマガリャンが熱くなった時、真っ先に駆けつけて2次災害を防ぐ場面は今シーズン何度か見られた。まだ24歳と若く、現時点でもキャプテンシーを遺憾無く発揮しているが、今後もアーセナルの中心としてみんなを引っ張っていってほしい。

・MF   エミール・スミス・ロウ 5点

0ゴール2アシスト

覚醒した20/21シーズン、結果を出した21/22シーズンと打って変わって出場機会も限られ、結果も出せていない22/23シーズン。基本的には途中出場であるが、マルティネッリのウイングの位置なのか、ウーデゴールのトップ下の位置なのか、ジャカのIHの位置なのか、中々定まっていないように感じる。

マルティネッリほどサイドでの突破力はないしウーデゴールほど連動したプレスやキャプテンシーはないしジャカほどの強度もないため、現状中途半端な立ち位置になっている。

スミスロウの良い点はポジショニングや周りとの連動した攻撃だと思うので個人的にはジャカの位置で前線に飛び出したり周りを使って攻撃するような形での起用を多く見てみたい。しかし、最近は起用も少なく移籍の噂も出てきているため、アルテタは構想外と考えているのかもしれない。

・MF ジョルジーニョ 8点

2ゴール1アシスト

冬にトロサールやキヴィオルとともに加入した選手
当時、ジョルジーニョ獲得の前にカイセドの噂が多く出ていたが、結局撤退してその後獲得したのがこのジョルジーニョであることため、ステップダウンのような印象を持っていた人も少なくはない。

もちろんカイセドを取るのが最適だったかもしれないが、結果的にプランBとしては大成功だったように感じる。
リーグ優勝を目指すチームとして優勝経験のある選手、なおかつベテランで安く取れる、そしてチームをまとめるキャプテンシーもありパーティの代役も務めることができた。
パーティの守備強度と比べるのは野暮ではあるがジョルジーニョにしか出せないパス精度、何より限られた出場機会の仲でも腐らず空気が悪いときにはベンチから若手を鼓舞する姿を見て、「ジョルジーニョ取ってよかったな」と心の底から感じた場面である。

来シーズンライスやカイセドなど中盤の補強の噂が多くあり、出場機会がこれまで以上に限られてくるかもれないが、しんどい場面でジョルジーニョが控えにいるというのはものすごくありがたく感じる。

・MF  ファビオ・ヴィエイラ 4点

1ゴール2アシスト


補強の部分で全く書いていなかったが、今シーズンアーセナルに加入した選手であるが、スミスロウと同じく適正ポジションが確立されていないように思う。主にトップ下かIHで起用されていたが、正直なところフィジカルがプレミアレベルに達していないようにもみえた。

1年目で優勝争いするチームに適応するのは当然難しいことではあるが、現状のアーセナルの選手層的にそんなことも言ってられない。ボールをコントロールするテクニックは非常に巧みであるが、単純に当たり負ける場面が多かったため、ボディバランスをうまく使いこなし、最終的にはベルナルド・シウヴァのような選手になってくれればと思う。
今シーズンに関して言えば少し残念な評価になってしまった。

・MF リース・ネルソン 8点

3ゴール2アシスト

限られた出場機会の中でかなり評価を上げた選手の一人。主にマルティネッリの控えとして後半から出場していたが、ボールを持った際には何かしてくれるんじゃないか?と期待感を抱かせてくれることが多かったし、実際に
ボーンマス戦では2点差逆転劇の立役者といっても過言ではない活躍をした。

特徴としては決定力の高さとサイドでの突破力である。ポテンシャルは素晴らしい物であるが現状のアーセナルでマルティネッリとサカがウイングの絶対的存在であることから、出場すれば活躍するけど単純に出場時間が短い選手である。

移籍の噂も出ているが、若く両ウイングをハイレベルでこなせる選手はめったにいないので個人的にはサカ、マルティネッリ、トロサールと併用して出場機会を増やしてほしい。ボーンマス戦の逆転ゴールはシーズン通して1.2位を争うレベルで印象に残っている。

