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『診断。』

女医さんは落ち着いたトーンで話し始めた。
いくつかの病気が考えられる…

・低ホスタファーゼ症(酵素が少ない)
遠くの病院に専門医がいるとか。
このコロナ禍で妊婦が行くのも無理で時間がない。
ただこの病気の可能性は低い。

・骨形成不全症
この病気もありえるが次の病気の可能性が高い

・タナトフォリック骨異形成症

消去法と骨の感じからタナトフォリックではないかと。

聞いた事のない病名に要するに骨が弱いのかと勝手な解釈をする私。

今からカルシウム沢山取ればなんとかならないか…

後から考えたら無茶苦茶な事を聞いていた。

産まれてから治療とか手術とかできるんですよね?

エコー外来の受診を進められてから心の片隅で覚悟はしていた。けどやっぱり現実を突き付けられると母としてなんとか出来ないかと考える。

肋骨が変形して肺が育たない。
産まれて肺呼吸ができない。

出産後人口呼吸器をつける事は出来るが、その後も色々なリスクがある。

先生の話し方のおかげなのか厳しい事を言われているのに、涙とか動揺とかなく冷静に話しができた。

私は今までどんな選択をした人がいたか聞いてみた。

・人口中絶
・出産し親の腕の中で看取る
・呼吸器を付ける

日本の法律で中絶は21週6日まで。
私は今20週4日。
時間がないから早く決断しないといけないと言われた。

だんだんとイライラとしてきた私。

なぜもっと早く分からなかったのか。
4か月検診の時の先生も少し不思議に思っていたのはわかっていた。だったらなんですぐ他の先生に相談したり、詳しく検査を進めてくれなかったのか。

診察が終わり待ち合い室で気遣いもなく大きな声で受付の人が私に中絶の話しをする。

まだなんにも決めてないのに…
まだ何にも分からないのに…
まだ何にも受け入れられない…



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