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ステロイド点鼻薬

OTC薬のことを調べていて、点鼻薬について少し驚きました。
もしかすると有名な話だったのかも知れませんが、ドラッグストアでステロイドを含んだアレルギー性鼻炎用の点鼻薬が購入できるようになっていました。

従来のドラッグストアで買える点鼻薬

これまで、抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミンや、ケミカルメディエーター遊離抑制剤であるクロモグリク酸などがOTC医薬品の点鼻薬の主役だと認識していました。これらは点鼻後すぐに効果がみられ有り難いのですが、一緒に鼻粘膜の血管を収縮させる、ナファゾリンやテトラヒドロゾリン、オキシメタゾリンが含まれていることが問題でした。これらは長期に使用すると逆に血管の壁を厚くしてしまい鼻詰まりに繋がるとされており(https://doi.org/10.11453/orltokyo1958.17.73)、長く使うのには適していませんでした。現在も多く店頭に並んでいるため、成分には必ずご注意ください。

OTC医薬品へのステロイド点鼻の採用

スイッチOTC医薬品としてステロイド薬であるベクロメタゾンが認可されたのは2010年です。思っていたより以前に使えるようになっていました。
現在はフルチカゾンも加わり、2成分がOTC医薬品として使用可能です。

アンテドラッグステロイド

ステロイド(糖質コルチコイド)というと、内服や外用薬が有名ですが、その効果と引き換えにみられる副作用が多いことで、ネガティブな印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
一方で、ベクロメタゾンとフルチカゾンはアンテドラッグステロイドと呼ばれ、内服ステロイドとは効き方が大きく異なります。
アンテドラッグは体内に吸収されると急速に分解され、その効果を失う薬剤を指します。つまり、噴霧した鼻粘膜で効果を示した後、体内に入った後はすぐにステロイドの効果は消失します。
そのため、体全体への副作用を心配せずに定期的な使用ができるのです。
ステロイド点鼻薬は従来の点鼻薬と比べ、速効性には乏しいですが、定期的に使用することで、鼻炎症状の明らかな改善が期待できます。
2種のステロイドの中で、フルチカゾンの方がより体内での分解が早く進むと言われており、効果は同程度と報告されていますので(耳鼻咽喉科展望. 2002;45:503-516)、フルチカゾンを含む点鼻薬のほうがより安全と言えるのかも知れません。購入する際の参考になれば幸いです。


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