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10回目の3月11日を前に。

はっきりした四季の移り変わりで時の流れを五感で覚える。
花が咲き、花が散るのを見て、何事もとどまることなく移りゆくことを知る。

時には大雨、大風、そして地震、また火山の噴火に襲われ、変わらないと思っていたものも果敢なく失われることを思い知らされる。

形あるものはいつかは壊れることが前提。永遠の時に耐える建物ではなく、木と紙の家を建てた人々。

それなりの月日が経つと社ごと建て替えてしまうことをしきたりとして、式年遷宮を行うお宮は伊勢神宮だけではない。天皇の代替わりという国の一大儀式であるはずの大嘗祭をその時のためだけに建てたお社で執り行い、式が終わると解体してしまう。

(そんな国に、世界でもっとも古い木造建築が現存し、百年どころか数百年、中には千年の歴史を誇る会社組織が多数存在しているのが逆説的でおもしろいのだけど。)

むしろはかなさを内に取り込み、時々に万物の営みを愛で、嘆き、喜びも悲しみもただそのままに受け止める。その心持ちこそ「もののあはれ」なのかなと。

そして僕たちは、明日も生きていく。

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東日本大震災10年の節目。


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