・MF モハメド・エルネニー 採点無し

0ゴール0アシスト

先発1、途中出場4となっているが、正直いつ出場していたかちゃんと思い出せなくて申し訳ない。
去年パーティが怪我をした際にはエルネニーの活躍もあったが、今シーズンはジョルジーニョの加入とエルネニー自身の怪我により一気に出場機会が少なくなった。

来シーズン、試合後半の引いて守る状態でのボランチ起用を見たい。


・MF グラニト・ジャカ 9点

7ゴール7アシスト

正直10点でもいいかなと思った。これまでなかなか活躍できず、サポーターとの衝突もあったが、今シーズンのジャカの活躍は凄まじく、現在のアーセナルでは替えの効かない選手となった。
7ゴール7アシストとIHにしては圧巻の成績を収めており、数字に残らない部分でも相手を背負ったときのフィジカルの強さや周りとの共有力の高さなどハイレベルでこなしており、間違いなくアーセナルの軸となる選手だった。

左IHの位置にジャカがいてくれるおかげで、後ろからつなぐ鋭いパスを相手を背負いながらキープでき、ボールを回すことができる。これはスミスロウやヴィエイラ、トロサールにはまだ難しいタスクである。

最終節が終わりジャカの退団がほぼ確定したため、
来シーズンのフォーメーションを軽く考えていが、考えれば考えるほど左IHにジャカという選手がいる重要性を実感し、退団したジャカの穴を戦術の面でどのように埋めるのか、若いアーセナルのメンバー達を引っ張っていくジャカの熱さをどのように受け継いでいくのか楽しみでもある。
これまでの苦しい時期のアーセナルを支え、CL圏まで導いてくれたジャカの退団は残念ではあるが、その思いを背負って来シーズンのCLに挑んで欲しい。

・FW ガブリエウ・ジェズス 9点

11ゴール6アシスト

様々なタスクが求められるアーセナルのFWとしてほぼ完璧にその役目を果たしてくれた今シーズン加入のストライカー。プレシーズンから完全にフィットしており、シーズン序盤の勢いの良さはジェズスのおかげだった部分もある。
基本的には中央もしくは左サイドに流れてマルティネッリやジャカなどとボールを回しながらチャンスメイクをしていたが、単独でのエリア内への持ち運び、相手DFを背負ってのボールキープ力とボールを持ってからの切り替えしなど含めて、周りが攻撃しやすいようなジェズスのサポート力は今のアーセナルに欠かせないものであった。

ここまで書いて10点近くつけてもいいかなと思ったが、シーズン後半アーセナルの得点力不足に陥った際、同時にジェズス自身もなかなか得点できず、決めてほしいところでなかなか決めてくれない、電話ゴールパフォがしばらく見れない時期があった。成績だけ見れば11ゴール6アシストと十分な数字ではあるが…..


・FW ガブリエウ・マルティネッリ 9点

15ゴール5アシスト

年々評価が上がっている選手であるが、今シーズンのマルティネッリは本当に頼りになる存在であった。左サイドで孤立しても単独で相手DFを引き剥がせたり、決めてほしい場面でしっかり決めきる決定力も年々備わってきているように思う。特に1対1をしっかり決めきる能力は素晴らしいと感じた。

攻撃の面だけでなく守備でもマルティネッリの活躍は多く見られた。
左SBが守備に不安要素のあるジンチェンコであることからマルティネッリが自陣ゴール付近まで守備をしに戻ってくる姿は何度見たかわからない。
その後、攻撃の場面ではしっかり相手陣内に侵入しており、出場時間も長いことから、アーセナルの中で一番上下運動が激しい選手じゃないか?とも思わせるぐらいマルティネッリが走っている姿を今シーズンよく見た。

最終節付近は怪我による離脱でプレーできていなかったが、まだ21歳という若さで出場機会も多いため、今後も怪我に気を付けて戦ってほしい。

・FW エディ・エンケティア 6点

4ゴール1アシスト

正直出場機会が少ないのでなんとも評価しづらい。
基本的にはジェズスと途中交代で後半から出場することが多かった。
アーセナルのトップのスタイルとしては中盤付近まで下がって組み立てに参加しながらいろんなところに顔を出すサポートの役割が多く、どちらかといえば従来のエリア内で活きるFWであるエンケティアにこのスタイルは少し合っていないのかなと昨シーズンは感じていた。

