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2022年、横浜DeNAベイスターズ逆襲のために【補強編】

 2021年レギュラーシーズン最終戦。横浜DeNAベイスターズは、広島東洋カープ・大瀬良大地の前になすすべもなく完封負け。最下位で戦いを終えた。

 今シーズン、満を持して三浦大輔を新監督に迎えたベイスターズだったが、大した補強もないどころか、助っ人外国人の合流がフロントの不手際で12球団唯一完全に遅れるという体たらく。ファンの期待を大きく裏切る結果となったのは言うまでもない。

 しかし、一ファンとしては1年間の戦いぶりを見るに、そう悲観するものでもないと考えている。外国人選手が合流してからは“戦えていた”し、序盤に多かった三浦監督の意図不明瞭の采配は後半になってから明確に減少した。終盤では粗削りながら、来季に期待を持たせるだけの戦力は出てきたように思う。
 今回は少し早いが、今オフの課題と、来シーズンへの期待を、シーズンが終わって早々の現時点で綴っておきたい。

まずは既存戦力の維持

 言うまでもなく、最下位に甘んじたチームの最優先課題は、現有戦力の維持である。状況によっては「血の入れ替え」と称される大ナタが不可欠なこともあるが、TBS時代ならいざ知らず、現行のベイスターズにおいては不要であろう。

 その点、宮﨑敏郎の残留が早々に決まった点は評価できる。フロントには手放しで拍手を送りたい。6年契約の「終身雇用」だそうだが、全く異存はない。本音を言えば少なくとも2,3年はコンバートも視野に入れつつレギュラーで稼働したうえで、代打稼業へゆるやかに移行してほしいが、不良債権化しても一切構わない。というか、宮﨑の場合は功労者枠であり、引退後も友好的関係を築き上げねばならない貴重な選手であるため、万が一稼働しなくても不良債権と呼ぶべき選手ではない。

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↑6年契約で残留した宮﨑


 山﨑は残留が基本戦ということで単年契約ではないだろうか。海外FA権取得となる来オフ、(もちろん復活すればであろうが)MLB行きを視野に入れているだろうから、こちらも想定通りである。MLBから声がかかるくらい復活してくれるのであれば、その時は喜んで送り出せる。MLB球、MLBのマウンドであれば、年々劣化していると言われる亜大ツーシームも、キレを取り戻す可能性もあるのではないか。リリーバーであれば完全復活といかなくても、一定の成績を残せれば手を挙げるチームがあるはずなので、是非そこを目指して精力的に取り組んでほしい。

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↑残留が基本戦となっている山﨑


 外国人選手に関しても、エドウィン・エスコバー、タイラー・オースティン、ネフタリ・ソト、フェルナンド・ロメロも残留確定的であったり、複数年契約中であったりの報道が出ており、残る懸念は「残留要請中」という記事のみの大和だけといったところか(他に伊藤光がFA権を所持しているが複数年契約中)。
 大和は特段、具体的なコメントは出していないはずだが、移籍の経緯と年齢、おそらくBランクで人的補償が発生することなどを踏まえると、残留が基本線であろうと思う。


シーズンオフの補強ポイント【自由契約選手編】

 ここからは今シーズンの補強ポイントについて考えたい。現在支配下枠は65。今シーズンの開幕時と同数である。今シーズンは最終的に、ケビン・シャッケルフォード、田中健二朗、宮國椋丞が支配下登録され、68でフィニッシュした。
 ベイスターズの編成的に、シーズン中の補強、支配下昇格枠は3もあれば十分なので、残り2枠の補強の仕方を考える必要がある。

 まず、すでに名前が挙がっているところでは、元ベイスターズ所属で東北楽天ゴールデンイーグルスを構想外になった藤田一也の調査報道だ。個人的には来てくれるのであれば心底嬉しい。放出当時、台頭していた石川雄洋とポジションが被っていたとはいえ、内村賢介とのトレードはあまりにもったいなかった。内村も俊足を誇るいい選手だったし、特に応援歌は大好きだが、その後の藤田の活躍を考えるとトレードは失敗だったと言わざるを得ない。峠は当然超えているが引退後のコーチ転身も視野に、ゴールデングラブ賞3度の守備力を存分に発揮し、後進に伝えていってほしいと思う。

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↑横浜所属当時の藤田


 その他、自由契約で気になる選手と言えば、ソフトバンクの川島慶三だ。内野守備の大きな衰えはあまり感じず、今シーズンは低調だったが打撃面でも一定の期待が持てる。ムードメーカーとしても重宝しそうだ。ポジション面で藤田と重複するので、現実的には難しいかもしれないが、個人的にはイチオシだ。

