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終章「では、どうすべきか」


 私が政治に関心を持つようになったのは、確か中学生ぐらいの頃からであった。単に今の政治問題を批評するのではなく、「では、どうすべきか」「どうすれば日本の政治が良くなるのか」をいつも考えていた。高校生になると、もう自分の憲法改正案を書き始めていた。大学1年生のときに「選挙制度の改革」という題で懸賞論文に応募し、優秀賞をもらった。大学2年生には、友人に誘われて、松下政経塾のボランティア・スタッフとなった。1992年の当時は、政治改革が盛んに議論されている時代だった。私はスタッフの仲間と一緒に、新宿駅前で街頭演説や署名活動をしたり、議員を招いて大学で講演会を開いたりした。とにかく「日本の政治を変えよう。そのために何か行動しよう」という情熱に燃えていた。しかし、その後で、そのスタッフ組織は突然、解散してしまった。私はひどく失望し、それ以来、政治への興味を失った。そして政治の世界から離れて、そのことを全く忘れ去っていたのである。
 あれから約30年の年月が流れて、私は50歳になった。あるとき、政治好きの友人と久しぶりに政治の話をしているうちに、私は「以前書きかけて途中で終わっていた自分の憲法試案を、もう一度書いてみようか」という思いが湧いてきた。書き始めると、昔の情熱を思い出して、面白くて夢中になって書いた。書き上げると、今度はそれを誰かに見せたくなった。どうしようかと考えているときに、ふと「ブログを作って投稿したらどうか」というアイディアが浮かんだ。今はインターネット、SNSの時代で、自分の意見をネット上にのせて、簡単に瞬時に、多くの人たちに拡散することができる。本を出版するのは大変だけど、これならお金もかからない。というわけで、この新憲法試案の全文と解説を、ブログにのせることにしたのである。
 せっかく自分なりに気に入った案を書いても、それを自分だけにとどめておいて何もしなければ、それは実現しない。ただの理想、絵に描いたモチで終わってしまう。かと言って、今の自分には、学生の頃のように、もう一度政治運動に身を投じるほどの覚悟もパワーもない。でも、自分の意見をネットで公開することなら、できる。色々な非難や中傷を受けて傷ついたらどうしよう、という恐れもあったが、思い切って勇気を出して、ブログを書くことにした。この試案を読んで、コメントや感想、ご意見などを頂ければ幸いである。また、この試案に関心を持ち、少しでも賛成する方がいたら、ぜひ他の人にもシェアしてほしい。この試案をたたき台として、広く国民的議論が起こることを願っている。それは、単なる批判のための批判や、「違憲か合憲か」「右か左か」という不毛の議論ではない。私が求めているのは「では、どうすべきか」「私だったらこうする」という代案である。未来に向けた、建設的議論を期待する。・・・・・明治憲法は伊藤博文が起草した。昭和憲法はマッカーサーが作った。もしあなたが、現代の伊藤博文やマッカーサーだったら、どんな憲法草案を書くだろうか。真っ白な一枚の紙に、新しい絵を描くとしたら、どんな日本の未来像を描くだろうか。国民の一人一人がそれを描いて、一緒に夢とビジョンを語り合いたいのである。そうするときに、国民の間に意識改革が起こり、それが国民的運動へとつながる。それによって、日本の政治は変えられ、良くなっていくと信じる。私が個人的に書いたこの試案が、そのための一つのきっかけとなることを願ってやまない。

2023年1月16日    羽奈作造


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