しかし、今シーズンジェズスの代わりに出場した際には、周りを活かしながら攻撃するアーセナルのトップとしての役割をしっかりこなしていたかなと感じた。
それでも左サイドに流れることは少なく、マルティネッリがサイドで孤立して困っている場面は何度か見られた。

来シーズンもジェズスやトロサールなど協力なライバルがいるため、控えからの出場が多くなると思うが、点が欲しいときにエンケティアの相手陣内でのポジショニングやゴールへの嗅覚みたいな部分など強みを活かしてほしい。

・FW レアンドロ・トロサール 9点

8ゴール12アシスト(ブライトン在籍時も含む)

9点だらけになってしまったが、それぐらい今シーズンのアーセナルはいい選手がそろってきた。8ゴール12アシストと数字での成績はもちろん
ユーティリティ性が高すぎてどこでもハイレベルなプレーをしてくれるのが本当にありがたかった。

・まずはジェズスやマルティネッリの控えとしてトップや左ウイング
・サカの控えとしての右ウイング
・ジャカが離脱した時は左のIHまで
プレーできる幅がとても広くなおかつ強度が落ちない素晴らしい選手であった。

アルテタはユーティリティ性のある選手でも自分が合わないと判断したらほとんど使わないという考え方を持ってそうだが、冬に加入した選手をここまでいろんなポジションで起用するということを見ると、トロサールのユーティリティ性は素晴らしい物だと感じる。

アーセナルに移籍して半シーズンで1ゴール10アシストと数字上でも十分な活躍しているため、来シーズンも期待したい。


・今シーズンまとめと来シーズンにむけて

今シーズンが始まる前、CL圏を目指して出発したチームがまさか優勝争いをするレベルまで来れるとは正直思っていなかった。
選手層の違いや戦術の厚みなどペップシティとの差はまだまだあるが、これからはCL圏ではなく優勝を目指せるチーム作りも必要になってくる。

そこで来シーズン、アーセナルはどのような移籍を考えているのか少し考えたい。

①まずはFW、トップに関してはジェズス、トロサール、エンケティアと3人おり、全員移籍しそうにないのでトップの補強はないかと思う。

ウイングについてはサカの控えを補強するといくつか噂が上がっている。サカと同程度のプレーができるウイングはお金がかかりそうなのとネルソンを契約延長してもっと起用してほしいことから、個人的にはウイングの補強はなくてもいいのではないか?とも思う。

②続いてMFについては今夏かなり動きそうではある。まず、これまで左IHとしてスタメンであったジャカが退団濃厚であること。
デクラン・ライスやカイセドなど若く有望な中盤の選手が多数市場に出回ると予想されているため、ジャカの後釜やトーマス・パーティの控えやスタメン争いできる若手を取るチャンスでもあることなどが挙げられる。

ライスとカイセドの両取りをするのか。どちらかを取って資金を他に充てるのか。できれば中盤は2人欲しいかなぁと思っているが、アルテタがどのような選手を獲得するのか楽しみである。

③最後にDFについて、ティアニーが退団濃厚であることからジンチェンコの控えとして偽SBができる左SBが必要になってくる。また、富安の怪我が長引いていることからホワイトの控えとして右SBの補強も考えなければいけない。カイセドがブライトンで右SBをやっていたことを考えると、ボランチ兼SBとして金額は高いが、取る価値のある選手であるなと思う。

CBに関しては現状マガリャン、サリバの2人の控えがキヴィオル、ホールディングと少し不安なため、最優先はMFで次点でDFという感じかと思う。

ジャカやティアニーなどこれまでアーセナルを支えていた選手達が退団濃厚となっており、補強の面では今夏大金をかけるという意味でもアーセナルが大きく動くことになるため、アルテタがどのようなチーム作りをするのか楽しみである。

23/24シーズン、久々のCLと優勝争いができるようにこれからもアーセナルを応援していきたい。ここまで読んでいただきありがとうございました。


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