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↑ソフトバンクを構想外となった川島


 可能ならベテラン捕手の補強もかなえば嬉しいのだが、勝手に私が目をつけていた、同じくソフトバンクの髙谷裕亮は早々に引退を発表してしまったのは残念でならない。

 また、楽天を構想外となった牧田和久、同じく西武の小川龍也、日本ハムの鶴岡慎也の動向も気になるところである。


シーズンオフの補強ポイント【助っ人外国人編】

 続いては助っ人外国人。現状のままでは新外国人選手に割ける枠はない。マイケル・ピープルズとシャッケルフォードの去就が私の知る限りは未定のはずで、彼ら次第だろう。成績から見ればシャッケルフォードはリリースが妥当だ。崩壊したリリーフ陣の中で様々な場面で登板してくれたことは感謝するが、防御率5点台では厳しい。まだ見ぬ新たな助っ人に賭けたほうが分があると言えそうだ。

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↑助っ人外国人としては寂しい数字となったシャッケルフォード


 一方のピープルズは判断に困る数字だ。先発に、中継ぎに、計18試合に登板し防御率4.21。推定年俸4,800万円。もともと今シーズンは保険的意味合いで残したことを考えると高いと言えば、高い。だが、あらたに契約金を払って、年俸5,000万円程度で連れてくることができる外国人選手がこれより優秀かと言われると、正直自信がない。革新的にいくのであればリリースも手だが、年俸の折り合いがつくなら残留交渉はありだと考える。

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↑多くない出番ながらも奮闘したピープルズ


 来年の外国人枠が従来のものに戻るのか、それとも現行の5枠ベンチ入り4人が続くかは不明だが、先発枠・ロメロ、リリーフ枠・エスコバー、野手・ソト、オースティンを軸に考えると、以前のスペンサー・パットンの立ち位置の外国人選手が1人いるべきだ。シャッケルフォードをリリースして、勝ちパターンで投げられるリリーバーの獲得が急務であると考える。


シーズンオフの補強ポイント【FA補強編】

 そして、外せないのがFA補強だ。さすがにいかにベイスターズが最下位と言えども人的補償の対象選手を獲得して、金銭補償で済む戦力の薄さではないと思うので、枠は気にしなくてもよい。
 FA権取得者ラインナップには広島の大瀬良、九里亜蓮など魅力的な選手がそろうが、ベイスターズは先発の頭数だけはいるのである。補強ポイントは崩壊した中継ぎか、絶対的レギュラー不在の捕手だ。

 中継ぎではすでに中日・又吉克樹の調査報道が出ている。2021年10月31日付の中日スポーツではBランクと目されており人的補償が必要だが、安定して勝ちパターン、あわよくばベイスターズが結局最後まで悩まされたクローザーまで任せられる存在として、のどから手が出るほど欲しい。

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↑FA宣言が確実視されている中日・又吉


 同じく中日では、田島慎二と祖父江大輔がFA権を取得。田島はCランク、祖父江はBランクと見られる。祖父江であれば人的補償が必要となるが、両名ともに十分補強としての効果はあると思われるため、調査を進めてほしいところだ。


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↑又吉とともに慰留を受けている祖父江(上)と田島(下)


 捕手では阪神・梅野隆太郎、西武・岡田雅利の2名が新たに権利を取得。岡田は早々にソフトバンクの調査報道が出ている。

 ここに食指を伸ばすべきか否かは慎重に見極めたい。ベイスターズの捕手は頭数が不足しているのは間違いないが、年齢分布で見ると30台中盤以降のベテランと、20台中盤の若手が欠けているのであり、現在30歳の梅野、32歳の岡田は思いっきり、伊藤、戸柱恭孝、嶺井博希、髙城俊人の年齢層とバッティングする。複数年契約中の伊藤の扱いも難しくなる点も地味ながら無視できない。

 梅野は後半戦に入ってから坂本誠志郎にマスクを譲る機会が増え、正捕手としての期待に応えられる力が残っているのか慎重に見極めが必要であるし、岡田に至っては今シーズンは森友也、柘植世那の3番手に近い位置だったように思う。捕手の獲得は二の次でもよい気はする。

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↑後半戦はベンチを温める機会の増えた阪神・梅野


 さて、ここまでを踏まえると枠の皮算用は、現行65から藤田獲得で66。外国人選手は既存選手の枠内で入れ替え。FAで人的補償不要な選手であれば67。これに戦力外からもう1枠あるかどうか、といったところでいかがだろうか。現在育成契約中の選手の中にも、状況によっては早々に支配下昇格に至る選手たちもいるため、慎重に決断を下さなければならない。

 思ったよりも長くなってしまいそうなので、そのあたりの、いわゆる現有戦力の話は次回。

(次回、既存戦力編は以下のリンクから)


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