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ウクライナ侵攻に胸が苦しくなるばかり。出会ったあの人たちのことを思うと…

 (上は私が2016年にウクライナで撮影した写真)
 ロシアによるウクライナの侵攻に、まだ私の頭が追い付いていません。海外も含めてさまざまなニュースを収集していても何が真実なのか、これほど混乱した情報に接するのは久しぶりで、ジャーナリストとしての感覚がにぶっていることに気づきます。

 私の尊敬する先輩であり、今も同僚である大和大学社会学部の佐々木正明教授(元産経新聞モスクワ支局長)が、数々のテレビ番組に出演していて、的確なコメントをしているのが参考になりますが、ロシア語に堪能な佐々木教授でも、「情報が錯そうしていて、見極めが必要」と指摘しています。

 というのも、2014年のロシアによるクリミア半島奪取から、この8年間、当地では虚実ないまぜの情報戦が繰り広げられており、現地での取材も困難であることから、真実が明らかになっていません。例えば、ウクライナ東部で、ロシア系が流しているようなロシア系住民のジェノサイド(大量虐殺)があるのかどうか、ウクライナ政府軍が東部で停戦違反の攻撃をしているかどうか、武装勢力による自作自演のテロがあるのかどうか。

 いずれにせよ、ロシアが「平和維持軍」として他国領土に進駐することは国際法違反であることは明白であり、国連の機能不全だけが露呈しています。アメリカの裏庭に位置し、反米のニカラグアやベネズエラなどがロシアを支持しているようですが、「力による現状変更」を許す国際社会にいつからなってしまったのでしょうか。

 私は2016年にチェルノブイリを取材するためにウクライナを訪問したことがあります。首都キエフに滞在していたときに、道端にいくつかの遺影があり、花束で飾られていたのを覚えています。それは東部で戦死した兵士をたたえたものでした。そのときこの国はまだ戦時中であるのだと気づかされましたが、あのときも含めて、ウクライナはずっと戦場国だったのでしょう。

 ウクライナ滞在中は、日本語が堪能で日本が大好きな女性に通訳やガイドも頼み、大変助けられました。そのほか、取材で協力してくれた老夫婦や、入院患者などさまざまな人との出会いがありました。彼ら彼女らはいま、どう過ごしているか気になって仕方ありません。
 今もキエフでは爆発音が響いているといいます。ロシアが起こしたこの戦争はどのような終着点を迎えるのか。ジャーナリストの端くれとしても、真実を知りたく、ぜひ現場に行きたいところです。

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